研究課題/領域番号 |
23K22982
|
補助金の研究課題番号 |
22H01713 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
一ノ瀬 元喜 静岡大学, 工学部, 准教授 (70550276)
|
研究分担者 |
佐山 弘樹 早稲田大学, 商学学術院, 教授(任期付) (30345425)
伊東 啓 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (80780692)
舘石 和香葉 北海道武蔵女子大学, 経営学部, 助教 (70992220)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
|
キーワード | 社会的ジレンマ / 自発的ワクチン接種行動 / オンライン実験 / 人工社会 / 協力行動 / 公共財ゲーム / ボット |
研究開始時の研究の概要 |
パンデミック阻止の効果的な対策はワクチンであるが,ワクチン接種行動は,自分は接種しなくても多くの他人が接種してくれれば集団免疫が獲得され,感染可能性が大幅に減少するという社会的ジレンマの問題を内包している.代表者は,この厄介な問題に対して,集団の共通目標の設定と危機感の共有が解決の突破口となり得ることに目を付けた.そこで本研究では,Web被験者とボットが混在した人工社会を構築して,目標設定の有無や目標達成度に応じて人々の行動がどのように変化するかを明らかにする.これにより,自由意思決定に任せた(強制ではない)ワクチン接種行動の限界を探り,協力行動の促進メカニズムに新たな知見を提供する.
|
研究実績の概要 |
本研究では,クラウド上で,Web被験者とボットが混在した人工社会を構築して,大規模なオンライン実験を行うことで,ワクチン接種行動などの社会的ジレンマの問題に対して,目標設定の有無や目標達成度に応じて人々の行動がどのように変化するかを明らかにすることを目的としている. 本年度は1年目であった.まずクラウド実験システムを構築するために,既に十分な実験経験のある共同研究者と春から夏にかけて複数回の打ち合わせを行った.その後,実験システムの構築として主に2つの作業を同時に行っていった.1つ目はWeb被験者を募集するためのクラウドソーシングの作業である.Yahoo!クラウドソーシングにタスクを実行できるオーナーとして登録を行った.その後,既に出ているYahoo!のクラウドソーシングのタスクを見て,書かれている内容を整理し,我々の実験においてどのような文章を書けばよいかを検討した.その結果,秋ごろまでにはタスクを依頼する文章が完成し,Web被験者を集めることができる状態になった.もう1つの作業がWeb被験者を誘導してオンラインで実験を行ってもらうためのクラウドサーバ実験システムの構築である.共同研究者のノウハウがあることからクラウドサーバはAmazon Web Servicesで借りることにして実際に夏頃からサーバの運用を始めた.サーバの初期設定を1ヶ月ほどかけて行った.次に実際にWeb被験者にオンラインで同時に意思決定をしてもらうゲームの構築を行った.これは専用ソフトのoTreeと呼ばれるものを使って行った.oTreeでのゲーム環境の構築には3ヶ月程を要した.以上により,実験環境が整ったので,実際に数百人のWeb被験者を集めた予備実験を3月17日に行った.今後は本実験を進めていく予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の計画は,当初は実験の仕様書作成とoTreeによる実験システムの画面作成まで予定していた.しかし実際には実験システムは完成し,最終的には当初予定していなかった数百人規模の予備実験まで3月に行うことができた.この研究の進展は,このようなオンライン実験のノウハウがある共同研究者とシステムの構築前に複数回の十分な打ち合わせを行うことができたことに起因する.この綿密な打ち合わせのおかけで,実験システムにどのような具体的なツールを使えばよいかがわかり,さらには実験の文章などのテンプレートも共有してもらえたからである.当初の計画以上に研究を進めることができたので,今後も計画を前倒して進めていきたいと考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は早速本実験を行う.しかしこの実験は,「ワクチン接種行動などの社会的ジレンマの問題に対して,目標設定の有無や目標達成度に応じて人々の行動がどのように変化するか」の前段階の研究課題に関するものである.つまり,ボットの有無,またはゲームをやっている相手がボットかどうか公開したり,非公開にしたりすることで人々の行動がどのように変化するかを調べる実験である.これによりボットと人の混合グループで社会的ジレンマの問題に対してどのくらい協力的にできるかを明らかにする.合計で800人近くのWeb被験者を集めて実験することを予定している. その実験が終了してデータの分析が終わり次第,本題である「ワクチン接種行動などの社会的ジレンマの問題に対して,目標設定の有無や目標達成度に応じて人々の行動がどのように変化するか」をボットとWeb被験者が混在した環境で行う.こちらの本題の実験に関しても実験に関する研究計画書の執筆を既に共同研究者と開始しており,研究課題や仮説について深く考えながら計画を立てている.執筆した研究計画はオープンサイエンスフレームワークのサイトに掲載予定である.研究計画書が出来上がり次第,実際の実験システムの構築作業に移る.
|