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SiC横型超接合パワーMOSFETによるワンチップ相補型電力変換器の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K22810
補助金の研究課題番号 22H01540 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
研究機関筑波大学

研究代表者

矢野 裕司  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40335485)

研究分担者 岩室 憲幸  筑波大学, 数理物質系, 教授 (50581203)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
キーワードSiC / 相補型インバータ / 超接合MOSFET / MOSFET / 超接合 / しきい値電圧変動
研究開始時の研究の概要

本研究は、使いやすく小型高効率化が可能となるSiC半導体を用いたワンチップ相補型電力変換器に関するものである。n型素子に比べて抵抗の高いp型パワーMOSFETに対し、横型構造及び超接合構造を取り入れることで低抵抗化を図る。1kV級素子を設計・試作してp型素子の高耐圧・低損失化を実現する。さらに、p型とn型素子を組み合わせた相補型インバータ回路を同一基板上に形成し、SiCの特長を活かした小型・高耐圧・低損失・高周波動作が可能な新しいワンチップ相補型電力変換器の実現を目指す。

研究実績の概要

本研究では、SiCを用いた横型構造の低抵抗p型超接合(SJ)パワーMOSFETの開発と、n型素子と併せてモノリシックに形成したワンチップ相補型電力変換器の実現を目指している。2023年度は更なるオン抵抗低減のための構造検討と、低抵抗化した横型超接合pMOSFETの寄生容量の検討、および相補型動作時を想定したゲート駆動におけるしきい値電圧(Vth)変動に関する研究を行った。
・従来構造ではピラー部がチャネル部を覆っているため、チャネル断面積の半分が導通に寄与できていなかった。この部分を活用するため、ピラーを全部あるいは一部を埋め込んだ形状を考案した。しかし、一部の構造ではオン抵抗は微減するものの耐圧が低下し、性能指数の向上は見られなかったため、表面にピラーを形成する従来の構造が最適であることが分かった。また、ピラーの角度をつけることで耐圧およびマージンの向上が見られることが判明した。
・オン抵抗が低減できるSJ構造では寄生容量の増大によるスイッチング損失の増大が懸念されるため、寄生容量の評価を行った。空乏層の広がり方とゲート・ドレイン間容量(Cgd)の関係、特にドレイン電圧増加に伴いCgdが低下した後に増大する現象をTCADにより明らかにした。また、導通損失とスイッチング損失の和を評価する高周波FOM(Ron・Qgd)を導入し、SJにより低減できることを明らかにした。
・相補型インバータではp型とn型を同時に駆動するため、例えば±20Vのようなゲート電圧を用いることになる。まずはn型素子のVth変動を調査した。ゲートオフ電圧が大きくなるほど酸化膜での電子捕獲による正のVth変動が大きくなることが判明した。また、スイッチング周波数、パルス立上り・立下り時間、デューティ比などの依存性から、Vth変動はパルスの立上り時に発生していることを明らかにするとともに、変動メカニズムを提案した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実際のプロセスを考慮した設計における限界性能の見極めることができたことに加え、作製の際のプロセスばらつきを考慮した素子設計ができた。高純度半絶縁性4H-SiCへのイオン注入を行うためのプロセスフローを作成し、実デバイスの要素部分の作製準備を進めている。横型SJ構造により実動作時に全体の損失を低減可能なことを明らかにできたので、本構造のデバイスが実現した際のメリットを明確にすることができた。ただし、長時間動作させた際のしきい値電圧変動という新たな課題が明らかとなった。このメカニズムを明らかにする必要があることに加え、この対応策を検討する必要がある。本研究を進める過程で新たな知見を得ることができ、総合的にはおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

TCADで設計した構造作製に向け、まず高純度半絶縁性4H-SiC基板へのイオン注入によるn型、p型の基礎的なドーピング特性を明らかにする。そこで得た特性を基に最適構造実現のためのイオン注入条件を確定し、さらにピラー構造の微細パターン形成技術を構築する。これらは研究室の設備と学内外の共同設備もしくは一部プロセスの外注により進める。実素子作製と併せ、TCADによる諸特性のシミュレーションを継続する。
相補型インバータ動作時に必須となる正負のゲートAC電圧(バイポーラAC)印加におけるしきい値電圧変動は重要な課題となるが、これは相補型インバータに限らず通常のパワーMOSFETにおいても重要な課題である。このため、引き続きn型、p型素子にバイポーラACストレスを印加した際のしきい値電圧変動の現象を調査し、そのメカニズムを明らかにするとともに、変動低減の指針提案を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] チャージポンピング法によるMOS界面欠陥評価のための+<i>α</i> の研究技術2024

    • 著者名/発表者名
      矢野裕司
    • 雑誌名

      応用物理

      巻: 93 号: 3 ページ: 179-183

    • DOI

      10.11470/oubutsu.93.3_179

    • ISSN
      0369-8009, 2188-2290
    • 年月日
      2024-03-01
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 4H-SiC横型p-ch SJ-MOSFETのゲート-ドレイン間寄生容量特性解析2024

    • 著者名/発表者名
      森海斗, 岩室憲幸, 矢野裕司
    • 学会等名
      電気学会全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Trap distribution in 4H-SiC MOSFETs analyzed by a 3-level charge pumping technique2023

    • 著者名/発表者名
      Atsuhiro Akiba, Noriyuki Iwamuro, and Hiroshi Yano
    • 学会等名
      International Conference on Silicon Carbide and Related Materials 2023 (ICSCRM 2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Threshold voltage drift mechanism in SiC MOSFETs under AC gate stress2023

    • 著者名/発表者名
      Yuya Enjoji, Noriyuki Iwamuro, and Hiroshi Yano
    • 学会等名
      International Conference on Silicon Carbide and Related Materials 2023 (ICSCRM 2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 4H-SiC横型p-ch SJ-MOSFETのオン抵抗と寄生容量の関係評価2023

    • 著者名/発表者名
      森海斗, 岩室憲幸, 矢野裕司
    • 学会等名
      先進パワー半導体分科会 第10回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ACゲートストレスによるSiC MOSFETのしきい値電圧とサブスレッショルドスイングの変動評価2023

    • 著者名/発表者名
      円城寺佑哉, 岩室憲幸, 矢野裕司
    • 学会等名
      先進パワー半導体分科会 第10回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] チャージポンピング法を用いたpチャネルSiC MOSFETの界面特性評価2023

    • 著者名/発表者名
      秋葉淳宏, 矢野裕司
    • 学会等名
      第70回応用物理学会春季学術講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Characterization of SiC MOS structures using p-channel devices2022

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Yano
    • 学会等名
      The 10th Asia-Pasific Workshop on Widegap Semiconductors (APWS2022)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 3レベルチャージポンピング法を用いたSiC MOSFETの界面特性評価:酸化膜窒化処理と界面欠陥量の関係2022

    • 著者名/発表者名
      秋葉淳宏, 矢野裕司
    • 学会等名
      先進パワー半導体分科会 第9回講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] バイポーラACゲートストレス印加によるSiC-MOSFETのしきい値電圧変動評価2022

    • 著者名/発表者名
      円城寺佑哉, 岩室憲幸, 矢野裕司
    • 学会等名
      先進パワー半導体分科会 第9回講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] モノリシック相補型インバータに向けた4H-SiC横型p-ch SJ-MOSFETの構造設計2022

    • 著者名/発表者名
      森海斗, 岩室憲幸, 矢野裕司
    • 学会等名
      先進パワー半導体分科会 第9回講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] SiCパワーデバイスの高性能化・高信頼化に向けた課題と取り組み2022

    • 著者名/発表者名
      矢野裕司
    • 学会等名
      結晶加工と評価技術 第145委員会 第176回研究会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 3レベルチャージポンピング法を用いた4H-SiC MOSFETの界面近傍酸化膜トラップの酸化膜内密度分布の検討2022

    • 著者名/発表者名
      秋葉淳宏, 矢野裕司
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ACゲートストレス印加によるSiC-MOSFETのしきい値電圧変動評価2022

    • 著者名/発表者名
      円城寺佑哉, 岩室憲幸, 矢野裕司
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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