研究課題/領域番号 |
23K22947
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補助金の研究課題番号 |
22H01677 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
小笠原 俊夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20344244)
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研究分担者 |
青木 隆平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (00202466)
熊澤 寿 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (20344252)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | CFRP / 極低温 / マイクロメカニクス / 力学特性 / 水素 |
研究開始時の研究の概要 |
極低温におけるCFRPの微視的損傷進展メカニズム解明と予測手法の確立は、液体水素タンクへのCFRP構造の適用において解決すべき重要課題のひとつである。CFRPでは極低温において室温よりはるかに低いひずみ域(0.5%以下)から微視的損傷が発生/進展する。本研究では極低温におけるCFRPの微視的損傷解析技術の確立を目的として、① 極低温におけるミクロ領域でのin-situ観察手法の確立、②極低温における微視的破壊・損傷進展メカニズムの解明、③ 微視力学モデルの構築、を行う。更にその応用として、④ 気体漏洩抑制層を適用したCFRPの微視的損傷解析と実験検証、を実施する。
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研究実績の概要 |
極低温におけるCFRPの微視的損傷進展メカニズム解明と予測手法の確立は、液体水素タンクへのCFRP構造の適用において喫緊に解決すべき最重要課題のひとつである。極低温では成形温度との温度差に起因する顕著な熱残留応力と、樹脂及び繊維/樹脂界面の低温脆化の影響で、低ひずみ域(0.5%以下)から微視的損傷(樹脂割れ、繊維/母材のはく離等)が発生/進展すると考えられている。本研究では、極低温(~ 30 K)におけるCFRPの微視的破壊(損傷)現象の学理を解明し、損傷進展解析のための微視力学モデルを構築することを目的とする。 はじめに、極低温(30 K)において小型試験片の引張り試験と微視的損傷進展のin-situ観察を可能にするための小型材料試験機をあらたに開発し、試験片の評定部を顕微鏡によって詳細に観察するための実験手法を確立した。また薄層CFRP積層板に対して、上述の小型材料試験機を使用した引張試験により、室温および極低温(~30K)におけるマトリクスき裂進展挙動のin-situ観察を実施した。その結果、室温と比較して30 Kの方がき裂進展が開始するひずみが小さくなること定量的に把握した。 更に、in-situ観察結果から、CFRP積層板のマトリクスき裂進展の臨界エネルギー開放率(破壊じん性値)を確立論的shear-lagモデルによって同定する手法をあらたに提案した。その結果、マトリクスの破壊じん性は低温の方が高くなる傾向が得られた。以上のことから、極低温(30 K)における微視的損傷の増大は主に熱残留応力による影響が大きいことが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極低温でのin-situ微視的観察可能な小型材料試験機の開発、薄層CFRPの微視的損傷進展評価、十字試験片による気体漏洩の実験評価、OFDR-FBGセンサによる微視的損傷検出方法の検討などの各過大について、いずれも予定通り実験および評価が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
極低温(~ 30 K)におけるCFRPの微視的破壊(損傷)現象の学理を解明し、損傷進展解析のための微視力学モデルを構築することを目的として、① 極低温におけるミクロ領域でのin-situ観察・評価手法の確立、②極低温における微視的破壊・損傷進展メカニズムの解明、③ 微視力学モデルの構築、を引き続き実施する。また、その応用として、④ 気体漏洩抑制層を適用したCFRPの微視的損傷解析と実験検証も実施する。 極低温におけるミクロ領域でのin-situ観察手法の確立としては、2023年度に開発した小型材料試験機をベースにして、温度制御範囲の拡大(30K~室温)、DIC法などによるひずみ測定手法の検討などを進める。in-situミクロ観察で得られた微視的き裂進展の実験データから、母材樹脂および繊維/樹脂界面力学特性を同定するための確立論的な逆解析手法について引き続き検討する。更に極低温における樹脂や界面特性の変化について定量的な考察を進め、損傷現象を解明する。 同時に、薄層CFRP積層板の十字試験片を対象とし、室温および極低温での二軸引張り応力下におけるマクロな引張り試験によって微視的損傷進展や引張応力と、Heガス漏洩の関係について実験による評価を行う。OFDR-FBGセンサを利用したマトリクスき裂進展の計測についても引き続き検討する。
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