研究課題/領域番号 |
23K23132
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補助金の研究課題番号 |
22H01864 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
椿 範立 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (00272401)
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研究分担者 |
楊 國輝 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (60709707)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 水素化反応 / 3Dプリント / 金属触媒 / C1化学 / 水素化 / 触媒反応 / 金属3Dプリント / 二酸化炭素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では金属3Dプリント技術を活用し、銅亜鉛合金粉末を含む合金粉末を原料として自己触媒反応器(SCR)を製造し、COx(CO、CO2)の水素化反応を通じてメタノール合成の効率化を目指す。SCRの物理的構造と化学的特性の最適化を通じて、メタノール合成反応における触媒活性と選択性の向上を図ることが研究の主な目標である。合金粉末の選定、3DプリントによるSCRの成形、メタノール合成反応におけるSCRの触媒性能評価、触媒構造と反応性能の関係の研究など、複数の研究活動が実施される。
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研究実績の概要 |
(1) 低温メタノール合成 異なる粒子径を持つ3Dプリント用CuZn合金粉末を調製した。合金粉末を焼成させた後、組成と構造を分析し、低温メタノール合成における触媒活性を評価した。焼成無し又は低温焼成でCuZn合金相が保持されたが、より高い焼成温度ではCu、CuO、ZnOの相が共存すると見られた。低い温度で焼成したCuZnは反応活性が見られなかったが、高い温度で焼いたものはよい活性を示した。活性に対するCuZn合金粒子サイズの影響も考察した。COとCO2転換率は合金粒子サイズによって違い、小さな粒子を持つCuZnは高いCO転換率を示し、大きな粒子を持つCuZnは高いCO2転換率を表れた。メタノールを導入することで、COの転換率は導入無しの場合より2倍となった。導入されたメタノールが反応効率の向上にも貢献できると分かった。
(2)アンモニア合成 異なる温度で鉄粉末を焼成し、各反応温度と圧力で触媒性能を評価した。反応温度と圧力の上昇により、活性が増加し、800度で焼成されたものは最も高い活性を示した。さらに、化学エッチング法も用いて、焼成後の鉄粉末を再処理し、比表面積と触媒活性が向上した。それに、鉄粉末の組成変換を測定し、元々の単一FeNi相と違って、処理したものにはFe2O3も確認された。3種類の構造(PP(Parallel Plate)-SCR、VP(Vertical Plate)-SCR、SP(Sector Plate)-SCR)を設計し、3Dプリント技術でアンモニア合成用マイクロリアクターを作製した。前処理の焼成でリアクターの壁が滑らかから粗いものに変化し、活性点も増加させた。アンモニア合成反応でリアクターの自己触媒機能を検証して、PP-SCRの方はより高いアンモニア合成性能を示した。異なるリアクターの構造が反応性能に影響を与えると確認され、更なる反応効率の向上が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の進捗状況は、当初の計画以上に順調に進展しており、目標を達成する見通しが立っている。これまでの成果において、3Dプリント技術を活用した低温メタノール合成とアンモニア合成用マイクロリアクターの開発が進んでいる。 低温メタノール合成では、異なる粒子径のCuZn合金粉末の焼成温度が触媒活性に影響を与えることが明らかになった。また、メタノール助触媒の導入により、COの転換率が2倍に向上することが確認された。アンモニア合成においては、異なる焼成温度で鉄粉末を焼成し、触媒性能が評価された。化学エッチング法によって、鉄粉末の比表面積と触媒性能が向上した。さらに、3種類の反応構造を持つマイクロリアクターが3Dプリント技術で作製され、アンモニア合成反応において自己触媒機構が検証された。結果として、異なるリアクターの内部構造が反応性能に影響を与えることが確認された。 これらの進捗状況から、本研究の目標である大規模化学工業プロセスの劇的なダウンサイズ化とモバイル化に向けた重要なステップが踏まれており、今後も研究を進めることでより効果的なマイクロリアクターの開発が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
本研究をよりスムーズに推進するため、研究計画に従って、以下の方策を検討する。① 異なる粒子径(45、53、300um)を持つ新たなCuZn合金触媒を試作する;② 化学エッチング方法を用いて、CuZn合金触媒を処理し、合金触媒の比表面積を増加させてから、低温メタノール合成反応において合金触媒性能を検証する;③ より高い還元温度を使って、ZnO相の還元も計画し、もっと強い金属-担体の相互作用(SMSI)の形成を促進してみる。これにより、低温メタノール合成における触媒活性の向上も期待している;④ PP、VP、SPの三種類構造を持つマイクロリアクターを用い、異なる焼成温度で焼成させた後、アンモニア合成性能を検証する;⑤ H-O-Pulse法を用いてTOFを試算し、従来の工業用アンモニア合成用鉄系触媒の性能と比較する;⑥ 焼成後及び反応後のリアクター内壁の構造変化を分析する。
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