研究課題/領域番号 |
23K23126
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補助金の研究課題番号 |
22H01858 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
辻口 拓也 金沢大学, 機械工学系, 教授 (10510894)
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研究分担者 |
春木 将司 金沢大学, 機械工学系, 教授 (90432682)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 直接形燃料電池 / 多孔質電極 / 物質移動 / 気液2相流 / 直接ギ酸形燃料電池 / 物質輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、燃料に液体のギ酸を用いる直接ギ酸形燃料電池の効率を改善できる新たな電極の創製に取り組む。直接ギ酸形燃料電池の電極内部では、電極反応で生成された二酸化炭素が燃料であるギ酸の供給を妨げることで性能が低下することが知られている。そのため、これらが適切に輸送できるように、基本的な細孔特性(空隙率・平均細孔径・濡れ性・厚さ)に加え、複数細孔ピークの付与・細孔の配向(屈曲度の制御)・膜方向、面方向への細孔分布などを施した「細孔が精密に制御された電極の創製」を行うものである。
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研究実績の概要 |
本研究では直接ギ酸型燃料電池(DFAFC)のアノード電極へのギ酸供給と電極反応で発生する反応阻害気体排出を制御可能な多孔質電極を創製し、発電効率を飛躍的に向上させることを目的としている。DFAFCのアノードではギ酸(液)が供給され、電極反応が増進するとともにCO2(気体)が生成するため、ギ酸の電極への供給阻害が起こり、発電効率低下の一因となっている。そのため、本研究ではギ酸とCO2からなる複雑な気液2混相流を制御し、アノードへギ酸のみを高効率で供給可能な多孔質電極を開発する。2022年度は、まず空隙率・濡れ性・平均細孔径といった基本的な多孔質層物性の制御・作製方法の確立に取り組んだ。さらに、研究分担者は磁性材料を添加した高分子材料を磁場中で合成することにより、高分子材料内の磁性材料を配向させることに成功した。2023年度は、カーボンペーパーに電子サイクルミシンで決まった径・量の細孔を導入し、それらが電池の発電特性と物質輸送特性を議論した。その結果、細孔の導入量には最適値が存在すること、また、その最適値は細孔径によって異なることが明らかとなった。さらに、細孔の導入による物質輸送の促進効果は拡散層の濡れ性によって大きく変化し、撥水性のカーボンペーパを用いた際に物質輸送促進効果が大きいことが明らかとなった。触媒層の細孔構造に関しては、繊維状の造孔材を用いてスリット状の細孔を付与した触媒層を作製した。その結果、電池出力を最大化する繊維の径に最適値が存在することが明らかとなった。一方で、造孔による触媒層厚みの影響などに不明瞭な点があることから、2024年度はシミュレーションなどを用いながらこれらの影響についても検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細孔の制御に成功し、それによって細孔特性と電池性能の相関が見えてきたことなどから概ね順調に研究は推移しているものと考えられる。一方で、細孔の配向方法などは確立されているものの、これらを電極形成プロセスに適用する方法については現在検討中であり、この確立が必要であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
触媒層厚みの影響や作製プロセスの影響なども検討する必要があると考えられる。また、メカイズム解明に向けたシミュレーションの利用も検討する必要がある。
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