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水により加速する固相反応のメカニズム解明にむけた水の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K23037
補助金の研究課題番号 22H01769 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分26020:無機材料および物性関連
研究機関新潟大学

研究代表者

戸田 健司  新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20293201)

研究分担者 渡邉 美寿貴  新潟大学, 自然科学系, 助教 (60847987)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
キーワードソフト化学 / 水 / 固相反応 / 固体酸 / ナノ粒子
研究開始時の研究の概要

研究代表者は、溶液法の高い拡散速度と固相反応の簡便さを併せ持つ新たな合成手法として、WASSR (Water-Assisted Solid-State Reaction) 法という新規な低温合成法を開発した。固相における反応においてほとんど検討されていない固体酸塩基性に着目し、水を介した固体と固体の酸塩基反応と固体反応における表面の水の挙動を明らかにしようとする独自性の高い取り組みである。

研究実績の概要

本研究の目的は、申請者のグループで開発した「水により加速する固相反応法(Water-Assisted Solid-State Reaction)」の反応メカニズム解明に向け、水の役割を明らかにすることである。「水により加速する固相反応法(略称WASSR)」は室温から220℃程度の低温(多くの場合に温度は80℃以下で良い)でわずかな水を加えて混合もしくは容器の中で保持するだけで高機能セラミックスを合成できる。これは従来手法と全く異なる、低エネルギー・安全な画期的な合成手法である。
Water-Assisted Solid-State Reactionのメカニズムの解明には、まず反応の観察が重要である。高倍率での観察が可能な走査型電子顕微鏡(SEM)の場合は真空状態での観測となるため反応に必須の水を加えることができない問題がある。そのため、含水試料の大気圧下の観察が可能な特殊容器を用いて、反応の観察を行った。導入する水の量や時間経過ごとに表面状態を見ると、原料表面に水膜が形成されると同時に、おそらくは局所的な発熱を伴う激しい粒子移動が確認された。水の量は、表面での膜の形成に必要な最小量で良く、過剰な水はおそらく揮発している。そして、過剰な水は原料粒子の接触頻度を低下させるために、反応速度を著しく減少させた。
反応の進行には、原料の固体酸塩基性が大きく影響していた。固体酸性および塩基性は指示薬を用いて相対的に評価した。水を加えない場合は原料の固体酸性および塩基性は混合後に変化しないが、水を加えた場合は固体酸性および塩基性が大きく変化し、中和反応とみられる反応が起きていることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

導入する水の量や時間経過ごとでのSEM観察により、原料表面に水膜が形成されると同時に、おそらくは局所的な発熱を伴う激しい粒子移動を確認でき、本反応が溶液反応でなく、水により加速する固相反応であることを明らかにできた。
また、反応の進行には、原料の固体酸塩基性が大きく影響していることを明らかにできた
。水を加えない場合は原料の固体酸性および塩基性は混合後に変化しないが、水を加えた場合は固体酸性および塩基性が大きく変化し、中和反応とみられる反応が起きていることを確認できた。このことより、WASSRは水により加速される固体酸と固体塩基の間の中和反応によるものであることがわかり、メカニズムの解明につながった。

今後の研究の推進方策

ガス種の変更、温度や湿度の変更により、反応の速度について検討する。特にガス置換は、最終生成物の価数制御を可能にすることにより、実用材料へのWASSR法の適用範囲を広げるうえで重要である。コストの低減と温度範囲の拡大のために、非密閉溶液での反応も検討する。
また、中間生成物をラマン分光法により調査することで、反応の途中経過を観察する。XRDでは評価が難しい早い反応も追跡が可能である。
加えて、粒子表面での水の状態についての分析手法の調査や理論計算に基づく検討も行う。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)

  • [学会発表] Synthesis of Cathode Materials using Abnormally Accelerated Water- Assisted Solid-State Reaction2023

    • 著者名/発表者名
      Kenji Toda
    • 学会等名
      The 37th International Korea-Japan Seminar on Ceramics
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] WASSR法による光触媒の合成2023

    • 著者名/発表者名
      戸田健司
    • 学会等名
      第42回光がかかわる触媒化学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 水により加速する固相反応2023

    • 著者名/発表者名
      戸田健司
    • 学会等名
      2023電気化学秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Water Assisted Solid State Reaction 法により合成したナノ正極材料の特性評価2023

    • 著者名/発表者名
      戸田健司、内田聡生
    • 学会等名
      第64回電池討論会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Novel Soft Chemistry, Water-Assisted Solid-State Reaction2023

    • 著者名/発表者名
      Kenji Toda, Dae-Ho Yoon
    • 学会等名
      International Congress on Pure&Applied Chemistry 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Paradigm Change for Solid State Reaction2022

    • 著者名/発表者名
      Kenji Toda, Mizuki Watanabe, Dae-Ho Yoon
    • 学会等名
      INTERNATIONAL CONGRESS ON PURE & APPLIED CHEMISTRY (ICPAC) KOTA KINABALU 2022
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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