研究課題/領域番号 |
23K22832
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補助金の研究課題番号 |
22H01562 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐伯 竜彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90215575)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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キーワード | 局所環境 / 鋼材腐食 / 水掛かり / 気象 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,「薄板モルタル供試体」を用いて,構造物各部位における環境作用を定量評価する手法を構築し,コンクリート中の鋼材腐食の予測に適用する.本手法は鋼材腐食の原因となる塩化物イオン,二酸化炭素,水,酸素の供給条件とコンクリート中の移動を定量的に評価するものであり,実測と数値計算,統計的分析手法を組み合わせて,変動する劣化環境作用評価の体系化を図る.これによって,構造物の部位毎の長期にわたる鋼材腐食予測が可能となる.
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研究実績の概要 |
コンクリート構造物中の鉄筋の腐食は,部位による水掛かり等の局所的な環境条件の影響を受けるが,実構造物においてそれを定量的に評価する手法は確立されていない.そのような背景から,本研究は構造物各部位における局所的な環境作用を劣化予測や耐久性評価に反映させるため,薄板モルタル供試体の暴露試験結果に基づいて,鋼材腐食に関連する4物質(水,酸素,二酸化炭素,塩化物イオン)の供給条件を定量評価し,それらのコンクリート中での移動現象を解析するための境界条件を設定する手法を開発することを目的している.令和5年度は下記の検討を行った. 昨年度に作製した鉄筋コンクリート大型模擬供試体(T桁,箱桁)を屋外暴露し,内部に埋め込んだセンサにより内部環境と鋼材腐食状況を継続してモニタリングした.表面各部に貼り付ける薄板モルタル供試体の中性化深さ測定値から再現した劣化環境作用を境界条件として劣化予測を行い,開発した手法の検証と改良のためのデータを取得した.その結果,下記の成果が得られた. (1)実環境においては短期的な水掛かりではなく, 湿度や長期的な水掛かりの傾向によって, コンクリ-ト内部の含水率が変動し, それに伴って腐食電流が変化していることが確認された. (2)鉄筋位置の液抵抗と腐食電流密度の間に高い相関があることが確認された.このことからコンクリ-ト内の含水状態から腐食電流密度を把握できると考えられる. (3)供試体各部位における薄板モルタル供試体の中性化深さと腐食量の間に負の相関が確認され, 構造物各部位の中性化深さから水掛かりを把握し, 各部位の鉄筋腐食を予測できる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大型供試体の暴露試験およびモニリングで,水掛かり状況の異なる各部位の鋼材腐食速度が異なることを確認し,鋼材腐食速度とコンクリートの含水率から決まる電気抵抗の関係を定量的に把握できた. さらに,大型供試体の各部位の表面に貼り付けた薄板モルタル供試体の中性化深さと腐食速度の積算値に相関があることが確認でき,薄板モルタル供試体の中性化深さから,構造物各部位の腐食環境を評価できる可能性があることを確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
次年度はこれまでの成果を統合し,下記の手法を完成させることで,コンクリート中の鋼材腐食に関する局所環境作用の定量評価手法の構築を行う. (1)構造物各部位の中性化深さから水掛かりに程度,さらには気象データを組み合わせて水掛かりの履歴を再現する手法 (2)コンクリート表面の乾湿繰り返し条件から内部の鋼材腐食進行を予測する手法 (3)上記(1)(2)を組み合わせて,構造物各部位の中性化深さから,部位毎の鋼材腐食リスクを簡便に評価する手法
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