研究課題/領域番号 |
23K22831
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補助金の研究課題番号 |
22H01561 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀田 昌英 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50332573)
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研究分担者 |
鈴木 貴大 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (40810776)
全 邦釘 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (60605955)
Maemura Yu 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (60743854)
小澤 一雅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (80194546)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 自動協調運転 / 協調ゲーム / 群知能 / 集団意思決定 |
研究開始時の研究の概要 |
建設機械の自動協調運転を基盤とした上で、群知能の知見を応用した自動協調制御のシステムを開発するものであり、既存の群知能の手法にゲーム理論を含む社会モデルを統合することにより、複数建設機械が自律分散的に集団効率的な施工プロセスを実現することを目指す。研究方法としては、はじめに実際の建設現場における協調作業を分析し、協調アルゴリズムを含んだMASとして構築する。次に、同アルゴリズムを仮想空間上の建機群に実装し、自動協調運転を行う。さらに、シミュレーションによって最適な施工手順を求め構築されたシステムを実機に搭載し、実証実験においてその生産性向上への効果を検証する。
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研究実績の概要 |
2022年度の研究実績は下記の通りである. (1)建設作業の現地調査:橋梁下部工事および河川堤防補強工事を対象とし,盛土工,コンクリート工等,特定の工種を選定して工事現場の現地調査を実施した.調査に基づき,工事従事者間の協調作業を抽出し,類型化した.特に,専門工事業の技能労働者の,重機オペレーターとの協調作業に着目し,現場で行われる作業場のコミュニケーションが作業性ならびに物的労働生産性に与える影響を分析した.その結果,ラフタークレーン,定置式ジブクレーン等の異なる重機の種別が,技能労働者の作業手順に関する裁量範囲に影響することを通して,労働生産性を規定することが明らかになった. (2)建設作業のゲーム論的モデル化:上記(1)の調査結果を既知の協調ゲームのクラス(公共財ゲーム,snowdriftゲーム,鹿狩りゲーム等)に分類し,定式化を行った.これらの既知のゲームでは,全体最適と部分最適がどのような条件の下で達成されるかを明示的に記述できることが知られている.本研究では各協調作業を分類・類型化し,集団効率的な自律行動をもたらす異なる誘因について理論的に整理した.また,各タスクを遂行する際の重機チームの編成にマッチング理論を用いることによって,集団効率性の高いチーム編成を動的に行うための理論枠組みを構築した. (3)協調アルゴリズムの検証:構築された協調アルゴリズムをマルチエージェントシステム(MAS)として実装した.その結果,各建設作業において,どのような条件下で自律分散的な協調が可能になり,個々のエージェントの生産性および集団全体として生産性が向上するかを明らかにした.本シミュレーションによって,より実際の建設現場に近い3次元のシミュレーション環境に実装すべきゲーム論的モデルを抽出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況は下記の通りである. (1)建機シミュレーターVortexを用いた自動協調作業のシミュレーション準備 2022年度に構築した建設作業のゲーム論的モデルおよび協調アルゴリズムを,実際の建設現場における重機操作,地盤等の現場条件等を再現できる建機シミュレーターVortexを用いて,自動協調作業のシミュレーションを行うべく準備作業を進めている.本シミュレーションは,各重機が自動的に他と協調および競争しながら土工のタスクを集団で実行するものである. 現地調査の進捗が調査先との調整により若干予定より遅れたため,アルゴリズムの実装ならびにVortex環境への移行については若干遅れている. (2)動的作業チーム編成の定式化 本研究では,複数の建機(エージェント)が自他のパフォーマンスを観察しながら集団として効率性の高いチーム編成を自律的かつ動的に行っていく環境の構築を目指している.2022年度に構築された基礎理論によって各チーム編成の評価が可能となり,評価指標に基づくチーム編成戦略が定式化可能となる.現在はこれらを実現するために理論枠組みを,Vortexシミュレーション環境において定式化および実装するための準備を進めている.理論枠組みの構築については,概ね予定通り進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策は下記の通りである. (1)BIM/CIMとの連携:盛土構造物等の仮想的な工作物をBIM/CIMによって設計し,そのモデルを作成すると共に,標準的な工法を設定する.2023年度では,経験的に人間が策定した施工計画を用いて,自動協調施工の技術的実行可能性を検証する.さらに,用いた施工計画を4D BIMとして記載し,仮想空間上で施工計画の代替案を比較検討する. (2)建機シミュレーターVortexを用いた自動協調作業のシミュレーション:Vortex環境において自動協調作業のシミュレーションを実施する.この際,各エージェントの干渉回避,衝突回避を行いながら集団効率的にタスクを行うことが必要となるが,本研究では動線の干渉回避に,非協力ゲームの複数均衡選択問題を応用することによってこれを解決することを試みる.本技術を用いることによって,各エージェントが自他のパフォーマンスを観察しながら,進入順序の優先順位付け等,実際の協調作業で必要な動作を自動化することが可能となる. (3)研究成果の発表:上記によって得られた研究成果を関連する学術雑誌,国際会議等で発表する.主な発表先として,Group Decision and Negotiation (Springer journal), International Conference on Group Decision and Negotiation, International Symposium on Automation and Robotics in Construction, 土木学会建設マネジメント委員会等を予定している.
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