研究課題/領域番号 |
23K23066
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補助金の研究課題番号 |
22H01798 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
廣本 祥子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, グループリーダー (00343880)
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研究分担者 |
山崎 智彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 主幹研究員 (50419264)
光延 由希子 (小川由希子) 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 主任研究員 (70814268)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | マグネシウム合金 / 炭酸アパタイト被膜 / 腐食 / 骨置換 / 生体材料 / 生体用マグネシウム / 炭酸含有量 / 分極試験 / インピーダンス測定 / Hanks液 / 炭酸アパタイト / 水酸アパタイト / 炭酸含有率 / インピーダンス / XPS / 生体吸収性被膜 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、骨ネジ等のための生体吸収性材料として注目されているMg合金において、埋入初期の急激な腐食溶解を患部に応じて適切に制御し、周囲骨と早期に接合させるため、生体内で骨と置換する炭酸アパタイト(CAp)被膜の開発を目指す。被覆条件によりCAp被膜の炭酸含有率や厚さなどを変化させ、これらが被覆Mg材の腐食速度や被膜の吸収性に及ぼす影響を系統的に検討する。
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研究実績の概要 |
水酸アパタイト(HAp)被覆および炭酸含有量の異なる炭酸アパタイト(CAp)被覆純Mgについて、Hanks液中で分極試験およびインピーダンス試験を行い、インピーダンス測定結果の等価回路を用いた解析により分極抵抗(Rp)を求めた。 Hanks液中でのアパタイト被覆Mgの浸漬電位は、被膜の種類に関わらず、浸漬直後に-1.7~-1.8 V (vs. Ag/AgCl)に低下した後に徐々に上昇を続けた。昨年度検討した生理食塩水中では、HAp被覆Mgの浸漬電位は浸漬900s頃から再び徐々に低下し、また炭酸含有量が小さいCAp被覆Mgの方が低い浸漬電位を示したことから、HApおよび炭酸含有量が低いCAp被膜の欠陥での腐食が示唆された。Hanks液中では被膜中の炭酸含有量に関わらず同程度の浸漬電位を示し、Mg表面にリン酸カルシウムが析出し、被膜の欠陥が補修されたと考えられる。 Hanks液中のインピーダンス測定より求めたRpは、HAp被覆Mgより微量の炭酸を含むCAp被覆Mgの方が低かったが、炭酸含有量の増加に伴いRpは増加した。また、Hanks液中のRpは炭酸含有量が微量なCAp被覆Mgを除き、生理食塩水中のRpより高かった。表面にリン酸カルシウムが析出する環境でも、炭酸含有量の変化によりCAp被覆Mgの耐食性を制御できることを明らかにした。 被覆処理時間の異なるHApおよびCAp被覆純Mgを作製し、電子顕微鏡観察、X線回折および赤外分光測定を行った。被覆時間によりアパタイト002面由来のXRDピーク位置が変化する挙動がみられたが、この原因については検討中である。 また、HApおよびCAp被覆骨ネジ&プレートの家兎埋入試験の結果の解析を進め、CAp被膜はHAp被膜よりも基材Mg合金の腐食抑制効果が高く、局部腐食を抑制することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は、2023年度にはHApおよびCApの被覆時間が被膜の耐食性に及ぼす影響を検討することであった。被覆時間による被膜の結晶構造や組成変化および厚さの詳細を解析してから、生理食塩水中などで電気化学測定を行う予定であったが、被覆時間が短いために非常に薄い被膜の解析に予定以上の時間を要し、耐食性の検討に到達できなかった。 一方、炭酸含有量の異なるCAp被膜の無機塩類溶液であるHanks液中での耐食性を電気化学測定により検討できた。昨年度の生理食塩水中の結果との比較により、Hanks液からリン酸カルシウムの析出があっても、CAp皮膜の炭酸含有量が耐食性に影響を及ぼすことがわかったことから、2024年度には被覆時間の異なるCAp被覆Mgの耐食性評価をHanks液中で行えばよいことがわかった。このため、全体としてはおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降には、被覆時間が異なるHApおよびCAp被覆Mgの電気化学測定による耐食性評価を行い、被覆時間によって変化する被膜の厚さや組成などの因子が耐食性に及ぼす影響を検討する。 また、被覆時間を変化させた被膜の解析を進め、また、純Mg以外のMg合金を基材として同様の検討を行い、CAp被膜形成過程を明らかにする。 基材にNIMSで開発中のMg合金を用い、均一なHApおよびCAp被膜を形成できるか検討する。 また、様々な条件で被覆したCAp被膜の溶解性試験をin vitroで行う方法を検討し、炭酸含有量や被覆時間とCAp被膜の溶解性を系統的に検討したい。
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