研究課題/領域番号 |
23K22911
|
補助金の研究課題番号 |
22H01641 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
井戸田 秀樹 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10203192)
|
研究分担者 |
齊藤 大樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00225715)
渡辺 研司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90361930)
長江 拓也 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (90402932)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
|
キーワード | 事業継続 / 耐震改修 / 鉄骨大スパン建築 / 外部補強 / エネルギー吸収ダンパー / 既存不適格鉄骨大スパン / 耐震補強 / 連結制振 / 大スパン鉄骨建物 / 連結制震 / 既存不適格鉄骨大スパン建物 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の高度成長期に建てられた鉄骨大スパン工場建屋は十分な耐震性能を有していないものが多く,大地震時の対策が急務である。本研究はこうした建物を対象とし,工場の稼働を一時停止することなく事業を継続したまま建物外部から耐震補強をするための技術を開発することが目的である。工場建屋の部分的な損傷は許容するが,建物倒壊や梁の落下等事業継続に支障のある崩壊は起こさないことを目標性能としており,合理的かつ経済的な改修の実現が可能という点が本研究成果の大きな特徴である。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、事業継続を目標性能とした既存不適格鉄骨大スパン建物の耐震改修技術の確立である。そのためには、以下の3つの課題を解決する必要がある。[課題1]既存不適格工場建物の大地震時の大変形挙動の把握、[課題2]地震直後の一時的な業務停止がサプライチェーンに及ぼす影響から決まる工場建物の目標性能の決定、[課題3]課題1で把握した挙動に構造要素を付加することで、課題2で決定した目標性能を満足するための合理的な改修技術の確立。 令和5年度は以下の5つの項目について取り組んだ。1)既存建物の終局性能の把握と繰返し荷重下での履歴モデルの提案、2)振動実験によるダンパーの応答低減効果の確認、3)弦材に拘束材を取り付けることによる座屈後破断寿命の改善。 1)では、令和4年度の成果である既存建物の座屈後挙動の評価結果を用い、繰返し荷重下における繰返し履歴を表現できるモデルを構築した。このモデルを用いることで、ダンパー接続後の挙動についても精緻な評価が可能である。2)では、固有周期の異なる複数の試験体に対してダンパーを接続し、応答低減の効果とダンパー特性との基礎的な関係を把握した。そして3)では、ダンパー接続によっても避けられない弦材の座屈に対して、目標性能を満足させるための破断寿命の改善に向けた合理的な手法を実験的に評価し、最適な改善効果が見られる拘束材の要件について述べた。 これらの成果を最終年度である令和6年度の検討項目に引き継ぐことにより、目標とする耐震改修技術が確立できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は本研究課題の2年度目であり、現在までの進捗状況は「研究実績の概要」で説明したとおりである。研究進捗は順調であり、当初の計画通り進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度の研究の推進方針は下記の通りである。 1)目標性能の範囲に対応した構造性能の把握と定量化:令和5年度までの研究成果では、静的な繰返し荷重下でのトラス梁の荷重変形関係の把握とそのモデル化を行った。令和6年度には動的な実験を行い、提案した履歴モデルの動的荷重下での妥当性を確認する。 2)耐震改修技術の提案:提案する耐震改修技術では、事業継続のため建物外に設けたバットレス等を反力としたエネルギー吸収デバイスによる制振効果に期待している。実用化にあたっては、新設するエネルギー吸収デバイスと既存建物の接続位置、接続部分の損傷の有無等を把握できるような動的な実験を行い、提案技術の実用性を高める。 3)提案した耐震改修技術の有効性・妥当性の検証と設計法の構築:実大に近い形状のトラス梁を部分的にモデル化した試験体の振動台実験を行い、提案した耐震改修技術の有効性・妥当性を検証する。 なお、令和6年度に予定していた実大振動台実験は、試験体作成費用の高騰などで一部試験体を簡略化することになったが、研究計画および想定される研究成果について大きな変更はない。
|