研究課題/領域番号 |
23K23031
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補助金の研究課題番号 |
22H01763 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
木口 賢紀 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 教授 (70311660)
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研究分担者 |
白石 貴久 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 准教授 (50758399)
内田 寛 上智大学, 理工学部, 教授 (60327880)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 強誘電体 / 濃厚環境結晶成長 / 核生成 / 界面構造 / 局所配位構造 / 濃厚環境 / 導電性 / 格子ミスマッチ / 薄膜 / 2次元構造秩序 / 核生成・成長 / STEM-EELS / 化学溶液堆積法 / 二次元成長 |
研究開始時の研究の概要 |
2次元構造秩序の自己組織化現象に着目し、原料溶液や非晶質前駆体の局所構造と熱分解過程における構造秩序の発達、基板表面構造との相互作用、残留歪みの観点から、2次元構造秩序の自己組織化メカニズムを明らかにする。また、2次元構造秩序が固相エピタキシーや組織形成に及ぼす効果を調査する。本研究成果から、これまで理解が不十分であった濃厚環境下におけるエピタキシャル成長メカニズムの学理を究明し、CSD法による強誘電体薄膜成長プロセスを見直すことによって、ドメイン構造や共存組織を原子スケールで制御し、薄膜の低温成長と特性向上のための指導原理の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
(1)薄膜状態でMPB組成域のPbZr0.3Ti0.7O3となるように調整したMOD溶液を、TiO2終端STO(001)基板上にスピンコート、溶媒を乾燥し、凝集した薄膜を作製した。残留有機官能基が2次元構造秩序の核生成・成長に及ぼす影響を調べるため、結晶化前の局所構造を解析し、結晶化温度以下で熱分解することで前駆体薄膜を作製した。熱分解ののち結晶化温度以上で熱処理し、結晶化薄膜を作製した。前駆体薄膜XRD法及び薄膜断面の制限視野電子回折図形の測定から、前駆体薄膜は非晶質、結晶化薄膜はSrTiO3(001)基板上にCube-on-cubeの方位関係でエピタキシャル成長していた。 (2)これらの薄膜について、STEM-EELS法により近傍のC-K吸収端近傍の内殻励起スペクトルの測定・解析を行い、非晶質前駆体薄膜には強いC-K吸収端が測定され多量の非晶質カーボンの存在が認められたが、結晶化膜にはC-K吸収端は認められなかったことから、このカーボンは測定中のコンタミネーションではなく前駆体薄膜中に残存した残留カーボンであることを示している。 (3)熱分解後の前駆状態薄膜組織をHAADF-STEM観察したところ、膜厚約30 nmの多孔質非晶質膜であったが、結晶化温度以下にもかかわらず基板表面には整合的にPb原子1層と考えられるコヒーレントな2次元界面層が存在した。この結果より、結晶化温度未満の温度であっても原料有機金属錯体が熱分解する温度であれば、濃厚環境下において格子ミスマッチ5%以内の単結晶基板表面に整合的に核生成し、2次元構造秩序を形成したと推察される。 (4)熱分解を行わずに結晶化温度以上で熱処理した薄膜では強い配向性を示さなかったことから、薄膜基板界面における残留炭素の存在が、基板表面の2次元構造秩序を引き継いだ結晶成長を妨げ、エピタキシャル成長を阻害することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採択直前に所属機関の異動が決まり、研究設備の移設作業と環境整備・装置立ち上げ作業に時間を要したため、年度内の成果報告が不十分であった。既に実験環境は整ったため、次年度に遅れを挽回する。
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今後の研究の推進方策 |
半導体不足や感染症による納期延長のため、研究設備の移設作業、電源増設や環境整備・装置立ち上げ作業に必用な部品や機材の調達に想定外の時間を要したが、年度後半には実験を再開できた。初年度実施できなかった実験項目については、今年度分として遅れを挽回する。特に次年度は、結晶化に伴う局所配位構造の変化、基板表面構造やZr/Ti組成比が核生成・成長に及ぼす影響、ゾルーゲル法とMOD法との原料由来の相違点についてミクロな視点から検証する。
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