研究課題/領域番号 |
23K23087
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補助金の研究課題番号 |
22H01819 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
生津 資大 京都先端科学大学, 工学部, 教授 (90347526)
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研究分担者 |
内藤 宗幸 甲南大学, 理工学部, 教授 (10397721)
中村 康一 京都先端科学大学, 工学部, 教授 (20314239)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 電子線照射 / シリコンナノドット / Si酸化膜 / 破壊 / 強度 / 還元 / 破壊強度 / 亀裂進展 / MEMS / シリコン量子ドット / 能動制御 / ナノドット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,Si酸化物が持つ脆性破壊問題に対し,電子線照射で局所還元させて形成するSiナノドットを巧みに配列させ,その周辺を応力集中源としてき裂進展経路を人為操作して高靭化する「材料強度アクティブ制御」技術を構築し,「高強度+極微小ばらつき」を実現する新しい強度制御法を提案する.Siナノドットの核形成~成長・結晶化に至るメカニズムを実験的/解析的に理解した上でSiナノドット配列の破壊強度への効果をナノ力学実験で実証する.高強度(平均強度50%UP)+極小ばらつき(従来比1/10)の目標達成に挑む.
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研究実績の概要 |
本研究では,酸化物脆性材料が持つ「強度不足とばらつき」問題に対し,電子線(Electron Beam: EB)照射で局所還元させて形成する量子ドット(Quantum Dot: QD)を巧みに配列させ,その周辺を応力集中源としてき裂進展経路を人為操作して高靭化する「材料強度アクティブ制御」技術を構築し,「高強度+極微小ばらつき」を実現する新しい強度制御法を提案する.Si酸化膜をモデルケースとし,Si-QDの核形成~成長・結晶化に至るメカニズムを実験的/解析的に理解した上でSi-QD配列の破壊強度への効果をナノ力学実験で実証する.マクロスケールの破壊をもSi-QD配列で完全制御できることを確認し,高強度(平均強度50%UP)+極小ばらつき(従来比1/10)の目標達成に挑む.この新しい「材料強度アクティブ制御」技術を確立して酸化物脆性材料の強度予測を容易にし,素材の性能・機能を最大限活かす「極小安全率」機械構造デザインを提供する材料/構造設計法を創出する. 2年目となる2023年度,初年度に引き続きEB照射条件の最適化を行った.種類の異なる電子線源を用いて様々な条件でSi酸化膜上にEB照射し,Si-QD形成の有無をTEMおよびRamanで分析した.結果として,安定したSi-QD形成にはEB加速電圧,電流ドーズ量,試料台温度が有効なパラメータであることがわかった.また,SiおよびSi酸化膜からなるナノワイヤ試験片を作製し,SEM内でMEMS援用引張試験を行い,実験技術が正しく機能していることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に引き続き,EB照射によるSi-QD形成メカニズムの理解に努めた.Siウェハの表面に200nm程度のSi酸化膜を製膜し,メンブレン形状に加工した.それに対してショットキーFE-SEM,コールドカソードFE-SEM,フィラメントSEM等の電子線発生源の異なる手法でEB照射し,Si-QD形成の安定条件を探索した.EB照射痕の評価にはTEMとRamanを用いた.結果として,EB照射時に加速電圧・電子線密度(ドーズ量)・試料台温度がSi酸化膜を局所還元するのに効果的なパラメータであることがわかった.一方,昨年度立ち上げを行ったSEM内MEMS引張試験システムならびにマイクロ引張曲げねじり試験システムの評価を行った.機械物性が既知の単結晶Siを使ってナノ・マイクロ試験片を準備し,破壊試験を行った.いずれの方法でも正しく機械物性を計測できることを確認した.以上の諸点より,2023年度はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2024年度,様々な条件で形成したSi-QDを含むSi酸化膜ナノワイヤを作製し,SEM内引張試験を実行する.ここではEB照射条件がヤング率に及ぼす影響をまず調べる.そして,破壊強度のEB照射条件依存性を詳細に調べ,Si-QDの数・サイズ・密度が破壊強度に及ぼす影響を調べる.そして、強度変化の理由を考察するため,TEMで破壊後もしくは破壊直前の試験片を詳細に観察する.以上の実験を通じて,Si-QDを利用したSi酸化膜の破壊強度のアクティブ制御技術の確立を目指す.
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