研究課題/領域番号 |
23K23117
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補助金の研究課題番号 |
22H01849 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中川 敬三 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 准教授 (60423555)
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研究分担者 |
松山 秀人 神戸大学, 先端膜工学研究センター, 教授 (50181798)
吉岡 朋久 神戸大学, 先端膜工学研究センター, 教授 (50284162)
Guan Kecheng 神戸大学, 先端膜工学研究センター, 助教 (10912446)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | ナノシート / 分離膜 / 有機溶剤ろ過 / 酸化グラフェン / 2Dチャネル / ナノシート積層膜 / 有機溶剤ナノろ過 / MOFナノシート |
研究開始時の研究の概要 |
有機溶剤混合物の分離において,蒸留法と比較して省エネルギーでの分離が期待される膜分離法に利用可能な2次元(2-D)ナノシート分離膜を開発する.本研究では種々のナノシート材料を支持膜上に積層することによって超薄型有機溶剤ろ過膜を作製し,2-Dチャネル内での有機溶剤透過メカニズムの解明および溶剤―溶質,溶剤―溶剤分離の検証を行う.有機架橋分子を層間に導入し,2-Dチャネル内での化学的相互作用を評価することで積層構造を精密に制御し,透過性や阻止性に寄与する因子を明らかにする.これにより革新的な高透過性ナノシート積層型有機溶剤ろ過膜を実現し,膜工学分野における新たな基礎学理を構築する.
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研究実績の概要 |
本研究では種々のナノシート材料を支持膜上に積層することによって超薄型有機溶剤ろ過膜を作製し,2-Dチャネル内での有機溶剤透過メカニズムの解明および溶剤―溶質,溶剤―溶剤分離の検証を行う.有機架橋分子を層間に導入し,2-Dチャネル内での化学的相互作用を評価することで積層構造を精密に制御し,透過性や阻止性に寄与する因子を明らかにする.これにより革新的な高透過性ナノシート積層型有機溶剤ろ過膜を実現し,膜工学分野における新たな基礎学理を構築する.本年度の研究では,基礎的な検討として酸化グラフェン(GO)積層膜の形成に及ぼす支持膜構造の影響,また新たに金属有機構造体(MOF)ナノシートを利用した複合積層膜の作製を行い,それぞれの膜性能評価を行った. 1. 有機溶剤耐性に優れ多孔構造制御が可能なポリケトン(PK)を支持膜として用い,GO積層構造の形成と有機溶剤ナノろ過(OSN)性能に対する支持膜構造の影響を検討した.PK支持膜の細孔径と表面粗さが小さい場合はGOがより規則正しく積層し,少ないGO積層量でメタノール中の色素の高い阻止率を達成した。このように,支持膜表面の物理的な構造がGO積層膜の積層構造及びOSN性能に影響を与えることが分かった. 2. 新規材料としてMOFナノシートに着目し,GO-MOF複合積層膜の作製を行った.水熱合成法によりGO層間にZnOを前駆体として挿入し,in-situ変換によりGO層間にポルフィリン系MOF(Zn-TCPP)ナノシート膜を形成させた.in-situ変換の反応時間を調整することでZn-TCPPナノシートの水平配向が可能になり、その表面に露出した面内細孔が迅速な水の輸送と色素分子の分離を可能とするナノチャネルとして機能することが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はGO積層膜の形成に及ぼす支持膜構造の影響,またGO-MOF複合積層膜の作製を行った.有機溶剤耐性のあるPK支持膜の多孔構造がGO積層膜の形成に影響することがわかった.また新規に作製したGO-MOF複合積層膜では,in-situ変換によるZn-TCPPナノシートの水平配向により,Zn-TCPPの細孔を利用した高い透水性と色素阻止性が得られることが明らかとなった.このようにGO積層構造の形成とOSN性能に及ぼす基礎的な知見が得られ,また新たにMOFナノシートを利用したGO-MOF複合積層膜にも目途がつき,おおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
GO-MOF複合積層膜では,Zn-TCPPナノシートの水平配向によって高い透水性と色素阻止性が得られたが,膜構造の最適化,また有機溶剤系における検討が必要である.令和5年度では,GO-MOF複合積層膜におけるZn-TCPPナノシート含有量の検討や構造解析,膜性能評価を基に,OSNへの応用を検証する.またGO層間へ新規な有機架橋分子の導入を試み,積層構造制御の検討を進める.
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