研究課題/領域番号 |
23K23125
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補助金の研究課題番号 |
22H01857 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
下山 裕介 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (30403984)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
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キーワード | 共結晶 / 脂質媒体 / 超臨界CO2 / 超臨界二酸化炭素 / 脂質融液 |
研究開始時の研究の概要 |
体内における医薬品成分の溶解性向上が期待される共結晶の形成について,形成の駆動力となる「固相界面での結晶構造の緩和」に対して,超臨界CO2による脂質融液を形成場として利用し,共結晶形成を促進することで,医薬品共結晶の精密設計と迅速生産を実現する.また,溶媒効果を考慮した量子化学計算を駆使し,得られた分子情報を入力した機械学習を活用することで医薬品共結晶の早期探索法を確立することを目的とする.
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研究実績の概要 |
医薬品成分として抗真菌薬のItraconazoleを用いて、脂肪酸と高圧二酸化炭素の複合媒体を活用した共結晶形成プロセスにおける圧力の影響について検証した。共有体にはsuccinic acidを用いた。脂肪酸には、oleic acid、linoleic acidを用いた。圧力5.0 MPa以上では、Itraconazoleの共結晶形成率は、ほぼ一定となることが確認された。これは、圧力増大に伴い、脂肪酸へ溶解する二酸化炭素量が増大する一方、高圧二酸化炭素相へ脂肪酸が抽出されるため、共結晶形成に効果的となる脂肪酸媒体が少なくなるためであると考えられる。また、脂肪酸の効果を明らかにするために、炭化水素と高圧二酸化炭素の複合媒体においても、Itraconazole共結晶の形成実験を行なった。炭化水素を用いた場合、Itraconazoleとsuccinic acidの共結晶は形成されなかった。これにより、脂肪酸分子に含まれるカルボキシル基が、共結晶の形成過程に影響を及ぼすことが示唆された。 脂肪酸を用いた媒体では、共結晶の形成を促進する一方で、共結晶形成後に残存する脂肪酸を除去することも必要となる。高圧二酸化炭素は、固体・液体溶質を溶解する性質を有している。そのため、脂肪酸と高圧二酸化炭素の複合媒体中においてItraconazoleの共結晶形成後に、高圧二酸化炭素を流通させることで、共結晶中の脂肪酸を抽出するプロセスを考案した。このように、高圧二酸化炭素に2つの機能を有した共結晶形成プロセスを考案することで、共結晶形成の従来技術で課題となっていた、形成プロセスの複雑化を解決することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高圧二酸化炭素が有する固体・液体溶質への溶解性を利用することで、共結晶の形成を促進するといった研究目的は達成された上に、高圧二酸化炭素を共結晶中に残存した脂肪酸を抽出する媒体として活用する点においては、当初の計画では想定しておらず、高圧二酸化炭素を共結晶の形成促進と脂肪酸の抽出の両方に活用するプロセスを考案した成果は、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに脂肪酸と高圧二酸化炭素の複合媒体を活用することで、低分量ならびに中分子量の医薬成分について、共結晶の形成を促進することが確認されている。さらには、高圧二酸化炭素を共結晶の形成だけでなく、形成後の残存した脂肪酸を抽出する媒体として活用する有用性も示されている。そのため今後は、本研究課題で考案された、医薬成分の共結晶形成プロセスにおいて、共結晶の迅速生産と精密設計を達成する上で以下の研究を遂行する必要がある。(1) 共結晶形成後の脂肪酸の抽出過程における温度、圧力の影響を定量的に把握する。(2) 申請者がこれまでに取り組んできた分子情報と熱力学モデルを融合した手法により、医薬成分の共結晶形成における高圧二酸化炭素の効果、ならびに共結晶形成メカニズムを明らかにする。
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