研究課題/領域番号 |
23K23070
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補助金の研究課題番号 |
22H01802 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
貝沼 亮介 東北大学, 工学研究科, 教授 (20202004)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 極低温用形状記憶合金 / Cu-Al-Mn / 変態ヒステリシス / エントロピー変化 / 異常粒成長 / 変態ヒステリス |
研究開始時の研究の概要 |
水素社会や宇宙開発等の分野においては、150Kを下回る温度域における冷却技術やアクチュエータ技術が必要とされており、形状記憶合金は魅力的である。しかし、実用合金では利用が難しく低温の応用例が殆ど無い。Cu-Al-Mn合金は、極低温域での弾性熱量効果や形状記憶効果が期待できるものの、未だに低温弾性熱量効果や低温形状記憶効果は実証されていない。そこで、本研究では、150K以下に変態温度を有するCu-Al基形状記憶合金の変態温度やエントロピー変化の組成依存性を調査し、低温での断熱温度変化や形状記憶特性の評価を行い、世界初の極低温用形状記憶合金を開発する。
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研究実績の概要 |
水素社会や宇宙開発等の分野においては、150Kを下回る温度域における冷却技術やアクチュエータ技術が必要とされており、形状記憶合金は魅力的である。しかし、実用合金では利用が難しく低温の応用例が殆ど無い。Cu-Al-Mn合金は、極低温域での弾性熱量効果や形状記憶効果が期待できるものの、未だに低温弾性熱量効果や低温形状記憶効果は実証されていない。そこで、本研究では、150K以下に変態温度を有するCu-Al基形状記憶合金の変態温度やエントロピー変化の組成依存性を調査し、低温での断熱温度変化や形状記憶特性の評価を行う。 今までの研究により以下の点が明らかとなった。 1.合金設計と単結晶化:マルテンサイト変態温度を低温域にもつ合金組成を決定した。また、マルテンサイト変態温度を低温域にもつ合金組成においてもサイクル熱処理法を利用して異常粒成長させることが可能であることを確認した。さらに集合組織も調査し、加工熱処理条件によってはGoss方位(110)<001>集合組織が部分的に得られることを見出した。 2. 低温形状記憶効果の調査: CuAlMn単結晶について低温用引張試験機により4.2~200Kの温度範囲で一定荷重下での相変態による変位の変化を測定し、変態温度と変態歪を測定した。 3.弾性熱量効果の調査: 4.2~200Kの範囲で温度を変えながら超弾性試験を行い、クラウジウス・クラペイロンの式を用いてΔSを評価した。その結果、約50K以上ではほぼ一定で比較的大きなΔSを示すことが判明した。また、極低温用機械試験機に熱電対を接触させ断熱温度変化の直接測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究内容について、ほぼ計画通りに進んでいるから。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、以下の4点について研究を推進する。 1. これまでに、サイクル熱処理法を利用してマルテンサイト変態温度を低温域にもつ合金組成において異常粒成長させることが可能であることを確認した。集合組織も調査し、加工熱処理条件によってはGoss方位(110)<001>集合組織が部分的に得られることを見出した。しかし、組織全体を強いGoss方位にすることには至っておらず、最終年度も引き続き集合組織制御の研究を行う。また、1方向凝固炉の利用も引き続き検討する。 2. 2023年度は、CuAlMn単結晶について低温用引張試験機により4.2~200Kの温度範囲で一定荷重下での相変態による変位の変化を測定し、変態温度と変態歪を測定した。低温での繰り返し特性評価はやり残したので、最終年度はこれらについて明確にする予定である。 3.2023年度は、4.2~200Kの範囲で温度を変えながら超弾性試験を行い、クラウジウス・クラペイロンの式を用いてΔSを評価した。その結果、ΔSは約50K以上ではほぼ一定で比較的大きいことが判明した。また、極低温用機械試験機に熱電対を接触させ断熱温度変化の直接測定を行った。その結果、約30Kでも除荷による吸熱反応が検出された。最終年度は、ΔSから得られた結果との不一致の原因について考察を進める。 4.比較的導電率の高いCuZnAl系形状記憶合金を中心に過去の超弾性合金を調査しつつ低温超弾性の得られる適正な組成を探索する。また、得られた合金について上記1~3に示された研究を行い、高導電性も兼ね備えた新たな極低温用超弾性合金の候補を提案する。
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