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液相詳細反応機構を考慮した革新的熱流体解析に基づく自着火現象の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K22993
補助金の研究課題番号 22H01725 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分25020:安全工学関連
研究機関横浜国立大学

研究代表者

伊里 友一朗  横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (90794016)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
キーワード化学推進 / 化学反応 / 自着火 / 液相反応 / 詳細反応モデル / 量子化学計算 / 詳細反応モデリング
研究開始時の研究の概要

本研究は2液式宇宙機推進剤であるヒドラジン/四酸化二窒素混合系が呈する衝撃波を伴うような激しい自着火(ハードスタート)のメカニズムについて、化学反応・数値流体シミュレーションおよび高速度撮影から考察するものである。申請者が独自に研究開発してきた量子化学計算を応用した純理論的反応機構解析技術を溶液反応解析に一般化し、この手法を活用することでヒドラジン/四酸化二窒素2液式推進剤の自着火現象に関する化学反応論的理解を得る。加えて流体シミュレーションや高速度撮影を用いて、ヒドラジン/四酸化二窒素の2液混合から自着火に至る過程を詳細解析・測定する。

研究実績の概要

本研究は化学反応/流体シミュレーションおよび液滴/プール衝突混合実験からヒドラジン/四酸化二窒素系推進剤が呈する衝撃波を伴うような激しい自着火(ハードスタート)のメカニズムについて考察することである。ヒドラジン/四酸化二窒素系推進剤を使用したスラスタ技術は,長い運用実績の過程で洗練化されてきたが,ハードスタート問題は未だに十分に回避されているとは言い難く、発生機構の反応論的理解に基づいたハードスタート防止技術が強く求められていた。
2023年度は量子力学/連続誘電体モデル(QM/PCM)法に基づいたヒドラジン/四酸化二窒素混合系の液相中における詳細反応モデルと気相反応モデルを錬成した気・液同時の詳細反応シミュレーションを達成した。液相反応に関する拡散過程や活性化過程を考慮した速度定数モデリングが可能になった。シミュレーション結果より、ヒドラジン/四酸化二窒素系推進剤の着火過程は気/液で全く異なる化学反応機構に基づくことが明らかになった。
一方、QM/PCM法に基づいた速度定数の推算において理論的課題(統計熱力学に基づく分配関数の定式化)があることが発見された。2024年度はこの理論的課題を解決することでQM/PCM法に基づいた液相中の反応速度定数推算技法を完成させ、これを用いたヒドラジン/四酸化二窒素混合系の液相詳細反応モデリングを達成する。
2023年度はヒドラジン/四酸化二窒素の液滴/プール衝突混合実験を実施し、衝撃波発生挙動のシュリーレン高速度撮影を達成することができた。2024年度は高速度撮影結果を解析し、衝撃波発生機構について考察する。加えて、接液条件を各種変更した衝突混合実験を行うことで実験的にハードスタート発生条件を模索する。さらに粒子法を用いた流体シミュレーションにより2液の混合状態を計算し、起爆直前のヒドラジン/四酸化二窒素の液体混合状態を解析する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、量子力学/連続誘電体モデル(QM/PCM)法に基づいたヒドラジン/四酸化二窒素混合系の液相中における詳細反応モデルと気相反応モデルを錬成した気・液同時の詳細反応シミュレーションを達成することができた。液相反応に関する拡散過程や活性化過程を考慮した速度定数モデリングが可能になった。しかし、当該シミュレーションモデル構築で使用したQM/PCM法に基づいた速度定数推算法において理論的課題(統計熱力学に基づく分配関数の定式化)があることも発見された。当初計画では2024年度は構築した詳細反応モデリング技法と流体シミュレーションを錬成させながら、ヒドラジン/四酸化二窒素混合系の着火衝撃現象について理論的にアプローチする予定であったが、反応シミュレーションにおける理論的課題を解決する必要があり、遅れが生じている。
理論的にはやや遅れているが、実験的には想定以上の進捗速度でデータ収集を行うことができている。2023年度は、2022年度に引き続きヒドラジン/四酸化二窒素の液滴/プール衝突混合実験を実施し、衝撃波発生挙動のシュリーレン高速度撮影を達成することができた。これを詳細解析することで衝撃波発生源、すなわち着火衝撃発生点を特定できると考えられる。2024年度は既存データの詳細解析を進めると共に、接液条件等を各種調整した衝突混合実験を行うことで実験的にハードスタート発生条件をさらに探求する。
このように理論的アプローチの方面で、理論的課題が発見されたことにより想定よりも遅れているが、実験的検討は順調であるので、「おおむね順調に進呈している」と判断した。

今後の研究の推進方策

第一に液相反応シミュレーションモデル構築にするQM/PCM法に基づいた速度定数推算法の理論的課題を解決する。その解決の糸口についてはつかめており、このモデリングと検証が第一の作業となる。具体的には液相中で制限された分子の並進運動や回転運動をモデル化して、分子分配関数を定式化し、これを遷移状態理論に適用することで液相反応の速度定数モデリング技法を更新する。この新しい技法を用いた詳細反応モデリングを達成し、気液両相の反応シミュレーションを行う。
実験的には引き続きヒドラジン/四酸化二窒素の液滴/プール衝突混合実験を実施する。2024年度に取得した高速度撮影画像を解析し、衝撃波発生機構について考察する。加えて、接液条件を各種変更した衝突混合実験を行うことで実験的にハードスタート発生条件を模索する。さらに粒子法を用いた流体シミュレーションにより2液の混合状態を計算し、起爆直前のヒドラジン/四酸化二窒素の液体混合状態を解析する。
上記の通り、計算的手法および実験的手法の2方面からヒドラジン/四酸化二窒素混合系が呈する衝撃波を伴うような激しい自着火(ハードスタート)のメカニズムについて考察する。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 量子化学計算を用いた液相反応の詳細反応モデリング2023

    • 著者名/発表者名
      伊里友一朗
    • 雑誌名

      日本燃焼学会誌

      巻: 65 号: 212 ページ: 79-86

    • DOI

      10.20619/jcombsj.65.212_79

    • ISSN
      1347-1864, 2424-1687
    • 年月日
      2023-05-15
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 高エネルギー物質研究における量子化学計算活用のすすめ2023

    • 著者名/発表者名
      伊里友一朗
    • 雑誌名

      Explosion

      巻: 33 ページ: 11-16

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Computation of entropy values for non-electrolyte solute molecules in solution based on semi-empirical corrections to a polarized continuum model2023

    • 著者名/発表者名
      Yu-ichiro Izato, Akira Matsugi, Mitsuo Koshi, Atsumi Miyake
    • 雑誌名

      Physical Chemistry Chemical Physics

      巻: 25 号: 11 ページ: 8082-8089

    • DOI

      10.1039/d2cp04972d

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Calculation of Thermodynamics Data for Reactions of Monomethyl Hydrazine and Dinitrogen Tetroxide in the Liquid Phase using Quantum Chemistry Calculations2023

    • 著者名/発表者名
      omohiro Omura, Yu-ichiro Izato, Atsumi Miyake
    • 学会等名
      International Conference on Chemical Thermodynamics 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 高速度撮影および詳細反応シミュレーションを用いたヒドラジン/四酸化二窒素系の自着火機構解析2023

    • 著者名/発表者名
      伊里友一朗, 大森稜介, 後藤健太, 道上啓亮
    • 学会等名
      火薬学会 2023年度秋季研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 滴下燃焼可視化による2液式 自己着火推進薬の着火衝撃発生メカ ニズム解明に関する実験的研究2023

    • 著者名/発表者名
      道上啓亮,後藤健太,伊里友一朗, 中塚潤一,森治,香河英史,澤井秀次郎,堀恵一
    • 学会等名
      第61回燃焼シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 量子化学計算を用いた凝縮相反応の詳細反応モデリング2023

    • 著者名/発表者名
      伊里友一朗
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 分極連続体モデルを使った水溶液中化学種のエントロピー推算法:回帰分析を用いた配向エントロピー推算2023

    • 著者名/発表者名
      伊里友一朗、三宅淳巳
    • 学会等名
      化学工学会第88年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ヒドラジン/四酸化二窒素の液相詳細反応モデルの改良:拡散過程を考慮した反応速度定数2022

    • 著者名/発表者名
      伊里友一朗、三宅淳巳
    • 学会等名
      2022年度火薬学会秋季研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 連続誘電体モデルに基づく溶液中化学種のエントロピー推算法2022

    • 著者名/発表者名
      伊里友一朗、三宅淳巳
    • 学会等名
      第58回熱測定討論会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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