研究課題/領域番号 |
23K22809
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補助金の研究課題番号 |
22H01539 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐野 伸行 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90282334)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | デバイスモデリング / 電子輸送 / 非平衡グリーン関数 / ボツルマン輸送方程式 / 非平衡統 計物理 / 離散不純物 / 特性ばらつき / モンテカルロ法 / 非平衡統計物理 / ポテンシャル揺らぎ / デバイスシミュレーション / ボルツマン輸送方程式 / 不純物散乱 / ハートリー近似 / ポアソン方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
最先端半導体デバイスの特性予測は、量子論に基づいた物理モデリングとシミュレーションが必須となっている。加えて、このような新構造では、 界面乱れやイオン化不純物の局所性(離散性)によって空間的にポテンシャルがゆらぎ、デバイス特性ばらつきが顕在化する。しかしながら、長波長極限に基づく従来手法では局所的な乱れを導入することができていない。そこで本研究では、微視的な運動論(ボルツマン輸送方程式)に基づくモンテカルロ法と量子論に基づく非平衡グリーン関数法の両方の理論フレームワークを再構築し、空間的に局在したポテンシャル乱れを導入する。そして、これらの理論に基づいたデバイスシミュレータを構築する。
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研究実績の概要 |
最先端半導体デバイスの特性予測は、量子論に基づいた物理モデリングとシミュレーションが必要不可欠となっている。加えて、先端デバイスの新構造では際限無く微細化が進むことから、界面乱れやイオン化不純物の局所性(離散性)によって空間的にポテンシャルが大きくゆらぐこととなる。その結果、デバイス特性ばらつきの顕在化が、かつての平面型デバイス構造でそうであったように、デバイス信頼性の観点から問題化する可能性が高い。しかしながら、長波長極限に基づく現在のシミュレーション手法では、このような局所的な乱れを物理的に整合するかたちで導入することができていない。本研究では、この問題を量子論に基づいて再考し、従来手法のフレームワークを再構築することを目指すものである。 本年度は、以下の内容の研究を実施した。 (1) 初年度(2022年度)に再構築した微視的な運動論(ボルツマン輸送方程式)に基づくモンテカルロ法の理論フレームワークをもとにして、デバイスシミュレータを構築した。 (2) 構築したデバイスシミュレータを用いて、局所的なポテンシャルうゆらぎを定量的に評価した。その際、自己平均化が支配的な大きなデバイス構造のもとでは、従来の長波長極限の結果に移行することで構築したシミュレータの整合性を明らかにした。 (3) そのうえで、デバイスの微細化に伴ったポテンシャルゆらぎに伴って種々の特性がばらつくことを定量的に示した。これらのばらつくデバイス特性のアンサンブル平均が、微細デバイス構造で超波長極限で予想されるものと一致しないことを初めて明らかにした。この結果を代表的な学術誌(IEEE Trans. Electron Dev.)に発表した。 (4) 全てを量子論をもとにして解析可能な非平衡グリーン関数法の理論フレームワークを再考し、長波長極限の近似を緩和した時理論フレームワークの再構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に予定通りに研究進捗しており、成果はすでにこの分野で最も権威ある雑誌に公表されている。
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今後の研究の推進方策 |
局所的なポテンシャル揺らぎを物理的に整合したかたちで導入するため、非平衡グリーン関数法の理論フレームワークの見直しと新たな理論フレームワークの構築を昨年度に引き続き行い、完成させる。 この検討を通じて得られた知見をもとに、非平衡グリーン関数法に基づいたデバイスシミュレータを構築する。 デバイス構造としては、近未来デバイスとして最有力と考えられているナノワイヤ構造とする。具体的には、以下の内容を予定している。 (1) イオン化不純物等による空間局在性のデバイス特性への量子的(位相干渉)な影響とそれらの物理機構を詳細に検討する。特に、自己平均化を仮定することで空間局在性を無視する従来手法の正当性あるいは破綻を明らかにする。 (2) イオン化不純物のポテンシャルゆらぎを物理的整合性もなく直感的に導入している従来手法と比較をすることで、物理的な不整合や課題を明確にする。 (3) ナノワイヤデバイス構造のもとでのデバイスシミュレーションを実施することで、次世代最先端デバイスの現実的な特性予測を行う。
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