研究課題/領域番号 |
23K22826
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補助金の研究課題番号 |
22H01556 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
浜本 貴一 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (70404027)
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研究分担者 |
上野 芳康 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (00345422)
姜 海松 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (00738049)
加藤 和利 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10563827)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
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キーワード | 半導体レーザ / 周波数応答特性 / フォトンフォトン共振 / アクティブMMI / 周波数応答 / DBR / 垂直グレーティング / PPR / アクティブMMIレーザ / フォトン・フォトン共振 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、半導体レーザの極限性能、即ち光の振動周波数(数百THz)程度までの極限的周波数応答を実現するための基礎検討を進め、将来の100Tb/s超直接変調のための基礎技術確立を目指すものである。 AIやIoT技術などの進展を背景に、小型携帯端末等における超高速伝送、特にTb/sを超える超高速伝送が将来必要になると予測され、ボード内配線の超高速伝送技術として、半導体レーザ光による光通信技術適用が期待されている。本提案は、本質的理論限界に到達するための基礎研究を行うものである。
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研究実績の概要 |
当該年度は、本研究で新たに取り組んできたDBR構造を導入したMMIレーザ実現に取り組んできた。グレーティング構造としては垂直グレーティングとし、レーザ全領域をアクティブ導波路として設計してきた。前年度までに進めて来ていたグレーティングピッチ、ドライエッチング条件等を基に、半導体レーザ構造の実現を目指した。特にドライエッチングに際しては1.5 um以上とかなり深くエッチングを行う必要があったため、SiO2マスクの導入、および露光、エッチング条件最適化等の条件出しを進めた。またレーザ構造実現に際しては、グレーティング構造、導波路構造の形成のための露光・ドライエッチングだけではなく、電流注入構造を形成するためのプロセス検討も必要となる。今回は、最初のドライエッチング時には電子ビーム露光によるマスク形成を用いているが、その後のプロセスではステッパ露光を適用することとした。その際、半導体表面に目合わせマークを入れただけではステッパ装置に十分に認識されない恐れがあった。このため今回は、目合わせマスクとして金属層を新たに導入し、電子ビーム露光条件についても見直しを進めた。検討の結果、金属層を新たに導入したうえで目合わせマークを形成することで、ステッパ上で高精度にパターン位置を認識できることを確認した。これらのプロセス条件を基に、InP/InGaAsP材料に対するDBR形成条件を改めて確認した後、アクティブMMIレーザ試作を完了した。 一方でPPRに関する理論的検討も並行して進めた。特に、レート方程式においてモード間結合を考慮した結合係数を導入し、その影響を理論的に検討した結果、結合係数を最適化することでPPRピーク位置制御等が可能になることを明らかにした。この結果に基づき、2つの適切なPPRピークを有する構造を実現することができれば、100 Gbps変調が可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、新たな構造の半導体レーザを設計・試作する研究計画として進めてきた。この中で、高いアスペクト比を実現するうえで、マスクとなるSiO2に対する高精度ドライエッチングは特にレーザ構造実現上鍵となる工程であり、本学では既にマスク選択比3:1となる条件を実現していた。しかしながら、本学保有ドライエッチング装置に不具合が発生し、復旧・開始に時間を要した。また代替案として、他機関の装置の借用も検討したが、十分なマスク選択比を実現するドライエッチングが実現された実績がないことが分かった。このため、本学保有装置の復旧に注力することとし、結果として当初の想定に対して半年程度の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
DBR構造を有するアクティブMMIレーザは、試作終了しており、現在評価を進めているところである。今後まずは設計に対応する発振波長特性が得られるかどうかを見極める。そのうえで、特に結合効率設定によるPPRピーク制御が理論通り可能なのかどうか、検証を進めていく予定である。また併せて光を用いた周波数応答評価についても検討を進めていく。
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