研究課題/領域番号 |
23K22922
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補助金の研究課題番号 |
22H01652 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
萩島 理 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60294980)
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研究分担者 |
谷本 潤 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60227238)
池谷 直樹 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (70628213)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 室内熱環境 / 住環境 / 都市違法居住 / 都市スラム / 室内空気質 / 実測調査 / 数値解析 / 水質 |
研究開始時の研究の概要 |
世界人口の7割以上を占める開発途上地域では、急激な都市化のプロセスで上下水道や道路等のインフラが未整備な都市スラムが形成される。この地区の住民は低品質の住環境による高い健康リスクに曝露されているが、建築環境工学研究の対象として取り上げられる事は少ない。それに対し本課題はインドネシアのジャワ島中部の都市スラムを対象として、フィールド調査による住環境の物理的な質(熱・湿気環境、空気質、水質)の実態把握を行った上で、現地の経済条件や気候風土、生活習慣に即したaffordableな環境改善方策を提示する事を目的とする。
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研究実績の概要 |
スラカルタ市の都市スラム街区に立地する17住戸において、2019年に実施した室内温湿度の実測調査データを活用し、VIT法に基づき室内の湿気によるカビ発生リスクの分析を行った。加えて、17住戸中11戸に対して、新たに現地調査を行い、室内の壁・床・天井などのカビ発生の実態調査を行うとともに、住民に対して、室内での湿気の状態に影響を与える可能性のある生活スタイルや生活スケジュールなどに関するインタビューを実施した。この結果、17住戸におけるカビの生育に好適な室内湿度となる時間の長さは2.2~12.3時間と大きく異なり、室内水蒸気発生源と換気効率の条件の違いによるものだと示唆された。特に、複数開口によるcross-ventilationが維持される住戸が少ない事、水回りや台所などでの機会換気設備や居室を隔てるドアの欠如、寝具の日干しなど室内の水蒸気濃度を下げるための生活習慣や知識の不足がある事が確認された。 加えて、2023年9月の約1ヶ月間に渡り、スラカルタ市における都市スラム改良プロジェクトにより建設された3街区において各2住戸、計6軒において、室内熱環境に関する実測調査を行った。これらの街区は、住民の合意形成に基づき既存の都市スラム街区を再開発し建設されたもので、長屋形式またはタウンハウス形式である。各住戸ユニットの床面積50㎡程度と狭い。自治体は最低限の基礎・躯体工事を担当し、内外装・建具工事は各世帯で住民が負担して行う方式が採られている。窓開口の大きさや位置などについて、建築環境分野の専門的な知見が反映されていない。実測データの解析からは室内熱環境は快適範囲外となる時間帯が相当長い事が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地研究者の協力を得て、スラカルタ市において6住戸における同時連続での室内熱環境実測を実施する事ができた。測定期間中は天候に恵まれ、住戸デザインによる室内熱環境の違いを比較検討するための十分なデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
スラカルタ市の都市スラムの改良住宅6軒において実施した室内熱環境実測調査のデータ分析を継続し、住戸デザインによる熱環境への影響を明らかにする。加えて、対象とした都市スラムの改良街区3箇所における住民アンケートのデータの分析を行う。加えて、密集低層住宅における種々のデザインパラメータが室内熱環境に及ぼす影響を、EnergyPlusなどの建物エネルギー計算ソフトウェア上にモデリングし、現地の気候風土に即したパッシブデザインのあり方について整理を行う。
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