研究課題/領域番号 |
23K23124
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補助金の研究課題番号 |
22H01856 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福島 潤 東北大学, 工学研究科, 助教 (80634063)
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研究分担者 |
滝沢 博胤 東北大学, 工学研究科, 教授 (90226960)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2026年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | ハイスループット合成 / マイクロ波反応場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、準安定相を含む材料がどのような条件で合成され得るかについて明らかにするために、マイクロ波プロセッシングにおける急速加熱や局所選択加熱などの非平衡プロセスパラメータと準安定相創出との関係性をデータ駆動科学により明らかにすることである。一回の実験時間が電気炉と比較して非常に短いマイクロ波ハイスループット合成により準安定相の合成を行い、データ駆動科学による熱的非平衡材料プロセスの特徴量表現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、準安定相を含む材料がどのような条件で合成され得るかについて、合成指針を提案できるシステムを作り上げることを最終目標とし、マイクロ波プロセッシングにおける急速加熱や局所選択加熱などの非平衡プロセスパラメータと準安定相創出との関係性をデータ駆動科学により明らかにすることを目的に、マイクロ波ハイスループット固相反応装置を用いて準安定相合成における失敗データも含めた大量データ取得を行った。 本年度の対象材料はLi-Sn-O系とした。マイクロ波加熱ではSn2+含有原料を急速昇温でき、不均化反応の進行が進行する前に目的の合成温度まで達成できることが特徴であり、昨年度はSn-Ti-O系に着目したが、本年度はSn4+を含む準安定相合成に取り組んだ。Li-Sn-O系は先行研究により発見された新規相Li4xSn4-xO8の他にも計算で準安定相が予想されている物質群である。昇温速度、マイクロ波パワー、所持時間などを系統的に設定し、実験を行った。マイクロ波キャビティの条件としては電場を採用し実験を進めた。 保持温度に着目した探索では800 ℃、300秒のマイクロ波加熱で最大のLi4xSn4-xO8相収率を達成した。保持時間・温度をパラメータにし新規相収率にかかるマトリックスを作成したところ、800 ℃以上、500 s以下の条件でLi4xSn4-xO8相が多く生成される傾向を認めたものの、温度および時間の収率に対する相関関係は見られなかった。マイクロ波非平衡場によるLi4xSn4-xO8相合成が温度・時間という平衡パラメータでは記述できないことを示唆している。そこで二色サーモグラフィによる非平衡温度場の定量化を試み、接触界面加熱の存在を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
保持温度、出力、保持時間による系統的な実験データを得ることができ、収率に対するマトリックス作成を達成した。出力制御実験では、昨年度の課題であった放射温度計の測温上限1000 ℃を拡張し、1500 ℃まで測定できる放射温度計を導入したことで本実験の合成プロセス最適化につながった。一方、既往の研究と比較してLi4xSn4-xO8生成量が低く、単相合成の実験とはならなかった。本研究の目標である、失敗データも含めた系統的な大量データは得られている。一時、マイクロ波実験においてキャビティ温度の異常発熱により装置が止まるトラブルが生じたものの、冷却機構の見直しにより回避できた。昨年度より課題である、XRD測定に長時間を要することについては解決が必要であり、当初予定のサンプル処理量は達成できなかった。XRD取得時間と測定角度範囲の絞り込みを行いサンプル評価時間を短時間化し、高次探索空間を定義できるに足るデータ数を得られるようにする。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、引き続きLi-Sn-O系を対象とし、ハイスループット合成によるデータ取得を進める。また、局所的最適合成条件について、拡散など材料合成の観点から分析を進めるとともに、必要であれば放射光実験などで時間分解能を高めたその場測定を進める。また、XRDにおける測定角度の範囲を絞るなど効率的なサンプル評価方法を確立し、かつ技術補佐員の雇用も検討し、引き続き高次探索空間を定義できるに足るデータ数を得ていく。
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