研究課題/領域番号 |
23K22999
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補助金の研究課題番号 |
22H01731 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中西 美和 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70408722)
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研究分担者 |
濱口 淳 東都大学, 幕張ヒューマンケア学部, 准教授 (00780040)
目片 悠貴 神奈川大学, 工学部, 助教 (30982441)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | ワークロードマネジメント / 看護 / ICU / 機械学習 / Safety-II / ワークロード / IoT / ワークロード・マネジメント / ICU(Intensive Care Unit) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、集中治療室(ICU)の看護師を対象として、現時点tにおいて未来時点(t+Δt)における看護師のワークロード、及び治療・ケアのデマンドの双方を予測推定し、それらに基づいて導出した人・タスクの最適配分を現場に情報提供するワークロードマネジメント手法を提案・検証することを目的とする。 本研究では、提案するワークロードマネジメント手法が、医療現場で活用され、看護師の負荷軽減と医療の質・安全という二つの課題に貢献することをねらいとしており、ICUでの豊富な業務経験のある研究分担者の監修のもとで、一定の教育を受けた看護学生の参加による実証実験を行うことで、現実的な成果を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、集中治療室(Intensive Care Unit, ICU)の看護師を対象として、現時点(t)において未来時点(t+Δt)における看護師のワークロード、及び治療・ケアのデマンドの双方を予測推定し、それらに基づいて導出した人・タスクの最適配分を現場に情報提供するワークロードマネジメント手法を提案・検証するものである。具体的には、(1)人(看護師)とモノ(機器・設備・備品・薬剤等)、コンテクスト(患者)の諸状態のデータを常時取得し、現時点(t)までのデータから未来時点(t+Δt)における各看護師のワークロードを予測推定するモデルの構築、(2)同様に、現時点(t)までのデータから未来時点(t+Δt)における治療・ケアのデマンドを予測推定するモデルの構築、(3)(1)(2)に基づいて、(t+Δt)時点において治療・ケアのデマンドに応じて看護パフォーマンスを最大化し、かつ各看護師のワークロードマージン(※)を最適化する人・タスク最適配分導出モデルの構築、(4)人・タスクの最適配分に関する情報を現場に適時的に提供する方法の提案と有効性の検証、で本研究は構成される。(※ワークロードマージン:合理的なワークロードとの偏差(-は超過、+は余裕)) 本研究ではこれらのことを、(i)モデル構築のためのデータ取得実験、(ii)モデル構築、(iii)実証実験の3つのフェーズで、研究分担者と協力・役割分担して課題を遂行することを当初計画とした。これまでのところ、研究期間1年目に(i)を完了し、看護学生を対象として30組のデータ取得を完了、2年目は(ii)をほぼ完了し、上記の(1)(2)のモデル構築に成功した。この成果は、国内学会3件及び国際会議3件で発表又は採択が決定し、国際会議では学会賞も受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、当初の計画通り、実験データの取得を完了し、また映像データへのタグ付け、機械学習モデルの構築も概ね完了している。第二に、成果発表も積極的に行っており、国内学会(日本人間工学会、医療の質・安全学会)、及び国際会議(IEOM:International Conference on Industrial Engineering and Operations Management, IEA: Congress of the International Ergonomics Association)での発表又は採択が計6件決定している。また、うち国際会議IEOMでは学会賞を受賞している。第三に、研究期間3年目に執り行う予定の実験の準備も順調であり、まもなく開始できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」にも記載した通り、研究期間の3年目(最終年度)は、前年度までに構築したモデル、すなわち、現時点(t)において未来時点(t+Δt)における看護師のワークロード、及び治療・ケアのデマンドの双方を予測推定し、それらに基づいて導出した人・タスクの最適配分を現場に情報提供するモデルを集中治療室(Intensive Care Unit, ICU)の模擬環境に実装し、実証実験を行うことを計画している。 実験では、看護師(被験者)が患者(高度救命用シミュレータ)に対して、あらかじめ設定されたシナリオのもとで、治療・ケアの対応を行う。リアルタイムでICU内の諸データを取得し、前年度までに構築されたモデルを実行して、Δt後の看護師のワークロード及び治療・ケアのデマンドを予測推定し、もし、看護師のワークロードマージンが負になることが予測された場合、人・タスクの最適配分パタンを情報提示する。看護師(被験者)は、この情報提示を参照し、必要に応じて人・タスクのパタンを変更する。被験者は、研究分担者の所属する機関の看護学生(ICUでの対応を訓練された者)で、5人1組で準備等を含めて約4時間の実験に臨む。予備実験を含めて20組の実験試行を予定する。記録項目、実験環境、実験タスク、その他は1年目に実施した実験と同様として行う。シナリオベースのシミュレーション実験において、人・タスクの最適配分パタンを情報提供した際の看護パフォーマンス、ワークロード、患者(シミュレータ)の状態変化の測定・評価し、本研究で提案するワークロードマネジメント手法の検証とする。 また、研究期間の3年目(最終年度)として、成果を論文にまとめる。研究代表者、研究分担者2名にてそれぞれ1編ずつ現在準備中であり、研究期間終了までに投稿できる見込みである。
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