研究課題/領域番号 |
23K22857
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補助金の研究課題番号 |
22H01587 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 神戸大学 (2023-2024) 名古屋工業大学 (2022) |
研究代表者 |
張 鋒 神戸大学, 理学研究科, 理学研究科研究員 (70303691)
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研究分担者 |
山本 由弦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10435753)
神谷 奈々 京都大学, 工学研究科, 助教 (20886254)
岩井 裕正 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80756908)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | デコルマ / 高精度海底岩盤力学モデル / 数値実験 / 要素試験 / 学際的研究 / 海底岩盤力学モデル / デコルマ形成メカニズム / 地盤工学/地質学の学際的研究 / 弾塑性大規模並列化計算 / 地盤工学/地質学の学際的研究 |
研究開始時の研究の概要 |
深海底掘削で発見した種々の謎を、地盤力学/地質学を融合させた学際的研究により解明する。プロトデコルマ/デコルマを含む各種海底岩盤試料を用いた要素試験を行い、試料の巨視的力学挙動と微視的構造の変化を調べ、高精度力学モデルを構築し,THMA連成FEM解析を行い、謎を解き明かす。また、新しい並列処理計算方法も開発し、デコルマ形成過程を再現するとともに、デコルマの地震伝播特性も明らかにする。
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研究実績の概要 |
紀伊半島沖南海掘削で得たプロトデコルマとそうでない試料を用いて、種々の複合載荷要素試験を行い、岩石の巨視的力学挙動を調べ、またSEM・AMSによる微細構造と帯磁率異方性の変化も調べた。その結果、最大荷重に関係なく数百回の動的載荷で大圧縮が起きること、動的載荷において種々の圧密荷重を載荷し、4Pcまでの載荷でやっと20Pcの静的載荷で見られた顕著な構造崩壊が現れ始めることがわかった。これはデコルマの力学特性が動的荷重によるものとする仮説に合致している。一方、仮説を完全に証明するためには、今まで実施してきた紀伊半島沖サイトC0011の試料だけでなく、C0012サイトのもの同様な載荷試験と構造分析を行い、プロトデコルマが同様な載荷を受けてデコルマになれるかを調べた。その結果、明らかに両者の結果が異なり、仮説の合理性をあるほぼ検証できていると言える。ただし、一部の試料に貝殻が含まれているため、実験の本数が不足していることが起き、結論に決定付けるものにはまだ十分ではないため、新たなサイト試料を用いて、検証していく必要がある。 海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む過程を境界値問題として時系列的に再現する数値実験を行うために、高性能Xeon(GUGPU)搭載ワークステーション(RADIC-series)を使用し、既存プログラムにGPUが読める並列処理コマンドを書き換える作業はすでに90%完成している。強非線形性の連立方程式を解く解法の並列処理以外のサブルーチンの改造が完成しており、並列化処理により最低数百倍のスピードアップが確認された。 一方、境界値問題の数値実験を巨視的・微視的要素試験で照合する作業においては、並列化処理が完全にできない限り、さらに進められないという事実は否定できない。次年度で完全解決を目指して、第3段階の研究を実施して研究目的を達成できるように進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主なタスクは以下の三つに構成されている: 1)深海底岩石試料の力学要素試験と微視的構造解析;2) 数値実験で海洋プレートの沈み込む過程を再現する;3) 境界値問題の数値実験を巨視的・微視的要素試験で照合する。 1). につては、主に海底地盤材料の巨視的力学挙動を室内要素試験で調べると同時に外力を受けるときの微視的構造変化を地質学的手段で調べる作業である。現在はほぼ順調に進んでいるが、一部の試料に貝殻が含まれているため、実験の本数が不足していることが起き、結論に決定付けるものにはまだ十分ではないため、新たなサイト試料を用いて、検証していく必要がある。これはやや遅れている理由の一つである。 2). につては、数値実験に用いられる解析プログラムをすべて並列化処理しなければならないので、完全な解析はまだ実施できてない。現在、作業は90%が完成しているが、最難関とされる強非線形性の連立一次方程式の並列化処理について一年以上努力して実施してはいるが、予定より遅れていることは否めない。完成の見通しがまだ70%しか立っていない。 3). につては、段階2)に依存し、前段階の問題が解決しない限り、ほとんど前に進むことができない。不確実性は一番高いが、ある程度想定済みのことである。まずほかのできる着手条件を揃い、難関を突破したらすぐ作業を進めていく段取りを取っている。全体的に言えば、(3)やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)につては、すべての実験ケースをこなせなければならないので、できれば次年度に完成したいと思う。ただし、サンプルの確保は確かに不安があるので、サンプルリクエストも含めて、確実にデータをとれるように進めていく。 2)につては、現存の自前開発の計算方法が使えない上、市販プログラムも完全無用であるため、独自の計算方法を開発しなければならない。幾つかの方法を試し、もっとも効率のいいものを見つけ出す。完全に失敗することはまずないが、いかに効率を高めるのかはキーポイントとなる。現段階では見通しが70%位に立っているので、解決の自信は持っている。 3)につては、既存の解析結果(2000年、数万年のスパーンの数パーセント))と一部の要素試験データを用いて、その合理性をまず照合する。完全に解決に結びつかなくても、用いる手法の合理性と有効性をある程度検証できるので、今後の本照合に繋げていけば、時間の短縮は期待できる。ただし、現在の進捗状況を見て、時間どおりの研究任務の達成は少し遅れていると言わざるを得ない。さらなる努力が必要と思う。
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