研究課題/領域番号 |
23K22935
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補助金の研究課題番号 |
22H01665 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 徳島文理大学 (2024) 山口大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
岡松 道雄 徳島文理大学, 人間生活学部, 教授 (90591157)
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研究分担者 |
宋 俊煥 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00725244)
毛利 洋子 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (90610444)
鵤 心治 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30264071)
小林 剛士 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40553160)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 一体型滞在快適性向上 / 一体型滞在快適性 / インターフェイス / デザインガイドライン / 官民連携 / 街路景観 / 官民連携体制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、境界領域の建築的「設え」(建築インターフェイス)が滞在や交流を促すことに着眼し、滞在快適性を向上させる要因を明確化する。法が示す「滞在快適性」という定性的な概念を、客観性のある指標で評価し、定量・定性両面から①事業評価手法と有効性の検証、②新たな事業へ適用する指針の獲得を目的とする。そのため、まず国内外の成功事例や街路を対象に境界領域の物理的環境(設え)を定量指標で分類整理する。次にアクティビティ調査により「設え」を検証し事業評価手法を構築する。以上より特措法の税制特例判断基準に応えると共に、地方都市へも適用可能な汎用的知見を獲得し、同法が目指す全国の「都市の魅力」向上に寄与する。
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研究実績の概要 |
初年度における研究実績として、(1)国土交通省HP、関連既往研究、日本建築学会の関連文献等を対象とした「一体型滞在快適性向上」に関する文献調査、(2)大阪市の水辺空間活用事例やヴェネツィアのバールを対象とした建築インターフェイス調査、(3)山口県宇部市船木の旧宿場町や周南市メインストリートを対象とした3D実測とそのデータを再現したVR画像によるデザイン検討、(4)ポートランド市の都市デザイン基盤情報としての都市密度の調査分析、(5)宇部市、山口市、竹原市、広島市の各中心市街地道路を対象にした道路空間再編を目指した社会実験、(6)長崎市の中心市街地の「まちかど」において稲佐山を見上げる仰角景観の視点場調査分析、(7)駅を含む中心市街地のウォーカビリティ向上再開発好事例(三宮、姫路、熊本、延岡、日向、大分)の調査を行った。これらの調査分析等をもとに、建築学会中国支部での口頭発表6編および建築学会技術報告書(査読付き)1編を投稿し掲載決定となった。また社会実験実施時に仮設ベンチやカウンターに対する来場者のアクティビティを記録し画像データとして蓄積、来場者アンケートも実施し単純集計まで行った。現在は3Dデータの加工方法の検討と、加工機材の選定を検討中である。社会実験で採取したデータの分析・集計方法についても検討を進めている。並行して、国土交通省が推奨する好事例調査データの整理と、一体型滞在快適性向上区域指定16地区を合わせたウォーカブル事業推進自治体へのアンケート・ヒアリング調査の準備を行っている。 以上の実績は、研究目的に挙げた「定性的・定量的事業評価手法」の概念構築に重要な部分である。実施計画上の【STEP1】で掲げた目標の大部分は達成されたと考えるが、あくまで仮説的な体系化と認識しており、【STEP2】で行う事例調査(本調査)において検証・修正する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度においては、①建築側におけるインターフェイス概念の整理、②都市空間側のウォーカブル概念の整理、③建築側と都市空間側の概念の整合性や対応関係の調査、④現地調査や実践活動による事前検証と仮体系化(仮指標作成)と3DVR検討を行う予定であった。①については、建築学会による仮定概念を基に④の現地調査(大阪市およびヴェネツィア)を行い、建築の現況を仮定概念に従って記述した。その結果をまとめ仮指標による数量化と仮評価までを行った。②については、国土交通省による発表資料を点検し、ウォーカブルの概念が都市空間側からのマクロな視点に重点がおかれ、建築側の設えについての概念整理が不十分であることを確認した。③について、官民連携が謳われている一方で、具体的な連携手法が未整備であることを確認した。これら②③の課題について、既往研究も含め具体的な整合関係の考え方を整理中である。④の現地調査と3Dデータについては、360度カメラと3Dスキャナの両機能を備えた3D点群測量機を使い、山口県宇部市船木の旧宿場町を実測した。また山口県周南市徳山駅前のメインストリートを対象に、沿道デザインVRシステムを作成し実効性の検討を継続中である。計画では、これらの3Dデータを研究室で再現し、常時検証可能なように加工する予定であったが、交付決定前の5月末から、研究代表者が入院・療養したため、予定していた計画に遅れが生じた。その後も計画に沿って補助事業を遂行したが、研究計画の進捗に遅れが生じ、渡航費用や分析機器購入の未使用額が発生した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、国内の事例調査の積み増しに加え、ウォーカブル施策の先進都市であるポートランドでのデザイン事例とそれを支える施策やガイドラインの調査を行う。並行して、初年度に予定していた3Dデータの加工と研究室における再現検討作業(代表者が手術入院したために遅れた年度末実施予定の作業)を早期に実施するため、積み残した研究費の調整金申請を行う予定である。その他、研究計画書に従い、2年度【STEP2】に行う予定としている以下の(1)(2)について研究を推進する計画である。 (1)一体型滞在快適性向上区域指定を受けた16個所、建築学会により示された建築インターフェイス事例、歴史的事例、仮設事例、国外事例の統計調査(定量的マクロデータ分析と傾向分析)および精密調査(詳細寸法等の定量的ミクロデータ分析と定性的データの分析)を行い、これらに建築用途や接道条件等の建築的要素を加味した多面的比較分析を行うことで事例間に共通する空間活用の特徴を見いだす。 (2)街区レベルの検討可能な整理・統合(データベース化)を行うことで国土交通省の3DデータオープンシステムであるPLATEAUへの連携を模索する予定である。この点において、積み残された3Dデータの加工が必要となる。 これらを総合して3年度に予定している【STEP3】(インターフェイスの定量的・定性的評価)の素地が形成されると考える。 なお、6.研究実績の概要(5)で述べた竹原市での道路空間再編のための社会実験に関連して、仮設実験効果を確認したうえで、日常的に使用可能な「ストリートファニチャー」を実施制作し、竹原市の中心市街地に設置した。この成果の意義を確認するため、2023年度グッドデザイン賞審査への応募を計画している。
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