研究課題/領域番号 |
23K23107
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補助金の研究課題番号 |
22H01839 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26060:金属生産および資源生産関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
棗 千修 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (80632752)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 凝固組織 / 偏析 / シミュレーション / 鋳造 / セルオートマトン法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,金属材料の組織制御技術を革新するために,セルオートマトン(CA)法に基づく凝固組織シミュレーションとデータ科学手法を駆使し,メソスケールの凝固組織・偏析情報を厳密に反映した凝固組織マップを構築する。それをマクロ凝固組織モデルに実装することで,超高精度予測を可能とするマルチスケール凝固組織・偏析シミュレータの実現を目指す研究である。
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研究実績の概要 |
多くの金属材料は凝固過程を経て製造されており,その凝固組織は材料特性へ大きな影響を与えるため,高精度な凝固組織予測法の確立が望まれている。本研究では,超高精度なマルチスケールの凝固組織・偏析シミュレータを実現するために,メソスケールの凝固組織・偏析の情報を厳密に反映した革新的な凝固組織マップを構築する。凝固組織マップは,凝固条件(凝固速度と温度勾配)と凝固組織形態(等軸晶,柱状晶)の関係を示した図であり,これらの関係に加え,デンドライトアーム間隔やミクロ偏析などのより緻密なメソスケールの凝固組織情報を有する凝固組織マップがあれば,実験やシミュレーションをせずに,短時間かつ低コストで正確な凝固組織制御が可能となる。さらに,マクロスケールの凝固組織・偏析シミュレーションモデルに,凝固組織マップの情報が実装されれば,マルチスケールの凝固組織・偏析シミュレータが実現できる。 本年度までに,Al-Si,Al-Cu合金を題材として一方向凝固鋳造実験により得られた凝固組織(柱状晶から等軸晶へ遷移する組織)の凝固条件を,凝固伝熱シミュレーションを用いて効率的に算出する方法を構築した。凝固シミュレーションモデルには,データ同化による熱伝達係数と熱伝導率の同時推定技術を実装し,シミュレーションの高精度化(実測の冷却曲線との誤差最小化)を図った。シミュレーションから算出した凝固条件と実験による凝固組織を組み合わせることで,マクロスケールの凝固組織マップを得るシステムを構築し,実験結果とCET理論を組み合わせることで,広範な凝固条件に対応した凝固組織マップを得ることができた。また,メソスケールの凝固組織・偏析シミュレーションのモデルとして,セルオートマトンモデルの高精度化を図った。本モデルによって,フェーズフィールドモデルと同等のミクロ組織形態を得ることができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ同化による熱伝達係数と熱伝導率の同時推定技術を実装した凝固伝熱シミュレーションモデルとCET理論を組み合わせることにより,広範な凝固条件に対応できるマクロスケールの凝固組織マップを構築することが可能になった。また,メソスケールのセルオートマトンモデルによるデンドライト成長シミュレーションの高精度化を図るため,曲率計算モデルの改良を行った。その結果,フェーズフィールドシミュレーションと同等な形態予測が可能なレベルに達した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,データ同化による熱伝達係数と熱伝導率の同時推定技術を実装した凝固伝熱モデルとマクロスケールの凝固組織モデルを融合し,マクロ組織形成の定量的予測に重要な核生成モデルのパラメータ推定技術を構築する。また,実験のみでは得ることの難しい凝固条件に対しては,メソスケールおよびマクロスケールのセルオートマトンモデルの凝固組織シミュレーションを実施して,凝固組織マップへのデータ補完をおこなう。さらに,ミクロ偏析などの情報を凝固組織マップに反映させ,新しい凝固組織マップの構築技術を確立していく。
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