研究課題/領域番号 |
23K22814
|
補助金の研究課題番号 |
22H01544 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
|
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
坂本 盛嗣 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (60757300)
|
研究分担者 |
小野 浩司 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10283029)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
|
キーワード | 偏光渦 / 光多重通信 / 液晶 / 光配向 / モード分離 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代の光通信技術として現行の通信容量を飛躍的に向上できると期待されている偏光渦多重通信の実用化には、偏光渦の多重化情報を分離・検出する工程が必要不可欠となるが、その技術開発は未だ本命手法が確立していない未成熟領域にある。本研究では、先の研究で申請者らが開発した液晶偏光ホログラムによる偏光渦モード分離法の原理を拡張し、偏光渦の次数及び2直交状態を含む完全なモード分離素子の実現を目指す。さらに提案素子を用いた偏光渦モードスペクトルメータを試作する。さらに、ファイバ中を伝播する偏光渦の特性解析及び有線通信の実証実験を行う。これにより、提案方式の偏光渦多重通信方式の要素技術としての確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
令和5年度の主な成果は、2種の偏光ホログラムの作製用の光配向光学系の改良である。2種偏光ホログラム一体化素子では、2枚の偏光ホログラムの間の格子位置を正確に一致させる必要があり、これまで作製に用いてきた偏光干渉露光方式での光配向光学系では、格子の相対的な位置関係の制御が極めて難しく、精度の高い一体化素子を作製することは困難であった。そこで、新たに紫外光耐性を持つ液晶空間光変調器を導入し、転写露光方式での光配向光学系を構築した。構築した光配向光学系を用いて、偏光ホログラムを作製する事にも成功した。以上の成果により、2種偏光ホログラム一体化素子の格子の相対的な位置制御が簡便になった。
さらに、使用する光配向膜についても見直しを行った。前年度までは偏光ホログラムを記録した光配向剤の上に重合性液晶を塗布するプロセスを採用してきたが、令和5年度は厚膜の光配向剤を用い、光配向膜単膜での偏光ホログラムの形成を試みた。これにより、重合性液晶を塗布するプロセスと比べて、高解像度での偏光ホログラムの作製が期待できる。厚膜の光配向剤への感光処理を行う際、吸収により膜の深部まで紫外光が到達しない問題が生じうる。これを回避するために、レーザーの波長をこれまで用いてきた355nmから375nmへと変更した。実際に厚膜の光配向剤へ375nmレーザーと液晶空間光変調器を用いた光配向光学系を用いて光配向処理を行い、波長1550nmで高効率な偏光ホログラムを作製することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本計画で作製を目指すモード分離素子(2種偏光ホログラム一体化素子)の作製プロセスを改良し、概ね素子の作製環境は整った。しかし、令和4年度に設計した2直交状態を含む8モード以上のモード分離素子について、試作にはまだ至っていない。現在設計素子の試作と特性評価に向けた実験を進めている。また、当初はモードスペクトルメータの構築迄完了させる計画であったが、こちらについても現在鋭意努力中である。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、上記の目標を中心に、2種偏光ホログラム一体化素子を用いた偏光渦モード分離に関する研究を進める。「2種偏光ホログラム一体化素子開発」については、令和4年度に設計したものについて、令和5年度に改良した光配向光学系を用いて試作を行うとともに偏光渦モードスペクトルメータを構築する。一方、令和4年度に構築した偏光渦多重状態発生装置の光学系を用いて、偏光渦多重状態の伝送実験と理論的な解析を行う。
|