研究課題/領域番号 |
23K23059
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補助金の研究課題番号 |
22H01791 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
薮塚 武史 京都大学, エネルギー科学研究科, 講師 (20574015)
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研究分担者 |
清水 孝彬 京都大学, 医学研究科, 助教 (50835395)
高井 茂臣 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (10260655)
藤林 俊介 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (30362502)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | アパタイト核 / ポリエーテルエーテルケトン / 金属イオン / 生体活性 / 抗菌活性 |
研究開始時の研究の概要 |
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)表面にサイズ制御された細孔を形成したのち、高い生体活性を有し、骨形成促進能を有する金属イオン、抗菌活性を有する金属イオンを担持させた「金属イオン担持アパタイト核」を細孔に形成させる。材料表面での骨結合能、抗菌活性発現機序を、アパタイト形成能、体液中の金属イオン挙動、タンパクレベルでの生体機能、骨結合能の観点から総合的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
擬似体液(SBF)の温度およびpHを上昇させると、リン酸カルシウム微粒子(アパタイト核)が析出する。これまでの研究で我々は、微細孔を形成したPEEKの表面近傍にアパタイト核を析出させた生体活性PEEKを開発し、良好な骨結合能を示すことを明らかにした。そこで本研究では、反応溶液に異種イオンを導入することによるアパタイト核担持への影響とアパタイト形成能の変化を調べた。 PEEK基板を研磨・洗浄して乾燥させた後、濃硫酸に浸漬した。その後、グロー放電により酸素プラズマを照射した。血漿中と同濃度のCaイオンやリン酸水素イオン、MgイオンそしてSrイオンを含む水溶液を作製し、pHを上昇させた。グロー放電処理後の基板を上述の水溶液に浸漬し、24時間加温することでアパタイト核を基板表面近傍に析出させた。各処理段階の基板を生理的条件(36.5 ℃、pH 7.40)に調整したSBF中に浸漬し、アパタイト形成能を評価した。アパタイト核処理後の基板およびSBF浸漬後の基板について、FE-SEM、EDX、TF-XRD、FT-IRを用いて観察および分析を行った。 アパタイト核処理後の基板では、EDX分析からPとCaのピークが検出され、粒子状物質が基板表面に析出している様子がFE-SEMで観察された。この結果から、一連の処理により基板の表面にアパタイト核が析出したと示唆された。同様のアパタイト核処理を経た基板をSBFに浸漬したところ、浸漬1日後に針状結晶が基板表面全体を覆っている様子がFE-SEMから観察された。EDX分析ではSBF浸漬前と比べてCaとPのピーク強度の顕著な増大が確認された。また、TF-XRD測定では、浸漬1日後にアパタイトの回折ピークが検出された。これらの結果から、アパタイト核析出処理を施して作製したPEEKは、SBF中で1日以内にアパタイト形成能を発現することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の想定に反し、作製した試料のアパタイト形成能の最適化に長期間を要した。研究遂行上、骨結合能評価等を行うには、アパタイト形成能が十分に高い試料の使用が不可欠なため、追加で試料作製法の再検討を実施する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
【抗菌活性の生体外評価】 生体活性金属イオン担持ポリエーテルエーテルケトンの抗菌活性を定量的に評価する。金属イオン担持量ならびにスルホ基導入の有無が抗菌活性に与える影響を明らかにする。 【細胞生存性、骨結合能、骨内での抗菌性評価】 生体活性金属イオン担持ポリエーテルエーテルケトンの生体安全性を評価するため、生体活性金属イオン担持ポリエーテルエーテルケトン表面の細胞生存性を評価する。金属イオン添加が細胞生存性に与える影響を調べる。ついで、骨結合能を評価するため、生体活性金属イオン担持ポリエーテルエーテルケトンを実験動物の骨内に埋入する。力学試験により骨と材料との接着強度を測定し、組織学的評価により骨と材料との接触率を評価する。さらに、X線マイクロCTによる放射線学的検討も行うとともに、生体活性金属イオン担持ポリエーテルエーテルケトンの抗菌性を評価する。 【タンパクレベルでの生体機能発現機構の解明】 タンパクレベルでの細胞分化能を明らかにするため、生体活性金属イオン担持ポリエールエーテルケトン表面で骨芽細胞を培養し、アルカリフォスファターゼ(ALP)活性を評価する。骨代謝関連遺伝子の発現を評価する。金属イオン担持量、スルホ基導入量による材料周囲でのタンパク挙動への影響を解明する。
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