研究課題/領域番号 |
23K22869
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補助金の研究課題番号 |
22H01599 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原田 英治 京都大学, 工学研究科, 教授 (00362450)
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研究分担者 |
後藤 仁志 京都大学, 工学研究科, 教授 (40243068)
Khayyer Abbas 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80534263)
五十里 洋行 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80554196)
清水 裕真 京都大学, 工学研究科, 助教 (20869705)
田崎 拓海 京都大学, 工学研究科, 助教 (50991501)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | 移動床 / 間隙流 / 乱流 / PIV / 微地形 / ripple |
研究開始時の研究の概要 |
事業期間は2022年から2024年の3年である。当初の計画では、実験を円滑に進めることができた場合、2022年度から2023年度初旬までに振動台水槽を用いた共振条件下での移動床表面近傍での乱流場をPIVを用いて計測し、2023年度中旬から事業期間の終了まで、実験結果と移動床シミュレーションの双方から移動床形成機構と内部構造について検討をする計画とした。ただし、流体と粒子の屈折率を合わせた実験のPIV計測には試行錯誤が予想されていたため、振動台水槽を用いた移動床実験の前に、粒子沈降過程を対象とした実験を実施するなど、簡便な実験による計測ノウハウの蓄積を進める計画とした。
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研究実績の概要 |
2023年度には、2022年度に購入した計測機材や特殊材料で形成した人工粒子を使用して、振動台装置を用い、振動水槽内での人工粒子の移動床過程を対象とした水理実験を実施した。同一条件の実験を繰り返し実施し、PIVを用いた計測から乱流場の統計データを抽出した。抽出データから、流速の平均と変動成分、またレイノルズ応力の時空間分布を考察し、移動床上の流れ場の構造に関して間隙がもたらす効果を運動学な観点から検討した。間隙の効果を浮き彫りにするため、底面粗度は同一条件とし、間隙を有した移動床と間隙のない固定床上の流れ場の時空間分布を比較した。間隙を有する条件は、間隙のない条件と比較して移動床表層近傍の境界層における運動量の鉛直方向の交換が活発であることがPIV計測から得られた。また、流体と粒子の相互作用に関する数値シミュレーションコードの再現性を確認するため、1粒径スケール程度の間隔を空けて配置した二粒子の水中沈降過程を対象に水理実験を実施し、PIV計測を実施した。既往の研究では、粒子沈降による後流渦の影響を受けてDKT現象が観察されているが、本研究でも同様の傾向が観察された。本年度に実施した移動床に関する研究成果の国際誌への投稿は準備中であるが、初年度(2022年度)に実施した粒子群沈降過程を対象とした研究成果は、国際誌へ投稿し掲載された。また、礫浜波打帯での海岸過程を対象にDEM-MPS法を用いた数値シミュレーションを実施し、国際誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の研究実施計画では、研究初年度に繰越をして購入した特殊材料を使用した人工粒子を用いて移動床実験を実施し、PIVによる乱流計測を進め、さらに、実験と同条件の振動水槽中の移動床の数値シミュレーションをDEM-MPS法を用いて実施し、移動床表層付近の乱流構造について理解を深めることを主たる目的としていた。PIVによる乱流計測では、時間が許せばステレオPIVによる計測も実施する計画であったが、時間がなく、2次元2成分のPIV計測までの計測となった。また、DEM-MPS法による固液混相流シミュレーションは実施が叶わなかった。複数回の実験を実施し、再実験の実施も含めて、乱流の統計量の抽出に想定した以上の時間を要したことが理由に挙げられる。また、粒子法のシミュレーションコードの実験に対する再現性を確認するための簡易な実験として、2粒子の水中沈降過程で観察されるDKT現象を対象とした水理実験を実施したが、粒子法ベースの混相流のシミュレーションコードによる再現性の確認は時間不足のため実施できていない。この実験では、2粒子を静かに同時にリリースすることの制御が困難であったことで、実験の実施準備に想定以上の時間を要した。また、論文投稿に関しては、振動水槽の移動床過程を対象とした水理実験および数値シミュレーションの研究について、国際誌への準備を現在進めているが、まだ取りまとめができておらず投稿ができていない。計画では実施内容を盛り込み過ぎた感があるが、昨年度にたてた計画から遅れている。水理実験実施の所要時間が想定以上であったことが、進捗の遅れの理由である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究の最終年度である。これまでの遅れを挽回するため、研究分担者に1名を追加し、水理実験および数値計算の実施をこれまで以上に加速させる。研究分担者は、研究代表者と同じ研究室に所属しており、緊密に連携し研究を進めやすい環境にある。また、これまでもPIV計測およびDEM-MPS法を用いた数値シミュレーションの研究テーマに従事しており、本研究の推進に十分に貢献できる人材である。最終年度には、まず、本年度に実施ができなかったDEM-MPS法を用いた粒子法の三次元固液混相流シミュレーションコードの再現性を確認した後、移動床実験に適用して乱流構造の検討を進める。また、少なくとも当初の研究計画で目的としていた、底質土砂輸送によって生じる底面の微小な凹凸地形の形成と間隙流の関係を示す研究成果は、研究分担者と共にとりまとめて国際誌への投稿する。なお、研究成果は、最終年度のできるだけ早い段階に投稿することに配慮し、水理実験結果および数値シミュレーションの結果の整理を並行してに進める予定とする。研究成果をとりまとめる段階で、追加実験が必要になる場合も想定されるが、その都度、効率よく水理実験および数値シミュレーションが実施できるよう十分に研究計画を練る。また、昨年度実施が叶わなかったが、ステレオPIV計測も時間的余裕があれば実施し、間隙が有ることで乱流構造が具体的に流速の平面成分だけでなく奥行き方向の成分にどのような違いが現れるのか、非等方性について検討を進めたい。
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