研究課題/領域番号 |
23K23122
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補助金の研究課題番号 |
22H01854 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
向井 紳 北海道大学, 工学研究院, 教授 (70243045)
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研究分担者 |
岩村 振一郎 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10706873)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 3D印刷 / 機能性炭素 / マイクロ成型体 / 反応・分離工学 / 触媒・化学プロセス / ナノ材料 |
研究開始時の研究の概要 |
多孔質炭素は吸着材や触媒担体として広く利用されている。これらの用途では材料の形状をマイクロメーターレベルで制御することで、その機能を最大限活用できるようになる。多孔質炭素のマイクロ成型は非常に困難であったが、研究代表者らはテンプレートを光造形方式プリンターで精密に3D印刷できるインクを開発し、ネガ-ポジ反転でマイクロ成型体を効率よく製造可能な技術を確立した。ポジ体を直接印刷することができれば、製造効率を更に向上できるが、現状の3Dプリンターでは直接印刷は困難である。そこで本研究では3Dプリンターの方式を新規に開発し、多孔質炭素に変換可能なマイクロ成型体を直接印刷可能なシステムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
3D印刷技術は急速に発達している。3D印刷で扱う事ができる材料は当初、熱可塑性樹脂等限られていたため、これを利用して作製した成型体の用途はそれほど多くはなかったが、やがて金属やセラミックス等を直接印刷する技術が開発され、これがきっかけで3D印刷の利用は急速に普及している。近い将来、ほとんどのものが3D印刷で製造されるようになるとも言われているが、そのためにはそれぞれの材料を印刷することができる技術の開発が必要である。 本研究は3Dプリンターを機能性炭素の分野への展開のための技術の開発を目指している。炭素は軟化させて成型することができないため、炭素の成型体を得るためには、予め成型された前駆体を炭素化する必要がある。昨年度はカーボンゲル(CG)の原料に用いられるレゾルシノール-ホルムアルデヒドゾルに増粘剤を混合して粘度を調整すれば3次元成型体を印刷するインクとして利用できることをを実証した。これにより目的のマイクロ成型体を直接造形できるようになったが、インクのシェルフライフが短いのが問題であった。そこで本年度はレゾルシノール-ホルムアルデヒドゾルから得られたゲルを微粉砕し、溶媒に分散した後に増粘剤で粘度を調節したものをインクとして利用することを試みた。その結果、適切な溶媒を選定することで、マイクロ成型体の印刷が可能となるインクが得られ、得られた成型体を炭素化することで目的としていたミクロ-メソ-マクロの細孔の階層構造を有するCGモノリスを得る事に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が計画通りに進んでおり、追加の内容についても検討を開始できているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず開発したレゾルシノール-ホルムアルデヒド(RF)ゲルをベースとするインクの改良に取り組む。このインクで印刷した造形物は容易にハンドリングが可能な強度を有しているが、初年度に開発をしたRFゾルとRFゲルを混合したインクから得られた造形物ほどの強度を有していない。そこでバインダーとしての役割が期待できるPAN等の樹脂を混合して、造形物の強度向上を図る。またスムーズな印刷が可能となるように、現在までに利用していた増粘剤に加え、分散剤の添加についても検討を行う。 造形物の印刷精度、そして機能の向上についても新たに検討を実施する予定である。造形物の印刷精度は、インク中の炭素前駆体のサイズに大きく依存をし、サイズが小さい程高い印刷精度が期待できる。炭素前駆体として広く利用されている熱可塑性樹脂は超微粒子化が比較的難しいため、造形精度の向上には限界がある。そこで超微粒子が入手しやすいカーバイドの利用について検討を行う。カーバイドは塩素処理をすることで、径が揃ったミクロ孔を有する多孔質炭素への変換が可能であり、得られる炭素の表面積も一般的な多孔質炭素と比較して非常に高い。よってカーバイド超微粒子を炭素前駆体に利用することで、いままで検討してきた炭素前駆体よりも非常に高い機能を有する造形物の作製も期待できる。 最後に開発した一連のインクそれぞれに対して、印刷した造形物の精度、造形物を炭素化した後の機能が最大となるように、組成の最適化を行う。そして本研究のまとめとして、インクの乾燥時、炭素化時の構造変化を考慮し、炭素化後に目的のマイクロ構造を有する造形物を得るための手法の確立を目指す。
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