研究課題/領域番号 |
23K23079
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補助金の研究課題番号 |
22H01811 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
石井 佑弥 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 准教授 (30633440)
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研究分担者 |
延島 大樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (20750110)
酒井 平祐 国士舘大学, 理工学部, 准教授 (30580401)
植村 聖 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 総括研究主幹 (50392593)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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キーワード | エレクトレット / 超極細繊維 / ナノマイクロファイバ / 電界紡糸 / エレクトロスピニング / 極細繊維 / ナノファイバ / マイクロファイバ / サブマイクロファイバ / 圧電 |
研究開始時の研究の概要 |
電界紡糸のワンステップで作製され、廉価な汎用の非強誘電性ポリマーであるポリスチレンなどからなる超極細繊維膜が、高電荷密度の帯電や強誘電性などの特異な物性を示すことが分かってきている。しかし、電界紡糸エレクトレット超極細繊維膜の学理は、関連学術領域の研究者や技術者の注目度が高いにもかかわらず世界的にほとんど未解明である。そこで本申請課題では、これまでの申請者らの研究を踏まえて、非強誘電性ポリマーからなる強誘電エレクトレット超極細繊維膜の詳細な学理(3次元帯電分布や形成メカニズム、高密度帯電の要因など)を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、非強誘電性ポリマーからなる強誘電エレクトレット超極細繊維膜の詳細な学理(3次元帯電分布や形成メカニズム、高密度帯電の要因など)を明らかにすることを目的としている。2023年度は以下に示す研究成果を得た。 研究実施項目1:非強誘電性ポリマーからなる強誘電エレクトレット超極細繊維膜の3次元構造と3次元帯電分布の解明、およびこれらの分布形成のメカニズムの解明 研究成果1:異なる紡糸時間で作製した当該繊維膜の走査型電子顕微鏡観察(上面および断面像)や繊維膜密度の測定などにより、3次元構造およびこの形成メカニズムを明らかにした。加えて、異なる紡糸時間で作製した当該繊維膜の表面電位やクーロンメータを用いた総帯電量の測定などにより3次元帯電分布とこの形成メカニズムを明らかにした。 研究実施項目2:電界紡糸条件(印加電圧、紡糸時間)と帯電関連特性の関係の解明 研究成果2:異なる電界紡糸条件(印加電圧、紡糸時間)で当該繊維膜を作製し、電界紡糸条件と帯電特性や疑似圧電特性との関係を明らかにした。 研究実施項目3:帯電関連特性の経時特性の解明 研究成果3:非強誘電性ポリマーであるアタクチックポリスチレンおよびポリ(L-乳酸)からなる強誘電エレクトレット超極細繊維膜を作製し、帯電関連特性の経時特性の基礎部分を明らかにした[Adv. Energy Sustainability Res. 5(4), 2300228 (2024), Adv. Energy Sustainability Res. 2300298 (2024) In pressなど]。 以上の研究成果は、本研究課題の目的である非強誘電性ポリマーからなる強誘電エレクトレット超極細繊維膜の詳細な学理の構築を大いに推進する成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題は、非強誘電性ポリマーからなる強誘電エレクトレット超極細繊維膜の詳細な学理(3次元帯電分布や形成メカニズム、高密度帯電の要因など)を明らかにすることを目的としている。2023年度は以下に示す研究成果を得た。 ・研究成果1:異なる紡糸時間で作製した当該繊維膜の走査型電子顕微鏡観察(上面および断面像)や繊維膜密度の測定などにより、3次元構造およびこの形成メカニズムを明らかにした。加えて、異なる紡糸時間で作製した当該繊維膜の表面電位やクーロンメータを用いた総帯電量の測定などにより3次元帯電分布とこの形成メカニズムを明らかにした。 ・研究成果2:異なる電界紡糸条件(印加電圧、紡糸時間)で当該繊維膜を作製し、電界紡糸条件と帯電特性や疑似圧電特性との関係を明らかにした。 ・研究成果3:非強誘電性ポリマーであるアタクチックポリスチレンおよびポリ(L-乳酸)からなる強誘電エレクトレット超極細繊維膜を作製し、帯電関連特性の経時特性の基礎部分を明らかにした[Adv. Energy Sustainability Res. 5(4), 2300228 (2024), Adv. Energy Sustainability Res. 2300298 (2024) In pressなど]。 以上の研究成果は、電界紡糸エレクトレット超極細繊維膜の学術的理解に大いに貢献する。また以上の計画以上の進展により、本研究課題は当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、以下の実施項目を主に推進する。 実施項目1:非強誘電性ポリマーからなる強誘電エレクトレット超極細繊維膜の帯電関連特性の経時特性の解明、および経時特性の改善策の実証 内容:始めに、異なる物性(大気中の水分の吸着特性、体積抵抗率など)を有する複数種の非強誘電性ポリマーからなる強誘電エレクトレット超極細繊維膜の帯電特性や疑似圧電特性の経時特性を明らかにする。これまでの本補助事業において、当該繊維膜が真電荷(表面電荷および体積電荷)帯電型のエレクトレットであることを明らかにしてきた。真電荷帯電型のエレクトレットでは、一般的に帯電真電荷の経時漏洩が課題である。よって始めに、異なる物性を有する複数種の非強誘電性ポリマーからなる当該繊維膜の帯電特性や疑似圧電特性の経時特性を明らかにする。得られた経時特性と用いた非強誘電性ポリマーの物性を比較および考察することにより、異なる物性(大気中の水分の吸着特性、体積抵抗率など)がどのように当該経時特性に影響を及ぼすかを明らかにする。次に、経時に伴う電荷の漏洩が無視できない場合は、改善策を新たに発案し、効果を検証する。 実施項目2:ポリマーの物性や高次構造が帯電特性に与える影響を解明 内容:異なる物性を有する複数種のポリマーを電界紡糸により繊維膜化したときの表面電位や総帯電量などの帯電特性を比較・考察することにより、上記物性が帯電特性に与える影響を明らかにする。さらに、作製した繊維膜の高次構造をX線回折法や偏光赤外分光法などを用いて評価することにより、帯電特性との関係を明らかにする。 実施項目3:研究成果のとりまとめと発信 内容:本補助事業の最終年度であるため、研究成果のとりまとめを逐次進めていき、学術論文の発表や学術会議での発表などにより研究成果を広く社会に発信していく。
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