研究課題/領域番号 |
23K23029
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補助金の研究課題番号 |
22H01761 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
辻井 直人 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主幹研究員 (90354365)
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研究分担者 |
長谷 正司 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主席研究員 (40281654)
櫻井 裕也 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主幹研究員 (60421400)
吉村 一良 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (70191640)
道岡 千城 京都大学, 理学研究科, 助教 (70378595)
津田 俊輔 国立研究開発法人物質・材料研究機構, マテリアル基盤研究センター, 主任研究員 (80422442)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | ゼーベック係数 / 強磁性 / スピン揺らぎ / 熱電特性 / 磁性 / NMR / 擬ギャップ / 遍歴電子系 |
研究開始時の研究の概要 |
固体のゼーベック効果を利用して廃熱から電力を取り出すことができる熱電変換技術は、カーボンニュートラルへの要請から実用化が望まれている。性能向上のために新しい指針を見出すことが求められている。我々は磁性イオンを添加したホイスラー合金において、弱い強磁性とそれに付随するスピン揺らぎによって熱電能が幅広い温度範囲で大きく増大される現象を見出した。このメカニズムを解明し、熱電性能向上の新原理を得ることを目的として研究を行う。特にスピン揺らぎと擬ギャップ・少数キャリア状態・共鳴準位の相関に着目し、NMRや光電子分光測定といった微視的測定手段を活用し、解明に取り組む。
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研究実績の概要 |
遍歴電子系の磁気秩序近傍の状態や弱い磁気秩序状態に付随する強いスピン揺らぎによって、様々な電子物性に特徴的な振る舞いが現れることが知られているが、多くは低温の現象である。しかし最近我々は、ホイスラー型化合物Fe2VAlに元素置換を行った系において、160 ~ 300 Kという比較的高い温度で弱い強磁性が発現し、その近傍でゼーベック係数がスピン揺らぎによって著しく増大される現象を発見した。この起源を明らかにするために、磁性や熱測定の磁場依存性を系統的な試料で行い、スピン揺らぎの定量的解析を行う。現在までに磁化測定により、強磁性転移温度がキャリア密度によって変化することを見出した。飽和磁気モーメントは、磁性原子あたり0.2~0.4 muBとなり、弱い強磁性が発現していることが示唆された。アロットプロットを行った結果、通常のM2乗プロットではなく、M4プロットにおいて良い直線線が得られることが明らかとなった。ゼーベック係数の測定では、キャリアの極性の調整により、スピン揺らぎによる増大の仕方が顕著に変化することが判明した。一方、強いスピン揺らぎを示す遍歴電子系の代表である立方晶ラーベス相化合物RCo2(Rは希土類)でも、ゼーベック係数がスピン揺らぎの影響を受けることが知られているが、我々はこのシリーズでYbCo2の良質試料を合成することに成功し、初めて物性を詳細に調べた。その結果、磁場によって磁気相転移が誘起されることが明らかとなった。この物質においては、ゼーベック係数には大きな異常が観測されなかった。これらの結果をもとにデータを詳細に解析し、スピン揺らぎの効果を解明するために、NMRのナイトシフト測定と緩和率測定、光電子分光測定を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホイスラー型Fe2VAl系化合物において弱い遍歴電子強磁性が発現する領域を幅広く調べ、スピン揺らぎに特徴的な振る舞いを見出した。アロットプロットの解析により、定量的解析を行った。関連するラーベス相化合物においてもスピン揺らぎの強い影響を観測した。これらの化合物において、ゼーベック係数にもスピン揺らぎの強い影響が現れることを直接観測した。NMR、中性子散乱、光電子分光の微視的測定の準備が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
磁化データの解析を精密に行い、Fe2VAlホイスラー系におけるスピン揺らぎパラメーターの定量化と系統性を明らかにする。その結果に基づき、NMR、中性子散乱、光電子分光実験を進める。NMRは京都大学で予備的測定が行われつつある。中性子散乱実験ではプロポーザルを準備中である。光電子分光実験では装置整備が進んでいる。 擬ギャップや少数キャリア密度という共通する特徴をもつ関連化合物についても試料作製と物性測定を行い、スピン揺らぎが熱電特性に及ぼす影響について幅広く精査する。
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