研究課題/領域番号 |
23K23003
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補助金の研究課題番号 |
22H01735 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
若月 泰孝 茨城大学, 基礎自然科学野, 准教授 (70455492)
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研究分担者 |
牛山 朋来 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(水災害・リスクマネジメント国際センター), 主任研究員 (50466257)
清水 慎吾 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (70462504)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 降水予測 / 河川流出予測 / アンサンブル予測 / 短時間降水予測 / レーダデータ同化 / 河川流量予測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は,豪雨災害の減災に資する研究として,降水の予測精度向上と予測降水量をもとに計算される河川流量予測の精度向上を目指して実施される研究である.特に,気象庁などが計算する複数の予測計算(アンサンブル予測)を,比較的狭い特定の対象地域に適用し,独自のアンサンブル予測を構築する研究を進めている.大気モデルによるアンサンブル予測計算と,河川モデルによるアンサンブル予測計算を組み合わせ,1時間~数十時間先までの降水と河川流量の予測精度を向上させることを目指している.特に,大気モデルによる降水予測は不確実性が非常に大きいために,気象レーダなどの観測情報の適用(データ同化)に独自の工夫を入れている.
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研究実績の概要 |
時間予測研究(テーマa)(3時間程度先までの予測を10分程度の間隔で計算)では、過去事例の孤立積乱雲や線状降水帯の降水予測実験を行い、豪雨の予測精度の検証を行った。大雨の発生については、レーダデータをこれまで開発済みの上流下層加湿法を用いた。今年度はこれに加えて、観測にない降水を除去する手法の開発を行い複数の手法で感度実験を実施した。また、上流下層加湿法に変えて利用を検討している積乱雲生成法(ALB法)の改良と、それを用いた線状降水帯生成実験を実施した。この実験では、線状降水帯形成メカニズムを探る研究に繋がる成果を得て、国際学会などで発表した。気象庁から購入しているメソアンサンブル予測や降水短時間予測データなどを用いて、2023年度の複数事例に対して、茨城県内主要河川流域でのアンサンブル河川流量・水位予測計算を実施した。水害予測の高精度化を目指してアンサンブルメンバーの重みづけ方法などを検討した。 中時間予測研究(テーマb)(6時間~日スケール以内の予測)では、すでに実施されているアンサンブルカルマンフィルタによるアンサンブル降水予測システムを使って、アンサンブル河川流出氾濫計算を実施した。また、WRF-Hydroという水文モデルを活用した河川流出予測の活用準備が進んだ。 観測データの活用(テーマc)では、茨城大学に設置したX-bandマルチパラメータレーダデータに粒子判別アルゴリズムを適用し、マルチセル型積乱雲内の粒子特性を調査し、これを活用したデータ同化方法の検討などを行った。また、テーマbと連携したデータ同化研究においては、他の外部資金研究とも関連付けてAMSR2マイクロ波放射計データ同化による高精度化の研究を実施した。 2024年3月に科研費メンバーに、気象研究所などの外部メンバーを加えて研究会を実施し、研究成果を共有し、今後の研究の発展が検討された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
短時間予測研究(テーマa)(3時間程度先までの予測を10分程度の間隔で計算)では、昨年度やや遅れていた上流下層加湿法による予測計算を精力的に実施し、偽物の降水(予測されているが実際は生じていない強雨)をいかに除去するかという、次のステップの課題に取り組んでおり、順調に調査が進んでいる。積乱雲の初期生成法であるALB法を活用した線状降水帯研究は、予定以上に順調に進んでいると評価された。気象庁アンサンブル降水予測を活用した河川流出予測研究は当初の予定通り順調進められた。 中時間予測研究(テーマb)(6時間~日スケール以内の予測)では、予定されていたアンサンブルカルマンフィルタによるアンサンブル降水予測システムを用いて線状降水帯の予測精度検証などが進められたが、河川モデルのアンサンブル予測研究がさらに進むべきかと思われる。一方で、当初の予定になかったWRF-Hydroの導入準備が進んでいることは、予定以上の進捗と言える。WRF-Hydroは大気の計算と陸面水循環を同時に計算できるモデルであり、水害リスク予測への活用可能性を広げる。 観測データの活用(テーマc)では、茨城大学に設置したX-bandマルチパラメータレーダデータに粒子判別アルゴリズムを適用することができ、今後予測への活用について検討できる。 もう少し進めたいと思われる課題も一部あるが、予定以上に発展したテーマや課題もあり、全体としては極めて順調と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、個々のシステムを完成へと近づけていくこと、テーマやシステムの連携をとってアンサンブルでの降水・河川流出予測を実装していくこと、派生的に生じる重要な課題について深堀していくこと、この研究の成果を発信していくことが重要と考えている。テーマaにおいては、上流下層加湿法などを用いたレーダデータ同化による短時間降水予測のさらなる高度化を推進し、気象庁などのアンサンブル降水予測との結合によるシステム化について研究・開発をさらに進める。テーマbにおいては、開発済みの降水・河川流出予測をさらに高度化し、観測される事例に適用する。また、テーマaとb両方において、新たな観測データに利用可能性を探る。テーマaとbの中間的位置づけとして、WRF-Hydroを活用した流出予測とRRIによる流出予測の結合可能性を探る。これら全てを完成させることは難しいと思われるが、それに十分近づけるようなアプローチで研究を推進していくことが重要である。また、テーマaにおいて、積乱雲を生成させる方法であるALB法の高度化と、それに伴う線状降水帯の予測やメカニズムに関する研究を推進することが、本課題研究においても重要な位置づけと言える。研究の成果を発信においては、学術論文への投稿を行う予定である。また、国際学会などでの成果の発信も実施していく。年2回の研究会を実施し、研究分担者間の成果の共有を行う。また、外部研究者を交えた研究会においては、特に線状降水帯をターゲットとして、さらなる研究の発展性についても議論していく予定である。
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