研究課題/領域番号 |
23K23015
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補助金の研究課題番号 |
22H01747 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
小川 一美 愛知淑徳大学, 心理学部, 教授 (70345875)
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研究分担者 |
元吉 忠寛 関西大学, 社会安全学部, 教授 (70362217)
天野 成昭 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 教授 (90396119)
山川 仁子 尚絅大学, 現代文化学部, 准教授 (80455196)
加藤 公子 愛知淑徳大学, 心理学部, 教授 (80530716)
近藤 公久 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (60418548)
牧 勝弘 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 教授 (50447033)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 非常時メッセージ / マルチモダリティ / マルチターゲット / メッセージ自動生成システム / 心理学 / 災害 / メッセージ / 避難指示 / 実効性 / マルチコンテキスト / マルチメディア |
研究開始時の研究の概要 |
非常時メッセージの働きは,安全確保のために人々の態度や行動を変容させることである。しかし,災害時に避難指示が出されても避難しないといった事態が頻発しており,行動変容の実効性が高い非常時メッセージが求められている。 この問題を解決するために,本研究では①マルチモダリティ(多様なメッセージ構成要素),マルチコンテキスト(多様な非常時場面),マルチメディア(多様な伝達媒体),マルチターゲット(多様なメッセージ受信者)という情報伝達の多側面から,非常時メッセージの原理を科学的に解明し,②その原理に基づいて,最適かつ実効性の高い非常時メッセージを自動生成するシステムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
非常時メッセージの機能は、安全確保のために人々の態度や行動を変容させることにある。本研究は、情報伝達の多側面から、非常時メッセージの原理を科学的に解明し、その原理に基づいて、災害状況や受信者に適切かつ実効性の高い非常時メッセージを自動生成するシステムを構築することを目指している。 2023年度は、豪雨災害の可能性が高い状況での避難指示メッセージをターゲットとして、実際のテレビニュースの映像を用い、刺激呈示実験を行った。言語情報として、災害の危険性が高まることから注意喚起をする内容(弱条件)、大雨特別警報が発令され、「命を守る行動を」というメッセージが含まれる内容(強条件)、災害以外のニュートラルな内容(Neutral条件)を呈示し、生理指標の測定および感情評定を実施した。結果、生理指標においても、感情評定においても、内容の強弱にかかわらず災害に関するニュースはNeutralな内容のニュースと有意な差がみられた。 上記実験を実施する直前に能登半島地震が発生し、NHKアナウンサーの避難指示メッセージに注目が集まった。そこで、本研究では、「○○すること」という「念押しのことば」の有無や、警報の段階にあわせたアナウンスのフェーズに着目し、映像刺激呈示実験および音声呈示実験を行った。結果は、生理指標および感情評定いずれも、念押しのことばの有無にかかわらず、命を守る呼びかけはNeutralな内容のニュースや緊急地震速報後のアナウンスとは有意な差が見られた。また、避難意図も高まっていた。 以上より、「何を伝えるか」という言語情報の違いよりも、口調の強さのような「どのように伝えるか」の違いの方が、人々の心理状態に強い影響を与えることが示唆された。そして、メッセージの原理解明のために、アナウンスの音響解析も加えることが決定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
短時間の刺激呈示で測定かつ解析が可能な生理指標がどのようなものであるかについては概ね検討することができ、また感情評定や避難意図などについても安定して測定できることがわかり、実効性を測定する指標については確定することができた。 また、「どのように伝えるか」という非言語情報については音声的な特徴を抽出することはできそうであるが、テキストによる避難指示などのメッセージにおける非言語的特徴などは未だ検討ができていない。さらに、「何を伝えるか」という言語情報については「命を守る呼びかけ」以外の検討が十分ではない。 以上より、進捗はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は研究代表者および各研究分担者が並行して各種の実験を実行し、結果の共有および議論を行ったが、2024年度も同様の方針で遂行する。さらに、音響解析を専門とする研究者に研究分担者として加わってもらうことにより、音声的側面の非言語的特徴の解析を進める。 「何を伝えるか」という言語情報について、「命を守る呼びかけ」以外の内容の検討を行うことと、テキストによる避難指示などの非言語的特徴に着目した実効性への影響なども検討を行っていく。その過程で、自治体などとの連携も探っていく。また、本研究では対象としてマルチターゲットを掲げていることから、2024年度は日本人だけではなく外国人を対象としたメッセージの効果の比較等の実験も行う。 さらに、2024年度には非常時メッセージ自動生成システムの構築にも取りかかる予定である。
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