研究課題/領域番号 |
23K22839
|
補助金の研究課題番号 |
22H01569 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
庄司 学 筑波大学, システム情報系, 教授 (60282836)
|
研究分担者 |
牧 剛史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60292645)
市村 強 東京大学, 地震研究所, 教授 (20333833)
長山 智則 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80451798)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
|
キーワード | 地震工学 / 複合・重畳荷重 / 長周期型橋梁 / 道路インフラ / レジリエンス技術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,強震動や地表断層変位,液状化・沈下等の地盤変状,斜面崩壊等の複合・重畳荷重の長周期型橋梁への作用メカニズムを,2016年熊本地震による被災事例を分析することで解明する.これらの研究成果を敷衍化することで,日本全国に点在する道路インフラの長周期型橋梁群を対象として地震時の複合・重畳荷重による物理的な被災リスクを定量的に示し,道路インフラの被災後のレジリエンスを高めるレジリエンスデザインの枠組みを提案する.複合・重畳荷重の未解明となっている作用メカニズムを解明することで学術的独自性を発揮するとともに道路インフラの耐震設計とレジリエンス技術の高度化に寄与することができる.
|
研究実績の概要 |
2023年度には,ケーススタディとして取りあげている長周期型橋梁位置での工学的基盤相当の地震波を算定した.Asano and Iwata(2016)の震源モデルに基づき2秒-20秒の周期帯域の速度波形を算定し,震源由来の長周期パルスを含む入力地震波とした.震源モデルのすべり量とすべり角を変動させて合計17ケースの地震波を作成した.これらを対象橋梁のプロトタイプ構造モデルに等価な慣性力として入力することで動的応答解析を行った.地盤並びにRC橋脚の弾性変形挙動,積層ゴム支承や主桁の変位応答等を算定した上で,対象橋梁の着目すべき構造要素に対して動的応答の多次元ベクトルのヒストグラムを作成し,長周期パルスによる荷重効果を明らかにした. 次に,Kobayashi et al (2018)による地殻変動データから同定された震源モデルに基づきOkada (1985)の食い違い弾性論から対象橋梁位置での地表変位を算定した上で,プロトタイプ構造モデルに作用させ,静的変位漸増解析を行った.震源モデルのすべり量を25パターン,すべり角を24パターンずつ,それぞれ変動させて対象橋梁位置における地表変位場を算定した.動的応答解析の場合と同様に,各構造要素の変形や変位応答等を算定した上で,着目すべき構造要素に対して地表変位による静的応答の多次元ベクトルのヒストグラムを作成し,地表断層変位による荷重効果を明らかにした. 以上,対象橋梁位置で想定され得る長周期パルス並びに地表断層変位の入力に関わるパターンベクトル群(Input)に対する各構造要素の動的並びに静的応答のベクトル群(Output)を求め,対象橋梁に求められるレジリエンスデザインの要素を明らかにすることで,道路インフラの中で重要な交通要衝となる長周期型橋梁を一ケーススタディとしたインフラレジリエンスデザインシステムの枠組みを提案した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度「研究実施計画」をおおむね満足するような研究実績を得ることができたため. 具体的には,ケーススタディとして取りあげている長周期型橋梁のプロトタイプ構造モデルに対して,対象橋梁位置で想定され得る長周期パルス並びに地表断層変位の入力に関わるパターンベクトル群(Input)を算定した上で,対象橋梁の着目すべき構造要素の動的並びに静的応答のベクトル群(Output)を算定し,強震動並びに地表断層変位の複合・重畳荷重の作用を受ける対象橋梁に求められるレジリエンスデザインの要素を定性的に明らかにすることができた. これより,道路インフラの中で重要な交通要衝となる長周期型橋梁を一ケーススタディとしたインフラレジリエンスデザインシステムの枠組みを提案することができた.
|
今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」に示したような,強震動と地表断層変位の複合・重畳荷重のパターンベクトル群(Input)に対する各構造要素の動的並びに静的な応答ベクトル群(Output)を数値的に求めることは大きな計算コストを要するため,2023年度における推進方策と同様に,東京大学並びに筑波大学が保有するスーパーコンピュータWisteriaを活用することとする. また,2023年度に提案することができたインフラレジリエンスデザインシステムにおける自然外乱入力システム,被害推定システム,及び,推定データ出力システムの3つのサブシステムの要素技術の中で,物理空間の被害スクリーニング技術,並びに,仮想空間の被害フォーカシングに活用される3次元構造解析にそれぞれ焦点を当てて,それらの更新と拡張を行なう.後者の具体例としては,構造解析に用いられる有限要素モデルの地盤を構成する土質の構成則にHardin-DrenevichあるいはRamberg-Osgoodの弾塑性モデルを導入する等,各構造要素のモデルを弾塑性モデルへ拡張することを検討する.
|