研究課題/領域番号 |
23K23075
|
補助金の研究課題番号 |
22H01807 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
足立 吉隆 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90370311)
|
研究分担者 |
陳 達徳 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20983084)
小川 登志男 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (10708910)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
|
キーワード | 敵対的生成ネットワーク / 画像生成 / マテリアルDX / マテリアルインフォマティクス / 潜在変数の逆解析 / 潜在変数からの材料設計 / DCGAN / SliceGAN / 有限要素法 / フェイク組織画像 / 完全バーチャル材料設計 / 鉄鋼材料 / GAN / CycleGAN / SRGAN / データサイエンス / マテリアルズインフォマティクス / 画像創成 |
研究開始時の研究の概要 |
今年度は、GAN潜在変数のベイズ最適化により、二相組織鋼の力学的特性を一層向上させるための組織形態の在り方を追求する。
|
研究実績の概要 |
敵対的生成ネットワーク(GAN)に焦点を当て、GANによる二次元、三次元画像の超効率的生成ならびに有限要素法と連携したバーチャル材料設計手法を構築した。成果のひとつ目としては、DCGANにより生成した二次元フェイク画像を作る元となった潜在変数を用いて、DCGAN-有限要素法の連携で得た機械的特性を最大化する逆解析を行う手法を開発した。実験では時間的な制約から得られない様々なフェイク組織を生成し、それを系統的に逆解析することにより特性を最大化する組織を提示した。成果の二つ目としては、数枚の二次元像からフェイク三次元像を高精度で構築するSliceGANの改良を行った。従来のシリアルセクショニングやトモグラフィー法などに比べて、短時間かつ特殊な装置を用いることなく、高精度なフェイク三次元像を得ることを示した。このフェイク三次元像についても三次元有限要素法と連携して変形挙動を調査し機械的特性をバーチャルで得る手法を構築した。三つ目の成果は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた画像回帰による特性の推定手法を構築した。人間による組織特徴量の抽出を一切せず、深層学習による自動特徴量抽出(潜在変数)を経て特性を推定する手法である。本CNN画像回帰は、組織画像と特性に加えて、組織画像とプロセスも関連付けることができる手法であり、プロセスー組織―特性を関連付ける新しい手法を構築したといえる。 いづれも「潜在変数からの材料設計」を可能とする全く新しい材料設計手法であり、様々な材料への展開が期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
DCGAN-FEMの連携による潜在変数の最適化を通した材料設計手法を構築した。DACGAによりフェイク二次元像を多量に生成し、その組織画像より有限要素法により機械的特性を取得する。フェイク二次元像はパーシステントホモロジーにより定量解析し、それを次元圧縮した特徴量のベイズ逆解析により特性を最大化する潜在変数を探索する画期的な自動材料設計手法といえる。SliceGANについては、複雑な材料組織の実態を把握するために行われてきたシリアルセクショニングやトモグラフィーなどの実験的手法で問題であった画像取得の効率を最大化する特徴的な手法といえる。その精度解析も行い、実験三次元像と比べて遜色ない高精度の三次元像が得られることを確認した。このSliceGANによるフェイク三次元像の構築も、潜在変数からの組織設計である。加えて、組織―特性間の関連付けには従来材料組織の特徴量抽出が不可欠であったが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使った画像回帰により、人間に代わってコンピュータが特徴を抽出することにより特性との相関関係を解析することに成功した。CNN特徴量も潜在変数といえ、本年度取得したいずれの成果共に、「潜在変数からの材料設計」というマテリアルDXの最先端を行く成果を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度の本年度は、特に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による画像回帰をさらに発展させる。具体的には、組織―特性間の順逆解析で得た最適な組織を実現するプロセスの提示を行うアルゴリズムを構築する。ひとつは、CNN画像回帰を、組織―特性、組織―プロセスの両方に適用して、プロセスの提示を可能とする。いまひとつは、組織―特性間のCNN画像回帰で得た畳み込み特徴量(潜在変数)をUMAPで次元圧縮し、特性とそのUMAP特徴間の順逆解析で得たUMAP特徴量を使って、プロセスとの関連を多出力ニューラルネットワークで関連付けて、最大特性を得るためのプロセスを提示することを試みる。子の手法はCNN-ANN連携モデルといえる。 これらの成果を次年度以降の科学研究費A課題に発展できるように、その基盤を構築する。
|