研究課題/領域番号 |
23K23047
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補助金の研究課題番号 |
22H01779 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大瀧 倫卓 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (50223847)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | ナノコンポジット構造 / 微粒子分散 / 金属窒化物 / 金属ナノ粒子 / 導電パス形成 / 酸化物熱電変換材料 / チタン酸ストロンチウム / ナノコンポジット / 金属微粒子分散 / 溶離析出 / 選択還元 / 自己形成ナノ構造 / 拡散防止材 / 窒化物 / ヘテロ界面 / 放電プラズマ焼結 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、熱を電力に変換する熱電変換材料において、無駄な熱流束を低減するために広く用いられているナノ構造化という手法に関して、①物性値の単純な体積分率荷重平均では説明できないナノサイズ領域の粒子分散構造による、フォノン散乱と導電性の同時増強、②800℃以上の高温でもナノサイズの微細構造を消失しない熱力学的安定性や優れた耐熱性、③ナノ異相(ヘテロ)界面における選択的フォノン・電子散乱を、本来的に耐熱性が高く高温での応用が期待されているSrTiO3やZnOなどの酸化物系熱電変換材料で実現することにより、画期的・独創的な高性能酸化物熱電材料を開発するものである。
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研究実績の概要 |
第2年度である2023年度は、Niを溶離金属としてあらかじめ固溶したNbドープSrTiO3(STNNO)を種々の還元条件で処理し、溶離析出するNiナノ粒子の量や粒径の制御を検討した。STNNOの還元処理における気相水素濃度を20%から100%の範囲で変化させたところ、導電率σはNiの固溶量と水素濃度が大きい方が高く、約8倍の違いがあったのに対し、ゼーベック係数Sはほとんど変化せず、σが増大するとSの絶対値は減少するという一般的な相反関係から逸脱しており、キャリア濃度以外の要因として溶離析出したNiナノ粒子のσへの寄与が示唆され、Sを減らさずにσを増大できる可能性が示された。 そこで、2価Niイオンから0価Ni金属への還元分率をXPSピークのNi2p3/2の面積比から算出し、4価Tiイオンから3価Tiイオンへの還元分率を格子定数の変化から算出した。4価Tiから3価Tiへの還元分率は、還元時のH2濃度や試料の多孔性にあまり依存せず、16から18%の狭い範囲に限られていた。つまりSTNOマトリックスの還元度に大きな差はなく、 これはSすなわちキャリア濃度がほぼ変化していないことと一致する。一方、2価Niから0価Niへの還元分率には、試料によって40倍以上の差があり、特に焼結密度の低いNi5%試料はNiの還元分率が最も大きく、Ni10%試料では0価Niの析出量が最も多い結果となった。これは、析出したNiナノ粒子が導電パスを形成して電子移動度が向上したため、Sを保持したままσが増大したと考えられる。還元条件の選択により、電子キャリアのドープとNi微粒子による導電パスの形成を独立に制御できる可能性があり、高性能酸化物熱電材料の設計指針として有望である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的とした検討項目 はおおむね順調に進行している。ただし、2023年度は入居している研究棟の大規模改修工事が行われ、年度当初に研究室を完全に他の建物に移転したため、1ヶ月以上のブランク期間が発生し、雑誌論文公表にはやや遅れが見られる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策には、現時点で当初計画から大きな変更点はない。
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