研究課題/領域番号 |
23K23000
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補助金の研究課題番号 |
22H01732 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
瀬戸 康雄 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, グループディレクター (10154668)
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研究分担者 |
高橋 史樹 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (40754958)
西脇 芳典 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (50632585)
渡邊 慎平 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 研究員 (60889632)
岩井 貴弘 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 研究員 (90756694)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 放射光分析 / 法科学 / 科学捜査 / イメージング / 詳細分析 / 放射光 / マイクロイメージング / 違法薬物 / 微細物 |
研究開始時の研究の概要 |
ラボ分析技術を用いても解決が難しい事件鑑定が後を絶たない。本研究では、高輝度放射光X線を用いた多彩なイメージング詳細計測技術(赤外分光、蛍光X線分光、X線吸収微細構造解析、X線光電子分光、X線CT)とラボ分析技術(顕微ラマン分光、マイクロ分画-液体クロマトグラフィー-質量分析など)を組み併せて、従来の法科学のバルク定性検査や形態観察では達成できなかった、物質の化学形態的特徴を伴うサブμmレベルの2次元、3次元構造や物質分布を可視化できる、高度な科学捜査技術体系を開発する。押収粉末の薬物・元素分布に基づく異同識別、毛髪中の薬物分布解析、単繊維の元素分布に基づく異同識別、指紋検査に適用する。
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研究実績の概要 |
FT-IR分光法を用いて混合程度に基づく薬物粉末の異同識別法を開発した。ブロムヘキシン塩酸塩とp-水酸化安息香酸を重量比1:1で 単純混合やメノー乳鉢粉砕して混合粉末を調製し、BL43IRでマッピング測定(2.5 μmアパーチャー・ステップ)した。IRスペクトル上の特徴的な波数ピークの面積から濃度に変換し、相対濃度値を求め測定領域全体のヒストグラムを作成し、%極端値と分布の標準偏差を識別指標とすると、混合程度の差別化が可能であった。 XRFおよびXENESイメージング法を用いてBr分布・化学形態に基づく毛髪中薬物分布観察法を開発した。ヒト毛髪(ブロムヘキシン服用者由来)の1 μm切片をプロレン(窒化ケイ素)膜上に固定し、BL29XUでXRF(15 KeV)、BL36XUでXANES(Br吸収端)測定(0.5 μmビーム・ステップ)を行った。対照毛髪ではBrは皮質に一面に分布したが、代謝物アンブロキソール(AMB)が含まれる毛髪ではZn存在点に加えて薄く皮質に観察された。対照毛髪のXANESパターンはBrイオンと一致し、AMB毛髪ではBrイオンとAMBの両パターンが観察され、AMB検出部位はメラニン顆粒に類似した。 SAXS分析およびゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、結晶ラメラと非晶質の3次元構造の違い・ポリマー分子量分布パターンと環状三量体含有量に基づくPET繊維の異同識別法を開発した。BL05XUで単繊維に15 KeV放射光を照射し散乱像を観察し、子午線上に現われる層雲状の散乱ピークの中心点からの距離と角度を異同識別指標とした。PET糸の紡糸条件と異同識別指標に相関が認めた。また、PET繊維可溶物のGPCによりポリマー重量平均分子量、多分散性指標、環状三量体含有率を取得した。MFFRC所蔵繊維、製作糸、市販シャツの37種間で95%の異同識別能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画のうち、毛髪中の薬物の分布解析は実施し成果が得られているが、残りは未達成である。原因として、SPring-8での放射光実験は希望通り実施できるわけではなく、課題申請の後採択されなければならず、ビームタイムの割り当ても希望通りとはならないために、放射光を用いた実験は計画通りに進行させるには年度的に限界がある。また、放射光実験で得られた測定データの解析には専用解析ソフトの使用が必要な場合があり、しかも解析には時間がかかり、特殊ラボ分析装置の整備も遅れている。これらは、次年度以降に持ち越す必要がある。薬物粉末の分布解析に関しては、擬剤分析の成果は得られているが、覚醒剤試料については今年度実施(データ解析)の見込みである。代わりに、当初の計画とは異なるが、ポリエステル繊維を対象とした微細物分析に関して、微細な3D構造が解析できる放射光SAXS分析や繊維構造中のポリマー分子の構成が解析できるGPC分析を実施し、有用な法科学的異同識別法が開発できている。
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今後の研究の推進方策 |
追加の実験(放射光、ラボ分析)、専用ソフト(自動ガウシアンカーブフィッティング)配備後のデータ解析実施、特殊ラボ分析装置の整備により、2022年度計画していて未達成の課題である、覚醒剤粉末の薬物分布解析、薬物粉末・毛髪切片の偏光・蛍光顕微鏡測定、単繊維のSEM-EDX分析・元素分布観察を実施し成果を輩出する。 本年度は当初計画通り新たに分析法を開発する。法薬毒物分析に関しては、メタンフェタミンの模擬・押収薬物粉末に対して、硬X線XRF、硬X線XAFS分析により元素の化学形態と分布を観察する方法を開発する。微細物分析に関しては、硬X線XRF、硬X線XAFS分析により、ポリエステル繊維や羊毛などの元素の化学状態・分布情報、3次元構造情報を観察する方法を開発する。補完ラボ分析技術を活用して、ポリエステル繊維の偏光・蛍光顕微鏡測定、薬物粉末のリニア-アレイ検出型高速顕微FT-IR測定、顕微ラマン分光測定を行う。さらに、当初計画になかった課題として、指紋の検出法の開発を手掛ける。従来法の光学・電子顕微鏡観察、顕微FT-IR観察に加えて、新たに放射光軟X線分光法を用いて、潜在指紋の明瞭化、指紋ドナーの履歴取得、指紋押印時期の推定を目指す。
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