研究課題/領域番号 |
23K22794
|
補助金の研究課題番号 |
22H01524 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
|
研究機関 | 福岡大学 (2023-2024) 名古屋大学 (2022) |
研究代表者 |
大田 晃生 福岡大学, 理学部, 准教授 (10553620)
|
研究分担者 |
柚原 淳司 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10273294)
田岡 紀之 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50626009)
牧原 克典 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90553561)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
|
キーワード | ゲルマニウム / シリコン / 極薄結晶 / 偏析 / 電子状態 |
研究開始時の研究の概要 |
14族元素であるゲルマニウムとシリコンに対して共晶型の状態図をとるアルミニウムに注目し、熱処理による表面偏析を精密に制御することで、アルミニウム薄膜表面にゲルマニウム二次元結晶と極薄シリコン結晶のヘテロ構造を形成する方法を探求する。その化学構造や電子状態を調べることで、ヘテロ構造の形成制御に関する知見を得ることに加えて、異種材料との化学反応や電子障壁高さなどを明らかにすることに取り組む。
|
研究実績の概要 |
Si(111)基板上に化学気相堆積(CVD)法によりヘテロエピタキシャル成長したSiGe(111)を下地として、金属薄膜/SiGe(111)構造を作成した。この金属薄膜/SiGe(111)構造の熱処理によるSiおよびGeの表面偏析を利用して、金属薄膜表面に二次元結晶や極薄結晶を形成する方法および偏析メカニズムを探求した。金属薄膜として、SiおよびGeのどちらにおいても共晶反応を示すAlを用いた。同じ様にSiやGeと共晶反応を示すAgを用いた場合とは異なり、AlをSiGeに積層した場合は、元素偏析を促進するための熱処理時に表面にAl酸化膜が形成され、試料を大気に暴露するような環境においても、Al酸化膜が保護膜として機能し、偏析層(特にGe)の酸化を抑制できる。SiとGeの組成比がSi:Ge=4:1のSiGeを用いたAl/SiGe構造では、300度以上の窒素雰囲気中熱処理により、SiおよびGeのAl表面への偏析が進行し、その析出量は熱処理時間よりも温度に強く依存した。また、下地にSiGe組成はSiが大きいにも関わらず、Al表面でのSiとGeの析出量はGeの方が大きいことがわかった。この現象を理解するため、Al/Si(111)やAl/Ge(111)構造で生じるSiおよびGeのAl表面偏析量と比較しても、 単純な組成比の割合で析出量を説明することが難しいことがわかった。一つの要因として、下地のSiGeからSiやGeがAl薄膜の結晶粒界などを介して偏析しているからだと考えられ、析出量だけでなく、試料表面の平坦性にも影響を与えている可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に引き続き、金属薄膜/SiGe(111)構造を作成し、熱処理による試料表面した化学結合状態分析や表面平坦性を調べ、SiおよびGeの偏析による二次元結晶や極薄結晶の形成する方法を深めることができた。また、SiGe(111)だけでなくSi(111)やGe(111)などを用いて、元素偏析の供給源となる下地層をパラメータとして、熱処理に対する元素偏析量を比較することで、偏析量を制御するためには、熱処理条件だけでなく、金属薄膜の結晶性が重要となる可能性がわかった。金属薄膜の平坦性も高める必要があったが、制御パラメータを十分に明らかにできなかったのでやや遅れていると判断した。この点については、次年度にも実施する予定である。さらに、試料と支持基板とのウェハ接合や、二次元結晶/極薄結晶の転写については、最終年度でも引き続き実験を推進する。
|
今後の研究の推進方策 |
二次元結晶のヘテロ構造形成をめざして、Al(111)/SiGe(111)などの金属薄膜/SiGe構造の結晶性や平坦性を向上するプロセスを探求し、その理解を深める。また、表面偏析したSiGeの化学結合や電子状態などの基礎物性を実験的に明らかにする。このため、バンドギャップ内および価電子帯の電子占有状態を高感度に計測できる光電子収率分光法も活用する。並行して、前年度までに引き続き、様々な展開への可能性を広げるため、二次元結晶ヘテロ構造と支持基板のウェハ接合や二次元結晶/極薄結晶を転写に関する実験を推進する。
|