研究課題/領域番号 |
23K22830
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補助金の研究課題番号 |
22H01560 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
皆川 浩 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10431537)
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研究分担者 |
宮本 慎太郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60709723)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | 低炭素型建設材料 / アルカリ活性材料 / 高炉スラグ / 凍結融解抵抗性 / 塩害 / 凍結融解 / 鉄筋腐食 |
研究開始時の研究の概要 |
低炭素化社会に資する建設材料の創造のため,アルカリ活性材料(AAM)に着目し,その凍結融解抵抗性,遮塩性,鉄筋腐食抑制のメカニズムの解明を目的とする.凍結融解抵抗性はAAMの氷点下におけるペーストと骨材の膨張・収縮挙動の相違および空隙構造,遮塩性は塩化物イオンの固相への固定化能,鉄筋腐食抑制は材料の一つである高炉スラグに含有する硫黄成分の還元能力に起因する貧酸素雰囲気の形成が鉄筋の腐食速度に及ぼす影響に着眼した検討を行う.諸検討は室内実験の他,鉄筋腐食関連の検討は有筋供試体による屋外暴露実験も行う.
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研究実績の概要 |
本研究では,低炭素社会に資する建設材料の創製のため,アルカリ活性材料(AAM)に着目し,その凍結融解抵抗性,遮塩性,鉄筋腐食抑制のメカニズムの解明を目的とする.凍結融解抵抗性はAAMの氷点下におけるペーストと骨材の膨張・収縮挙動の相違および空隙構造,遮塩性は塩化物イオンの固相への固定化能,鉄筋腐食抑制は材料の一つである高炉スラグに含有する硫黄成分の還元能力に起因する貧酸素雰囲気の形成が鉄筋の腐食速度に及ぼす影響に着眼した検討を行う. 本年度は,凍結融解抵抗性の評価に用いるAAMの配合を探索した,配合パラメータはアルカリ活性剤の種類と濃度,結合材の種類と配合である.建設材料の最も重要な性能が圧縮強度であることを鑑み,圧縮強度が同等となるような配合パラメータを探索した.その結果,高炉スラグ細骨材を用いたモルタルにおいて,56±3 MPaの圧縮強度を有する各種配合を選定することができた.今後,この配合を用いて,凍結融解抵抗性に関する検討に着手する. また,鉄筋入りのAAMコンクリート供試体を5配合・45体作製し,海水噴霧環境下と大気環境下での暴露試験(暴露期間:10年)を開始した.暴露中は定期的に外観観察するとともに,鉄筋の自然電位と分極抵抗を測定する.初年度の測定により海水噴霧環境下にて暴露した供試体においてアルカリ活性剤の種類によって鉄筋の自然電位が大きく異なる現象を捉えた.今後,自然電位が異なる原因について調査する予定である. また,AAMの遮塩性を塩水浸せき試験(浸漬期間1年)で評価した結果,同等の水結合材比である普通ポルトランドセメントと比較して,塩化物イオンの見掛けの拡散係数が1/5倍と小さくなり,浸透深さも非常に浅くなることが確認された.今後は拡散セル試験と塩化物イオン固定化能に関する詳細試験を実施して,遮塩性向上に寄与する要因を特定することに注力する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試験に用いる配合選定,鉄筋入り供試体の暴露試験の開始,浸せき試験による遮塩性の評価についてほぼ当初予定通りであり,進捗状況は概ね順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
凍結融解抵抗性のメカニズムの解明については,選定した配合パラメータ(アルカリ刺激剤(水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウム),細骨材の種類(砕砂,高炉スラグ細骨材)を考慮し,これらが凍結融解抵抗性に及ぼす影響を評価する.凍結融解抵抗性の評価は,5mass%のNaCl水溶液中に10mm角の小片試験片を浸漬して凍結融解作用を与え,試料の質量残存率を測定することで行う.一方,凍結融解作用に対する抵抗性は氷点下以下における線膨張係数および水分凍結時の膨張・収縮挙動によると考えられるため,温度を+20~-20℃で変化させた時の硬化体の膨張・収縮挙動を熱機械分析装置を用いて明らかにする.また,水銀圧入法により硬化体中の細孔径分布を評価し,これらの結果を紐づけて配合パラメータがAAMの凍結融解抵抗性に及ぼす影響を考察する. 鉄筋腐食抑制効果のメカニズムの解明については,昨年度から開始した大気中および海水噴霧環境下に暴露した鉄筋入りAAM供試体について,鉄筋の自然電位および分極抵抗を測定し,実環境下におけるAAMの鉄筋腐食抑制効果を評価する.AAM供試体は,結合材が高炉スラグ微粉末であり,細骨材の種類,アルカリ刺激剤の種類を変化させた配合で作製したものである.比較検討のために,AAMとほぼ同等の圧縮強度(試験材齢28日・標準養生)を有する普通ポルトランドセメントコンクリート供試体も対象とする.また,室内試験でAAMの遮塩性に及ぼす配合パラメータの影響を評価するために,アルカリ刺激剤の種類,細骨材の種類を変化させたAAMモルタル供試体の拡散セル試験を行い,塩化物イオンの拡散係数を評価する.加えて,遮塩性に及ぼす硬化体の空隙構造と塩素固定化能の影響を明らかにするために,水銀圧入法による細孔径分布の測定,および塩水浸せきサンプルに対して全塩化物イオン量と可溶性塩化物イオン量の測定を実施する.
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