研究課題/領域番号 |
23K22976
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補助金の研究課題番号 |
22H01707 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
瑞慶覧 章朝 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (00601072)
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研究分担者 |
江原 由泰 東京都市大学, 理工学部, 名誉教授 (40308028)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 船舶排ガス / PM / 電気集じん / 省エネルギー / 電気集塵 / 静電気 |
研究開始時の研究の概要 |
船舶からのディーゼル排ガス中に含まれるブラックカーボン(BC)及びブラウンカーボン(BrC)は、大気を加熱し、北極域の雪氷の融解を促す気候変動の促進につながる深刻な物質である. 本研究の目的は、BC及びBrCが微弱に帯電されていることに着目して、空気の絶縁破壊に近い高電界をつくり出しエネルギーをほとんど消費することなく、超高効率で除去する。BCとBrCの除去メカニズム、除去率・消費電力に対する高電界の効果、最適矩形波交流波形を明らかにする.実用性、経済性の観点から本技術の最適化を図る.
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研究実績の概要 |
本研究では、ディーゼル排ガス微粒子に対する高電界型電気集塵装置(ESP)の集塵効果と集塵率に対する風速、排ガス温度の影響について検討した。ESPは接地用円筒電極内に高電圧印加用円柱電極を電圧供給バーで吊り下げた同軸円筒構造とした。電極間隔は10 mm、円柱電極長は470 mmとした。円柱電極の端部は、火花放電が起きにくいように半径5 mmで丸みを設けた。電極間には最大19 kVの負極性直流電圧を印加し、高電界を形成した。ディーゼルエンジン(出力 3 kW)の燃料はA重油、負荷率を100 %とし、電極間に排ガスを流した。排ガス風速は風量調節ダンパーにより1 m/s ~ 4.8 m/s、排ガス温度は熱交換器によって30 ℃ ~ 130 ℃に調節した。排ガス中の粒子濃度を測定するために、ESP下流側ダクトから排ガスと等温でその一部を吸引し、粒子をフィルタに採取した。この時の吸引流量は10 L/min 、吸引時間は15 minとした。フィルタは粒子採取前後に恒温槽において50 ℃で2時間乾燥後、電子天秤を用いて秤量した。そして、フィルタの質量差から粒子濃度を求め、集塵率を算出した。その結果、印加電圧19 kVにおいて、放電電流は測定限界の0.01 mA以下であり、ほとんど流れなかった。また、印加電圧が高く、電極長が長く、風速が遅いほど集塵率が高くなった。排ガス温度が低いほど、印加可能電圧を高くでき、集塵率を高くできた。本研究では、温度30 ℃、風速1 m/s、電極長470 mm、印加電圧19 kVにおいて、電力を消費することなく集塵率92 %を達成した。しかし、集塵率は、運転時間の経過とともに、再飛散の影響により低下する傾向がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
風速、排ガス温度の影響を検討することで、電力をほとんど消費することなく集じん率90%以上を達成した。新たな実験装置の設計製作もほぼ完了し、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の結果を踏まえ、2023年度は次の項目について検討する。 (1)矩形波交流高電界の再飛散抑制効果、(2)除去率に対するパンチング電極および電極長の効果、(3)BC、SOF、PAHs及び塩類の除去率、(4)除去率の粒径特性、(5)BC等の除去機構および再飛散防止機構。実験は排気量400 ccのディーゼルエンジンの実排ガスを用いて行う。排ガスは、熱交換器を通過した後、高電界ESPで処理されダクトから排出する。熱交換器は排ガス温度を30°Cから150°Cの範囲で調整するために用いる。熱交換器を通過した排ガスは、高電界ESPに送り込まれBC等が除去される。高電界ESPにおけるBC等の除去効果を検討するため、ローボリウムエアサンプラ(LVS)を用いて、最下流のダクトから排ガスの一部をガスと等温で吸引する。各物質の質量濃度は、フィルタに捕集したBC等をソックスレー抽出後、超音波洗浄し、電子天秤、イオンクロマ トグラフィーを使用して評価する。個数濃度に関しては、等温吸引した排ガスを10倍から100倍で等温希釈したのち、常温まで冷却し測定する。粒径16 nmから200 nmまでを走査式モビリティーパーティクルサイザー(SMPS)、粒径300 nmから5,000 nmまでを光散乱式粒子濃度計数装置を用いて計測する。計測した濃度からBC等の除去率を算出する。
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