研究課題/領域番号 |
23K22995
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補助金の研究課題番号 |
22H01727 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
篠原 克明 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (60117356)
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研究分担者 |
森川 英明 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (10230103)
渡邊 圭 信州大学, 繊維学部, 特任准教授 (30737763)
若月 薫 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (60408755)
嶋崎 典子 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (80466193)
朱 春紅 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (80773100)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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キーワード | 感染症対策 / マスク / 個人用防護具 / ナノファイバー / バイオハザード対策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,適切な防護性能を有し,かつ着用者の生理学的負荷の軽減と快適性(易呼吸性,蒸れの軽減,易通話性など)を向上した作業効率や活動性を低下させない新たな感染症対策用マスクを実現させることを目的とする。 マスク着用時の生理学的負荷の分析,新規機能性素材の開発・作製及び実使用形態に応じた防護性能評価方法による検証を行い,「防護性能と快適性の両立」を実現化するために工学的手法・マスクパターン設計手法を検証してマスクに必要な素材の要件と最適な構造などを整理統合した「マスク設計指針」の基盤を提案する。
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研究実績の概要 |
感染症防護では個人用防護具(PPE:Personal Protective Equipment)の使用が必須であるが,現在は防護性能だけでなく快適性の向上が要求されている。本研究は,感染症対策に必要とされるマスクの防護性能や快適性などについて整理し,着用者のマスク通気抵抗や蒸れ,通話性などの生理的・心理的負荷の軽減及び防護性能に優れた新たなマスク素材とマスク構造の開発,並びに実際の使用形態(呼吸に伴うマスク内圧変化)及び実防護対象(浮遊微生物粒子)における防護性能評価方法などの検証を行う。これまでに,各種新素材の創出並びに新たな性能評価試験装置,1)圧力変動時のマスク素材の性能検証のための変動圧試験装置・浮遊粒子測定装置・高速粒子計測装置,2)マスク着用時の生理学的負荷と快適性評価のための熱分布測定試験装置,音声透過性試験装置,3)マスクフィット性試験用の顔型作製装置,4)浮遊微生物測定の簡便化のためのPCR法の導入などの装置の構築を行い,その有用性評価を行ってきている。今後,マスク用新素材のこれら試験装置おける検証を行い,得られた知見を基に感染症対策に必要なマスクの「防護性能と快適性の両立」を目的とした「マスク設計指針」の基盤の構築を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.変動圧試験装置と浮遊粒子測定装置及び高速粒子数測定装置の組み合わせを行い,秒単位の粒子数計測による圧力変動時のマスク素材の性能試験法の検証を継続している。(篠原,渡邊,嶋崎) 2.新規高性能マスク素材の創生のために,素材製造装置の製造要件の検討を継続している。(渡邊,篠原)3.マスク着用時の生理学的負荷と快適性評価のための熱分布測定,音声透過性及びフィット性解析に関する試験装置(サーモグラフィー,3Dスキャナー,3Dプリンターなど)の整備と組立てを行い,その有用性の検討を行っている。(若月,朱,渡邊,篠原)4.浮遊微生物測定の簡便化のためのPCR装置などの構築を行い,その有用性評価を行っている。(嶋崎,篠原,渡邊)5.既存及び新規開発マスク素材を用いて,上記各試験装置の性能評価と素材の評価を継続的に行っている。(篠原,渡邊,嶋崎) 6.感染防護用マスクに求められる防護性能と快適性の両立を目的としたマスク構成素材と構造に関する要件(吸排気抵抗,透湿性,フィット性,微生物捕集効率など)を継続的に検討している。(森川,若月,朱,渡邊,嶋崎,篠原) 7.マスク全体の設計指針に関する要素の抽出を行い,上記検討項目の結果を基に必須要素の検討と実用性などを考慮した設計指針の作成を継続検討している。(森川,朱,渡邊,篠原)
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今後の研究の推進方策 |
Ⅰ.マスク形状・素材物性と生理学的負荷の分析として,1)サーモグラフィを用いた各種素材のマスク着用時のマスク表面温度分布の計測(篠原,若月,渡邊),及び2)着用時のマスクの吸音特性や音声解析を行う。(篠原 ,渡邊,若月) Ⅱ.ナノファイバーなどのマスク素材とマスク構造の検証として,1)フィルター新素材及びマスク構造基材の作製を独自に行い,その性能を浮遊粒子捕集効率試験装置,サーモグラフィ,通気度・透湿性測定装置などを用いて評価する。(渡邊,篠原)2)ナノファイバーの紡糸密度や構造特性を電子顕微鏡(SEM)やX線CT等などで比較し,粒子捕集性能と快適性に関わる構成要因を解析する。(渡邊,篠原)3)マスクのフィット性や圧迫感軽減などの検証として,3Dスキャナー及び3Dプリンターを用いてマスク構造解析のための顔型の作製と有用性評価を行う。(篠原,朱,渡邊) Ⅲ.実使用形態に即したマスク素材の検証として,1)マスクの内圧変化時の秒単位の粒子径別捕集効率分布の検証を行う。(篠原,渡邊,嶋崎)2)微生物負荷試験方法の改良と簡便化を目的に,微生物粒子発生方法の改良並びにPCR法を用いた試験方法の新規開発と有用性について検証する。(嶋崎,篠原,渡邊)3)上記Ⅱで作製された新規素材に同様の試験を行い,その結果を素材開発にフィードバックする。(篠原,渡邊,嶋崎) Ⅳ.感染症対策用マスク設計指針の基盤構築として,上記Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの成果を統合し,医療現場,介護福祉施設や一般家庭,一般企業などの活動における「TPOに合わせて求める防護性能と快適性の調和のとれたマスク素材とマスク構成」を供給できる技術的要素としての「マスク設計指針」の基盤を提案する。(篠原,森川,渡邊,若月,朱,嶋崎)
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