研究課題/領域番号 |
23K22944
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補助金の研究課題番号 |
22H01674 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
乾 睦子 (林睦子) 国士舘大学, 理工学部, 教授 (10338296)
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研究分担者 |
中澤 努 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ付 (50357620)
西本 昌司 愛知大学, 法学部, 教授 (80908723)
平賀 あまな 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (90436270)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 石材 / 近代建築 / 大理石 / 花崗岩 / 蛇紋岩 / 建築石材 / 結晶質石灰岩 / 歴史的建築物 / 石灰岩 / 国産石材 |
研究開始時の研究の概要 |
明治時代後半から昭和中期にかけて、日本の近代建築物には国産石材も多く使われた可能性があるが、文化財等は壊して分析することができないため鑑定が難しい。そこで、当時の建築石工事の多くを手掛けた矢橋大理石株式会社(大垣市)の在庫原石の中から主要な銘柄の標本を作成し、破壊分析や非破壊分析を行い、より科学的に鑑定できるような資料集を作成したい。本研究によって石材の産地を科学的に鑑定できるようになれば、建築物を文化財として評価する際にもより正確な情報を提供することができる。
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研究実績の概要 |
矢橋大理石株式会社が在庫として保管している国産石材原石の銘柄リストを検討し、化学分析による同定の必要性が高い(肉眼で見た目が似ている石材がある等)と思われる銘柄を選定して破壊・非破壊分析を開始している。第一段階としてまず白色系の地色に緑色の縞を含む複数産地の銘柄(茨城県産「水戸寒水」、岩手県産「白雲」、高知県産「渓流」)を中心に岩石薄片観察と化学分析を行い、銘柄を同定する手掛かりとなるような情報のカタログ化を試みている。その内容の一部は日本地質学会第130年学術大会にて発表した。さらに、ポータブル型の蛍光X線分析装置を導入し、主に深成岩類の化学分析においてまず測定回数と平均値の収束について検討を行った。この他、実際の近代建築物において現地調査にポータブル蛍光X線分析装置を活用し、現地での測定も有用であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歴史的な近代建築に多く使用されている銘柄を中心に、これまでに結晶質石灰岩27銘柄、蛇紋岩3銘柄、深成岩5銘柄について大判スライスの作成を矢橋大理石株式会社に依頼した。そこからそれぞれ30cm角鏡面研磨サンプルを1点ずつ、ハガキ大鏡面研磨サンプルを4点ずつ、および薄片作製と破壊分析用の端材を入手した。結晶質石灰岩16銘柄については中型薄片と同箇所の鏡面研磨サンプルを作製し、肉眼で見える色・模様と、同じ部分の鉱物組成・組織とを対応づけカタログ化しようとしているほか、かつての産地(山口県秋吉台)を訪問し、実際にどのような部分が採掘されていたのかを確認した。深成岩類についてはこれから小型薄片を作製しようとしている段階にある。非破壊分析用にはポータブル型の蛍光X線分析装置を導入し、実際の建築物での分析や、実験室内で鏡面研磨サンプルの化学分析を試行している。
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今後の研究の推進方策 |
産地情報が確実な国産石材銘柄の試料を入手したことは重要な成果であり、今後はまずこれらの入手した原石の分析と記載を行いカタログ化を進める。そのためには端材を用いた破壊分析(岩石薄片観察および化学分析)を丁寧に行い、その結果を石材の色や模様を対応付けていく。 まだサンプルを入手していない銘柄については矢橋大理石株式会社に引き続き協力を依頼し、追加で在庫原石のスライス加工を依頼する予定である。国産石材の確実な鑑定のためには同時代に使用されていた輸入石材もカタログ化しておく必要があり、今回は輸入石材も対象として銘柄を選定する。 最終的に目指すのはポータブル化学分析装置による石材産地同定である。ポータブル装置は分析径が大きいため(約9mm)これで産地の違いを検出できるように新たな手法を開発する必要がある。実際の建築物での分析と同定テストを行いながら同定の正確さを高めたいと考えている。
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