研究課題/領域番号 |
23K22915
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補助金の研究課題番号 |
22H01645 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中村 尚弘 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 研究員 (50416640)
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研究分担者 |
田川 浩 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (70283629)
鍋島 国彦 神戸大学, 工学研究科, 助教 (80843622)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 減衰モデル / 構造設計 / 地震応答解析 / 3次元モデル / 多方向入力 |
研究開始時の研究の概要 |
建物の減衰は弾性時から作用する初期減衰と、部材の非線形化により生じる履歴減衰に大別できる。初期減衰は線形時だけでなく、大地震で建物が非線形化した場合も応答に影響するため、耐震設計の動的解析においてどのような初期減衰モデルを用いるかが重要な問題である。これまでの減衰モデルは、比較的小規模なモデルでの水平1方向入力を想定して設定されていた。しかし近年では大規模な3次元モデルによる2方向や多方向入力が行われるようになってきているが、このような条件に対して従来の減衰モデルでは限界がある。このため本研究では、大規模な3次元モデルに多方向入力を想定した地震応答解析に有効な減衰モデルを提案する。
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研究実績の概要 |
因果的履歴減衰モデルと拡張Rayleigh減衰モデルに加えて、近年にARUP社により提案されたUniform減衰も比較に加え、比較検討を行った。減衰定数がほぼ一定となる振動数範囲の比(Wh=条件を満たす最大振動数と最小振動数の比)は従来のRayleigh減衰ではWh=5程度あるが、因果的履歴減衰モデルと拡張Rayleigh減衰モデルでは、Wh=20以上まで拡張可能である。しかし目的とする大規模3次元モデルの3方向入力問題ではそれでは不十分であること、その目的を満たすためにはWh=50以上が必要であることがわかった。 まずUniform減衰では、陽解法に用いる場合は有効であるが、陰解法に用いる場合には時間刻みを十分小さくする必要があり解析時間が多大となるため、実用性に課題があることがわかった。そこで、因果的履歴減衰モデルと拡張Rayleigh減衰モデルのモデルの改良を試みた。 因果的履歴減衰モデルについては、ベースとなるモデルを従来のN=2モデルからN=4モデルに変えることにより、Wh=50以上のモデルを作成した。また、拡張,Rayleigh減衰については、目標減衰定数に対する許容誤差を±20%とすることで、Wh=80まで広げたモデルを作成できた。さらに中規模の質点系モデルを用いて、これらのモデルの有効性を確認した。解析精度は予想通りで有効性が高いこと、また解析負荷も従来のRayleigh減衰モデルと同程度であり、実用性が高いことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模3次元FEMモデルで多方向入力解析を行う場合の必要となる、減衰定数がほぼ一定となる振動数範囲の比(Wh=条件を満たす最大振動数と最小振動数の比)が50以上であることを示し、これまでのモデルでは不十分であることがわかった。そのため、新たなモデルを検討し、この条件を満たすモデルを提案できた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は大規模な3次元FEMモデルを用いて提案されたモデルの有効性を示す。特に解析時間がこの大規模モデルでも多大とならないことを確認する。さらにこれらの成果を、国際会議で発表するとともに、海外の査読論文に投稿する。
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