研究課題/領域番号 |
23K23129
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補助金の研究課題番号 |
22H01861 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中島 清隆 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (90451997)
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研究分担者 |
加藤 英樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60385515)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 固体触媒 / バイオマス変換 / 脱水反応 / 逆アルドール縮合反応 / ルイス酸塩基 / 固体酸塩基 |
研究開始時の研究の概要 |
水溶性の高いバイオマス由来糖類を起点として、フラン類や4炭糖・3炭糖・グリコールアルデヒドなどを合成する固体触媒反応プロセスを構築する.糖類の脱水反応および逆アルドール反応の生成物に対して「アセタール保護」という汎用的な保護基導入法を適用し,不安定生成物を高収率で合成する反応プロセスを目指す.
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研究実績の概要 |
①グルコースの逆アルドール反応 触媒材料の探索を進めるべく,これまでに構築した作業仮説に基づいてスクリーニング検討を開始した.我々が主体的に研究対象としてきた水中で機能する固体ルイス酸の幾つかグルコースからグリコールアルデヒドを生成できることを見出したが,その収率は10-15%程度であ,かつもう一つの成分であるエリスロースの収率は1%前後と極めて低い.化学量論を考慮すると2つの生成物は等モルで生成するため,2つの収率の大きな乖離は物質の反応性に依存していると考察した.これらの選択率は非常に低く,主たる生成物は同定できない水溶性縮合物が主たる生成物であり,エピ化によって生成する異性化糖のマンノースの生成も確認できた.一定の潜在的有効性が確認された元素群(V, Nb, Mo, W)を基本として,その高機能化を目指す.Moに代表されるように,微量ではあるが水に溶解すること,さらに酸化還元の影響を受けて構造変化を伴うことなど,安定性・繰り返し使用性に対して明確な課題のある材料も含まれている.過去の研究の知見を踏まえ,これらの材料の安定性向上を図りながら活用技術を確立する計画である. ②グルコースからのHMFアセタール合成反応 バリウムなどアルカリ土類金属を第二成分としたニオブ系複合酸化物の酸塩基性質に着目し,糖類の脱水反応を検討した.得られた酸化物の触媒活性は非晶質酸化ニオブの70~80%程度であるが,再利用性は劇的に向上した.非晶質酸化ニオブの特異的な酸性質は非晶質構造に起因しており,繰り返し使用の際に必須となる熱処理によって酸性質が低下する.一方,これら複合酸化物の酸性質は高温焼成によって形成された結晶性酸化物表面に安定化されており,繰り返し使用しても変化しない.この特性を追求できれば,既存の熱的不安定性を解消しつつ高活性な糖変換用固体触媒の開発につながると期待している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画に従って順調に進捗しており,特に懸念事項はない.さらに加速する方策として研究協力者および別予算で雇用する研究員の参画を図ることを考慮している.
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今後の研究の推進方策 |
①グルコースの逆アルドール反応 研究代表者独自のアプローチである「アセタール保護」を固体触媒反応プロセスに組み入れる.具体的にはアセタール化を促進するためのブレンステッド酸触媒の添加を計画する.ブレンステッド酸として有望なのは強酸性イオン交換樹脂であるスルホン化ポリスチレンであるが,多様な副反応を併発する懸念がある.この懸念は汎用的な固体触媒の大部分に適用されるため,基質選択性を発現させるための方策も考慮する必要がある.反応基質であるグルコースからの副反応を抑制し,炭素-炭素結合開裂によって生成したエリスロースおよびグリコールアルデヒドのみが選択的に酸触媒活性サイトへとアクセスできる環境を構築したい.その対策として、ゼオライト触媒を利用する.例えばモルでナイトやMFI形ゼオライトの細孔サイズではグルコースをミクロ細孔内に取り込むことができないが,ダウンサイズした2つの生成物を取り込むことはできる.このような分子篩い効果を利用して基質選択性が発現できれば,エリスロースおよびグリコールアルデヒドを選択的にアセタールへと変換することができる.アセタール化によって副反応を抑制することができれば,結果的に収率・選択率を向上させることができる.よって,探索研究によって見出した酸化ニオブ触媒を利用したエタノール溶媒中での逆アルドール反応と,その後のブレンステッド酸の添加によるアセタール化が可能になる反応条件の探索を進める. ②グルコースの脱水反応 触媒材料の探索研究を進める一方,液相流通反応装置を活用した反応プロセスの構築を目指す.触媒層に対して水に相溶性のない有機溶媒と党が溶解した水溶液を混合しながら導入し,ワンポットでHMFアセタールの合成を目指す.疎水性のジオールなどをアルコール中へと内在させ,反応系中に生成したHMFが有機溶媒の液滴の中でアセタールされるプロセスを構築する.
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