研究課題/領域番号 |
23K22974
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補助金の研究課題番号 |
22H01705 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
西田 祐也 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (60635209)
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研究分担者 |
安川 真輔 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (90837973)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 水中ロボット / ケーブル拘束運動 / 長期海底観測装置 / 海底資源探査 |
研究開始時の研究の概要 |
世界的に海中工学の技術が向上しているが,いまだ海洋資源や周辺環境を長期的に観測する装置が実現していないため,海洋資源の生成や減少メカニズムは解明できるだけの十分なデータが計測できておらず,資源の有効利用に至っていない. 海洋資源開発に必要不可欠な時系列データを計測するために,低リスク(紛失リスクが少なく,紛失してもコスト的に損害が小さい)で広範囲に渡って海底を長期間観測できる装置の実現が望まれている.本研究では高価なセンサを搭載することなく低リスクで長期観測ができるケーブル拘束型海中ロボットを用いた長期観測装置を開発する.
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研究実績の概要 |
まず初めに本年度は,CUVの動作手法の開発に取り組み,CUVがケーブルをほとんど撓ませることなく設定軌道を航行するために必要な遠心力方向の推力を求めた.本観測装置においてケーブルが撓む原因は,ケーブルの自重(または浮力)とCUVがケーブルを移動させることによって発生する流体抗力の2つ力であると考えられる.本研究では,微小区間におけるこの2つの力とケーブルに左右する張力との関係式から,任意の撓み率を維持するために必要な遠心力方向の推力を算出する式を導出した.その遠心力方向の推力の算出式は,ケーブルの撓みの関係式と同様にカテナリー曲線に基づくことが分かった.導出した式の評価を行うため,CUVを用いた長期海底観測装置の試作機を制作し,水槽にて実験を行った.実験の結果,モーションキャプチャで計測したCUVの実際の軌道と以前の研究で得られた数式で算出したCUVの理想軌道とのRMSEは約0.02mであった.この実験の最大ケーブル長は3.0mであるため,導出した式に基づいて推力を発生させたCUVは0.7%以下の撓みで航行していた. 次に72時間観測可能なCUVを用いた長期海底観測装置の実証機の開発に取り組んだ.本観測装置においてCUVは,外乱に関係なく遠心方向と接線方向に設定航行速度に応じた推力を常に発生させる必要があるため,スラスタの数や配置が消費電力に大きく影響を及ぼす.そこで本研究は使用予定のスラスタの推力曲線を使った数値シミュレーションにて,効率的なスラスタの数や配置を決定した.また,観測装置に必要なバッテリー容量を算出するため,作成した長期観測装置の試作機を実海域に展開し,CUVが移動に必要な電力を計測した.シミュレーションと実験結果をもとに72時間航行できる実証機の設計を行い,制作まで完了した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた通り,今年度は申請時に立てた研究項目1-1“長期海底観測装置の開発”および項目1-2“CUVの動作手法の開発”を終えている.項目1-1において,0.7%以下の撓みでCUVが航行できる動作手法(推力算出式)を開発していることから,目標として設定した「5%以下の撓みで航行できる動作手法」を十分に満たしていると言える.また,この評価試験時に,2023年度に実施する研究項目2-2“海底フォトモザイクの生成手法の開発”のために必要なデータセットも取得している.項目1-2において,試作機を用いた実海域試験でCUVの消費電力を計測し,スラスタの配置や数の影響についても十分に検証した後に実証機を設計・制作していることから,設定した「72時間観測可能な装置」という目標を達成していると考えられる.以上のことから,現在までの進捗状況は,「(2)おおむね順調に進展している」と言える.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は72時間観測できる長期海底観測装置を開発しただけであり,開発した装置の実際の観測時間を計測していない.まず,2023年度は開発した長期海底観測装置に動作手法を実装し,水槽にてその動作性能を評価すると共に最大観測時間を計測する予定である.また,その実験の際に水底に形状が既知なオブジェクトを設置し写真を撮ることで,2023年度に開発する予定の海底フォトモザイク生成手法の評価に使用する.水槽にて十分な検証を行った後,2024年度に実施予定の実海域運用プラットフォームの開発のための知見を得るため,実海域にて長期海底観測装置の実験を行う予定である.
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