研究課題/領域番号 |
23K22844
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補助金の研究課題番号 |
22H01574 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
勝地 弘 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (80303080)
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研究分担者 |
王 嘉奇 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 助教 (20902274)
金 惠英 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 建設安全研究グループ, 任期付研究員 (80736439)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 横風安定性 / 橋梁 / 風洞実験 / 数値流体解析 / 空気力 / 横風走行安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
海上、海岸などの橋梁上では、強風時に速度規制や通行止め措置が取られることで経済活動に大きな影響を及ぼすとともに、時には横転事故が発生するなど、交通安全の問題もある。これまでの研究によって、強風作用が車種、走行車線、走行速度によって大きく変わり、現行の規制方法に改善の余地があることが判明している。 本研究では、橋梁上を走行する車両に作用する非定常空気力を風洞実験と数値流体解析によって定量的に調査し、車両の速度、走行車線との関係で非定常空気力モデルを構築し、車両動的応答解析によって限界風速を求め、それらの結果を総合して合理的な強風時走行規制基準を確立する。
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研究実績の概要 |
海上部長大橋梁上では、強風時の車両走行安全性が技術的、管理上の大きな問題となっている。これまで風速に応じた速度規制や通行止め措置が取られてきたが、依然として横転事故や長時間の通行止めが発生している。東京湾アクアライン橋梁で検証した結果、強風作用が車種、走行車線、走行パターンによって大きく変わり、現行の規制方法に改善の余地のあることが判明した。本研究では、車両模型の走行装置を開発し、風洞実験によって橋梁上を走行する車両が他の車両とすれ違う際の空気力を車線毎に計測し、横風車両応答非定常空気力モデルとそれを用いた横滑り・横転の限界風速の評価手法の構築、数値流体解析による車両相互干渉メカニズムの検討を行い、強風時の走行安全性の向上および事故低減のための合理的な通行規制基準を検討することを目的としている。 本研究は3年計画、3名の研究者からなる研究体制を組織し、分担して風洞実験および数値流体解析を用いて進める。1年目は実験装置の開発とそれを用いた風洞実験、数値流体解析を行う。実験装置の開発に関しては、本研究のポイントとなる橋梁上を走行する車両を模擬した非定常空気力の計測のために仕様の実現が重要である。そのため、メーカーと十分に協議を行い、最終の仕様を決め装置の開発、導入を行った。風洞実験に関しては、研究分担者および学部生、大学院生と協力し、開発した装置を用いて、橋梁上の2台の車両の相互干渉効果による非定常空気力を計測した。1年目は、走行速度、車両間隔の基本的な条件を変化させた非定常空気力の計測を行い、非定常空気力モデル構築のための基礎データを得た。また、数値流体解析に関しては、研究分担者と協力し、風洞実験条件の再現を行うためのモデル化を行うとともに、車両に作用する空気力の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目のR4年度は、橋梁模型上に模型車両を走行移動させる装置の開発を行った。縮尺1/60程度を想定し、横浜国立大学風洞内(幅1.8m)に、1,400mmの区間を最大80cm/sの速度(定速区間は80cm)で移動させられる性能を確保した。また、移動車両模型内には、車両模型に作用する非定常空気力を精度よく計測する必要があることから6分力の力覚センサー(力±50N、モーメント±0.5Nm)を挿入し、移動中の車両模型に作用する空気力をwifiにてリモートコンピュータに送信する機能も付与した。作用する空気力が小さいことが予想されたことから、力覚センサーの定格は市販されているものの中から最小のものを選定し、模型内に組み込むこととした。これらの仕様は当初予定していた条件を満足することができた。 次に、研究分担者、学部生、大学院生と協力して、開発した模型車両移動装置と空気力計測システムを使用し、4車線の橋梁を想定した横風中の走行車両が上流側の車両とすれ違った際の空気力を、走行速度、走行車線を変えながら計測した。走行速度が速くなるほど、2台の間隔が近くなるほど、Indicialな応答が大きくなる結果が得られ、これらのパラメータとIndicial応答との関係を整理した。 また、数値流体解析に関しては、研究分担者と協力し、可視化風洞実験でも観察された2台の車両間のギャップフローを再現できるモデルを構築し、解析の準備を進めた。R4年度は、車両1台での非定常空気力再現を行い、2台の車両相互によるギャップフローの解析は、R5年度の風洞実験と合わせて実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目のR5年度は、研究分担者、大学院生と協力し、引き続き模型車両移動装置を使った風洞実験により、追越し、すれ違いを模擬した車両2台による非定常空気力計測実験を実施し、Indicial応答モデルの導出を行う。また、使用する車両モデルを変え、異なる車種、走行車線、速度差の組み合わせによるIndicial応答モデルへの拡張を行う。なお、2台の車両の移動側に加えて、静止側にも力覚センサーを装着し(R4年度に対応済)、双方の車両の非定常空気力を計測することで、Indicial応答のメカニズムをより詳細に検討することが可能となる。R6年度は、R5年度の結果を踏まえ、非定常空気力モデルの構築を行う。 数値流体解析に関しては、研究分担者と協力し、風洞実験で観察された2台の車両間のギャップフローの解析を行い、ギャップフローの観点から走行車両に発生するIndicialな応答と非定常空気力の形成メカニズムについて検討を行う。数値流体解析のためには、大規模な計算が必要となるために、数値流体解析ソフトウェアSTAR-CCM+での並列計算オプションを購入し、計算を進める予定である。 そして、最後に得られた一連の実験結果の一般化による車両2台の相互干渉を考慮した不安定限界風速の算出、合理的規制基準の確立を行う。
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