研究課題/領域番号 |
23K22897
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補助金の研究課題番号 |
22H01627 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
渡辺 幸三 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (80634435)
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研究分担者 |
竹門 康弘 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 客員研究員 (50222104)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 河川 / 進化 / 生物多様性 / 次世代シークエンサー / 遺伝子 / 環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、河川底生動物のゲノムワイドの塩基配列情報を解析し,種・個体群レベルおよび群集レベルの環境応答を正確に定量するすることで、以下の三つを学術的「問い」に応える。 問1 ゲノムから選択性遺伝子座を探索し,それらに影響する環境因子を見つけられるか? 問2 選択性遺伝子座情報を活用して種の生息場適性モデルの予測精度を高められるか? 問3 生物群集の機能的多様性を高める河川環境条件とは?
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研究実績の概要 |
研究項目1:生物採取と環境調査 愛媛県の肱川流域の源流~下流に分布する地点を対象として,環境調査と底生動物と環境DNAの採取を実施した。底生動物はサーバーネット(30cm×30cm,10カ所/地点)の定量採取と共に,キックネット法により十分な個体数を採取した。また,環境DNAの採取のため,現地で河川水をろ過し,濾紙に付着した物質からDNAを抽出した。環境データとして,DO,窒素,リン等の水質や餌資源量(粒状有機物,藻類),流速,水温,河床粒度分布など底生動物の生息に関係する環境項目も調査した。また,水文流出モデルSWAT+を使い,降水量・地形・ダム放流量の実測データを入力値として,各地点の流量・流速・水温・水質等の環境変数の全地点における時間動態(年最小-最大,平均など)を評価する準備にも着手した。 研究項目2:選択性遺伝子座のゲノムワイド検索 肱川流域に幅広く生息していたウルマーシマトビケラ、ヒゲナガカワトビケラ、チャバネヒゲナガカワトビケラの3種を対象種として,個体ごとにDNAを抽出した。次世代シークエンサーを用いたddRAD解析においてゲノム全体に分布する膨大な数(10,000~50,000領域が期待)の一塩基多型(SNP)領域を検出するために、上記3種を対象としてライブラリー作成の最適化を行った。また、上記種ごとのddRAD解析とは別に、ランダムに選定した5地点を対象にして、底生動物群集からDNAを抽出して、次世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析を実施した。このメタゲノム解析からは、群集に含まれるすべての種からランダムに拾われた膨大な数の遺伝子座が検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目1(生物採取と環境調査)においては、予定していた生物サンプルおよび環境データを問題なく集めることができた。水文流出モデルSWATについては、モデルの完成にまでは至らなかったが、モデルの検証のためのデータを集めて整理することもできたので、次年度中には完成させされる目途が立った。 研究項目2(選択性遺伝子座のゲノムワイド検索)においては、予定していた次世代シークエンサーを用いたddRAD解析を終えることはできなかったが、ライブラリー作成をほぼ完了している。次年度中にはddRAD解析は完了させられる目途が立った。また、当初予定していなかったが、次世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析を行った。メタゲノム解析は5地点でデータ取得済であり、次年度にバイオインフォマティクス解析を行うことで膨大な数の選択性遺伝子座データを取得できるめどが立った。 以上の理由から、概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究項目1(生物採取と環境調査)においては、水文流出モデルSWATを完成させる。 研究項目2(選択性遺伝子座のゲノムワイド検索)においては、次世代シークエンサーを用いたddRAD解析を完了させる。また、メタゲノム解析で5地点から得たデータのバイオインフォマティクス解析を完了させる。 研究項目3(生息場適性モデルの開発)では、各地点の環境変数から各種の個体群密度の空間分布を予測する生息場適性モデルを作成する。まず,サブモデルとして,今年度に得た環境データを説明変数として,研究項目2で測定した各種の各選択性遺伝子座の遺伝子型頻度を予測する。
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