研究課題/領域番号 |
23K23084
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補助金の研究課題番号 |
22H01816 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
永瀬 丈嗣 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (50362661)
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研究分担者 |
竹内 章 兵庫県立大学, 産学連携・研究推進機構, 教授 (40250815)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ハイエントロピー合金 / 生体材料 / 凝固 / 鋳造 / 電子顕微鏡 / 生体用合金 / 偏析 / ミクロ組織 / 合金設計 |
研究開始時の研究の概要 |
ハイエントロピー合金の中でも生体用ハイエントロピー合金(BioHEA)は、Ti、Zr、Nb、Ta、Moをはじめとする高融点金属元素を主要構成元素とするため、その溶解が極めて困難である。Co-Cr系合金も、構成元素の融点は高く、Ti系合金と同様の問題がある。この問題に対し、最新の熱力学データベースと機械学習を併用した液相線温度予測とグリッドサーチによる溶解・鋳造が容易な合金の開発を行う。偏析予測については、network tele-microscopyを利用することで詳細な解析の実施を行う。
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研究実績の概要 |
チタン族元素を中心とする生体用ハイエントロピー合金(Ti-BioHEA)は、純Tiに匹敵する高生体親和性と超高強度を併せ持つ全く新たなカテゴリーに属する生体用合金であるが、偏析傾向が極めて強く、さらに極めて速い冷却速度の達成可能な積層造形法でも偏析の抑制が困難であるため、無偏析HEAを得る事が極めて困難と考えられた。本研究では、BioHEAの真のポテンシャルを明らかとし、さらなる飛躍を達成するためには、凝固偏析の制御により単相固溶体を得ることが可能となる可能性のあるCo-Cr系合金をベースとするCoCr-BioHEAの開発が必要であるとの考えのもと、新たに3d遷移金属であるCoとCrをベースとする新生体用ハイエントロピー合金の開発と、その要素技術となる、偏析予測、構成相予測、機械学習を取り入れた合金設計、を行った。 合金設計において、Valence Electron Concentration(VEC)と周期表の特徴(Period)を再検討することによってCo-Cr系をベースとする単相HCPハイエントロピー合金の開発が達成された。ハイエントロピー合金の偏析状況の確認のため、FE-EPMA・汎用透過電子顕微鏡・超高圧電子顕微鏡を駆使する遠隔電子顕微鏡の整備を行うことで、偏析現象のより詳細な解釈を可能としする体制を構築た。さらに機械学習の内挿性と外挿性を考慮したあらたな学習モデルを構築することで偏析に直結する液相線・固相線温度の予測の精度を向上させるだけではなく、熱力学データべ―スに第一原理計算・機械学習を組み込む新たな熱力学計算により、欠損した熱力学データを補填する新たな熱力学計算を用いた偏析の予測を行う体制を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、凝固偏析の制御により単相固溶体を得ることが可能となる可能性のあるCo-Cr系合金をベースとするCoCr-BioHEAの開発が必要であるとの考えのもと、新たに3d遷移金属であるCoとCrをベースとする新生体用ハイエントロピー合金の開発と、その要素技術となる、偏析予測、構成相予測、機械学習を取り入れた合金設計を行っている。論文執筆中ではあるものの、混合のエントロピーが1.5R(Rは気体定数)を超える、XRDではFCC単相として、透過電子顕微鏡-電子回折図形の観察では規則構造が発達していると考えられる、新生体用Co-Cr系ハイエントロピー合金を試作し、さらに細胞実験の結果を整理している。 Co-Cr合金をベースとした3d遷移金属におけるBCC・FCC・HCPの制御に関する基礎研究に関する研究成果の一部は、合金設計において、Valence Electron Concentration(VEC)と周期表の特徴を再検討しつつ、偏析と熱力学計算を考慮も加えた、単相ハイエントロピー合金の開発を達成し、学術論文にて報告をすることが出来ている。 機械学習による合金設計については、Co-Cr系ではなく、Ti系合金において鋳造が容易な合金系の設計が可能となることが見いだされており、この知見を活かして、Co-Cr系鋳造合金の機械設計を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
混合のエントロピーが1.5R(Rは気体定数)を超えるFCC構造新生体用Co-Cr系ハイエントロピー合金の合金設計・偏析の評価・凝固組織解析に加え、細胞試験を含む合金開発を学術論文にて報告することを最優先課題として取り組む。NiフリーCo-Cr-X1-X2-X3(X1、X2、X3は、CoとCr以外の元素(Niは含まない))からなる合金をさらに拡張した合金開発、特に凝固偏析とこれに連動する可能性のあるシグマ相形成も考慮に入れた合金設計を行う。単に液相線温度・固相線温度の機械学習による予測だけではない、熱力学データベースに機械学習を組み込んだ熱力学計算・偏析計算も組み込んだ合金設計を試みる。
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