研究課題/領域番号 |
23K22962
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補助金の研究課題番号 |
22H01693 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稗方 和夫 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80396770)
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研究分担者 |
西野 成昭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90401299)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 海上物流 / カーボンニュートラル / マルチエージェント / 意思決定 / 制度設計 / シミュレーション / 海上物流システム / インタラクティブシミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
海運分野の二酸化炭素排出量削減には、国際海事機関等による規制や協定、造船会社や舶用機器メーカーの技術開発と製品戦略に加え、金融機関、燃料インフラや海運会社など多くのステークホルダーが協調する必要がある。本研究は、技術開発戦略や国際的な規制などを入力とし、海上物流に与える影響を評価するためのインタラクティブなシミュレーションシステムを開発する。また、開発したシステムを利用したハンズオンワークショップ形式の被験者実験を行い、ステークホルダーの意思決定の根拠や基準の数値的なモデル化を行う。得られたモデルによりステークホルダーの意思決定を模擬し、脱炭素化に有効な政策や介入などを探索し、提言する。
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研究実績の概要 |
本研究では、独立の意思決定主体によって構成されるシステムの挙動をシミュレーションにより再現し、そのシステムを望ましい姿にするための介入方法を検討する方法論の構築を目的とする。また、構築した方法論を、海上物流の脱炭素という複雑な利害関係を備える重要な社会課題の事例において評価する。この研究を進めるにあたり、独立した意思決定主体による意思決定の組み合わせとしてのシステムの挙動の再現が必要となる。例えば、海運会社の船舶購入の意思決定の基準を、船価、将来の輸送需要、保有船舶の船齢など、数値基準を含むルールベースのような形での定義を試みる。本研究では、インタラクティブに人間が操作するシミュレーションシステムをまず構築し、海事産業従事者による被験者実験の結果から船舶購入に関するルールを学習するというアプローチを採用する。学習した意思決定モデルをマルチエージェントに組み込むことで海上物流システム全体の挙動の再現を行う。本年度は、前年度に実施した文献およびこれまでの研究活動で関わりのある実務者からの情報により海事産業の利害関係に関する調査を踏まえ、船会社における実務の調査や、官公庁の動向調査を行った。また、ユーザーインタフェースを中心に海上物流のシミュレーションモデルの改善を実施した。開発したシミュレーションモデルを用いたハンズオンワークショップについて、前年度の国際会議TE2022で得られた知見を反映し、TE2023においても実施した。また、船会社の意思決定のモデル化やシミュレーションシステムについてこれまでに得た成果の論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーションモデルの開発に関して、主要なステークホルダーである荷主や海運会社の意思決定プロセスのマルチエージェントへの組み込みは完了している。シミュレーションモデルに関する査読付き論文は国内和文論文誌に採択され、明確な成果として得られた。また、インタラクティブシミュレーションを用いたハンズオンワークショップを国際会議において2年連続で実施し、今後も順調に研究を進められることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究テーマは、学術面ではシミュレーションモデルの開発や利害関係者を超えた合意形成に関する新しい知見を発見することを目指している。一方で、学術面だけではなく、国際海運のカーボンニュートラル化を進めるという社会的要請に応えることにも取り組んでいる。提案時には国内の海運会社との人的ネットワークからの情報に基づいて研究を進めることを予定していたが、今年度は海外に拠点を置く海運会社との情報交換も十分に実施できた。今後は、研究成果を国際海事機関の動向に整合させるため、海外の研究者との情報交換を積極的に実施し、国際海運のカーボンニュートラルに貢献する研究成果を生み出すことを目指す。
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