研究課題/領域番号 |
23K22804
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補助金の研究課題番号 |
22H01534 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
沖川 侑揮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50635315)
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研究分担者 |
山田 貴壽 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究チーム長 (30306500)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | グラフェン / 移動度 / EBAC / ドーピング / ラマン分光法 / キャリア散乱 / 六方晶窒化ホウ素 / FET / CVDグラフェン / 表面凹凸 / パーシステントホモロジー / CVD / ナノカーボン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、グラフェンデバイス実用化のために、ウエハースケールのグラフェンデバイス作製のために、六方晶窒化ホウ素(h-BN)に替わる絶縁中間層をSiO2上に形成し、グラフェンの高移動度化を目指している。SiやSiO2の荷電不純物の影響を抑制するために、CVDグラフェンを擬似的宙空構造形成のための剣山構造中間層を作製する。加えて中間層とグラフェン界面の物理を明らかにし、グラフェンの高移動度化の指針を得る。
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研究実績の概要 |
本研究では、グラフェンデバイス実用化のために、ウエハースケールのグラフェンデバイス作製のために、h-BNに替わる絶縁中間層をSiO2上に形成による高移動度を目指している。SiやSiO2の荷電不純物の影響を抑制するために、CVDグラフェンを擬似的宙空構造形成のための剣山構造中間層を作製する。中間層には、ナノ炭素材料を使用することでナノカーボンエレクトロニクス創生への発展も期待できる。これらの研究開発を通じて、社会実装を目指した2次元材料のデバイスエンジニアリングの基盤技術を構築する。 2023年度は、擬似的中空構造でのグラフェンの電流パス可視化を想定して、電子線吸収電流法(EBAC)を用いたグラフェンFETの電流パス可視化に取り組んだ。グラフェンの電流パス可視化により、高抵抗要因(移動度の阻害要因)の検出が期待される。EBACは半導体デバイス故障解析で用いられる測定法であり、2次元材料であるCVDグラフェンにも適用可能と考えた。本研究では、カリウム(K)原子を添加したKドープ数層グラフェンが、EBACによる電流経路の評価に適した材料の一つであると考えた。EBAC像において不均一な抵抗領域に起因した不均一なコントラスト像が観察された。ラマン分光から得られるGバンドピークのシフトの結果を鑑みると、EBAC像での不均一なコントラストはグラフェンチャンネルのフェルミ準位の変化のためと考えられる。このフェルミ準位EBACによって、グラフェンチャネルを通過する局所抵抗と電流の均一性を評価することができ、これは遷移金属ダイカルコゲナイド、酸化グラフェン、六方晶窒化ホウ素など、他の二次元材料にも応用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、擬似的中空構造でのグラフェンの電流パス可視化を想定して、電子線吸収電流法(EBAC)を用いたグラフェンFETの電流パス可視化を試みた。EBACによる電流経路の評価に適した材料の一つと考えられる、カリウム(K)原子を添加したKドープ数層グラフェンを本研究に適用した。その結果、EBAC像において不均一な抵抗領域に起因した不均一なコントラスト像が観察された。フェルミ準位の変化が抵抗変化に直接寄与していることを突き止めた。当初の予定にはなかった研究であるが、グラフェンの高移動度化の指針を得るための新規評価手法を見出し、その研究内容を論文掲載しており、順調に進展している。 その他、SiO2表面の荷電不純物の影響を抑制できる剣山構造中間層にCVDグラフェンを積層する技術を開発してきた。CVDグラフェン/剣山構造中間層での結晶性や化学状態評価に特化した解析手法を開発した。また、申請者らが有するデバイス作製技術を凹凸のある剣山構造へ応用するため、CVDグラフェン/剣山構造中間層/SiO2積層構造の電界効果型トランジスタ(FET)を作製し、FET評価の基盤技術を整えた。当初予定していた中間層形成技術や評価技術に関しても着実に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、剣山構造中間層構造の制御技術の確立および中間層の絶縁化を試みる。ここではナノカーボン材料への加工技術を発展させ、AFM測定による凹凸像やラマン分光法による結晶性評価、加えて電気伝導特性評価を行う。 2025年度は、中間層の結晶性や化学状態と、CVDグラフェン/剣山構造中間層でのグラフェン移動度の関係を考察する。上記研究実施に加え、これまで蓄積した知見をベースに、グラフェンの高移動度化の新たな指針を立てる。
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