研究課題/領域番号 |
23K23056
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補助金の研究課題番号 |
22H01788 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
篠崎 健二 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10723489)
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研究分担者 |
北川 裕貴 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (00964892)
石井 良樹 北里大学, 未来工学部, 講師 (20806939)
清水 雅弘 京都大学, 工学研究科, 助教 (60704757)
岸 哲生 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (90453828)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | ガラス / 臨界半径 / エンブリオ / 核形成モデル / 微小球 / 核形成 / レーザー / アップコンバージョン / ナノ結晶化 / 非晶質 / ドメイン / アップコンバージョン発光 / 結晶化 / 不均質性制御 |
研究開始時の研究の概要 |
継続課題のため、記入しない。
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研究実績の概要 |
ガラスは熱力学的非平衡状態であり、ガラス転移温度以上の温度で保持すれば無秩序構 造が秩序化し結晶化する。析出する結晶の粒径は核形成と結晶成長の競合で決まり、核形 成が速いか成長が遅ければ結晶粒径は小さくなる。一般的に、ナノ結晶化にはガラス転移温度以上で数時間以上の熱処理を行うが、近年、申請者は熱処理を行わずに透明ナノ結晶化させた革新的な透明ナノ結晶化ガラスを開発した。このガラスはその特徴的なガラス構造に起因して極めて速い核形成をすることで、融液急冷過程であってもナノ結晶化する。本年はこれを発展させ、極めて速いナノ結晶化の起源解明のための構造解析と、より広い組成での材料設計指針を明らかにした。その結果、以下の点を明らかにした。 ・BaF2-ZnO-B2O3系において、希土類を添加しない場合は粗大な粒子が析出するが、Er3+などの希土類イオンを添加すると透明ナノ結晶化した。希土類イオンは核形成中心となりやすいことを見出し、希土類イオンが強いカチオン場でアニオンを引き付けるため、ナノドメインの発達を促すためだと考えている。 ・SrF2-ZnO-B2O3、CaF2-ZnO-B2O3などアルカリ土類の分極率を下げていくとフッ化物が析出しにくくなる。Er3+などを添加するとフッ化物粒子を析出するが、粒径は十分小さくならない。これは極性の違いが小さいためにガラスが形成するフッ化物ナノドメイン構造が十分に発達しないためと考察している。 また、微小球合成に向けて合成と特性評価環境を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、BaF2-ZnO-B2O3系において、希土類添加の効果の解明を行い、希土類イオンを添加すると核形成速度が顕著に向上し透明ナノ結晶化することを明らかにした。また、SrF2-ZnO-B2O3、CaF2-ZnO-B2O3などアルカリ土類の分極率を下げた系ではフッ化物が析出しにくくなることを明らかにした。希土類イオンを添加するとフッ化物粒子を析出するが、粒径は十分小さくならず、不透明になってしまうため、大きな分極率を持つものが核形成。これは極性の違いが小さいためにガラスが形成するフッ化物ナノドメイン構造が十分に発達しないためと考察している。透明ナノ結晶化しやすい材料設計指針とドーパントの効果を明らかにすることができ、微小球を合成するために適当なガラス組成の開発に成功した。 また、開発した透明ナノ結晶化ガラスの光学特性評価及び微小球デバイスの創成を行うため、合成と特性評価環境を整備した。次年度に微小球合成と特性評価に入ることができる体制が構築できており、おおむね計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、いくつか新しいガラス系においても急冷下でのナノ結晶化に成功しており、このメカニズム解明を引き続き行っていく。具体的にはシミュレーションとエックス線全散乱や小角散乱などの計測を組み合わせた方法でガラスの核形成過程の構造変化を明らかにする。シミュレーションには大粒子の系を要するため、分子動力学ポテンシャルの開発を行い、分子動力学シミュレーションによりナノドメイン形成の挙動を調査する。 また、微小球合成および評価の環境を整えたので、その微小球アップコンバージョンデバイスを作製し、特性評価を行い光学デバイス適応を目指す。まずはErF3-BaF2-ZnO-B2O3系などこれまでに開発した急冷過程でナノ結晶化するガラスを対象とし、粉末あるいはファイバー先端での溶融急冷過程での透明ナノ結晶化微小球を合成する。高い透明性と寸法精度が要求されるので、析出結晶の微細化も必要である。そこで、組成の改良指針についても明らかにする必要がある。組成を変えたガラスについてシミュレーションや物性計測を行い、ガラスと析出結晶との類似性や、embryoとなるナノドメイン形成挙動を解明する。最終的にはレーザー発振可能な程度に高寸法精度の微小球かを目指し材料設計の検討を続ける。
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